テラーノベル
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夢を見た。
目が覚めると私は廃墟に倒れていた。辺りを見渡しても誰一人もいない。
何かを求め動こうとした時、風の音と一緒に何かが歩いてくる音がした。だけどその足音は人とは違う機械的な音だった。私は足音のする方に体を向け身構えていると足音の主が現れた。
「あっ良かった。やっと人間を見つけました。」
その足音の主はみょうちきりんな見た目をしたお世辞にもかっこいいとは言えないロボットだった。どうやら危害を加えてはこなさそうだ。
「いやあ最近全然人間の姿を見なくなって寂しかったんですよ。」
そう言うわりにずいぶん能天気だ。そもそも機械に喜怒哀楽な感情はあるのだろうか?。
「これも何かの縁。僕のお気に入りの場所にご招待します。こっちです。」
そう言うと謎の機械は奇妙な音楽と何とも奇妙な歌を歌いながら歩き出す。不安定な音程によく分からない鼻唄。行進曲のようなリズム。耳が変になりそうだ。いったいいつまでこの妙な歌を聞いていればいいのかと思っていたところで鼻唄だけが止まる。
「自己紹介まだですね。僕はエミール。こんな見た目ですけどこう見えて強い兵器だったんですよ。」
んー。強い兵器だと言われても私にはそうは見えない。
「ところで貴方はどこから来たんですか?。」
どこからと言われても夢でここに来たとした説明できない。とりあけず私はそう伝えた。
「へえ。それじゃあ今の貴方は夢の住人なんですね。色んな人がいるもんなんですねえ。」
どうやらエミールは私の話を信じたようだ。本当に能天気な機械だ。それにしても結構歩いているはずなのに人の姿が全然見えない。そうこうしているうちにエミールはビルの前で止まった。
「ここです。」
辺りを見るとビルやショッピングモールが並んでいる。私とエミールは地下へと続くエレベーターを降りた。
さあこっちです。」
エミールに連れられたこの先には美しく輝くお花畑と一つの小屋があった。
「どうですか?。驚いたでしょう。」
確かに驚いた。ほとんどが廃墟だったのにまだこんなに綺麗な花なが咲く場所があるなんて。
「この花はツキノナミダって言うんですよ。どんな願いも叶えてくれる言い伝えがあるんだとか。」
そう言うとエミールは少し寂しそうな顔をした。
「今にいたるまで色んなことがありました。」
エミールはたくさんの話を聞かせてくれた。エミールにはお姉さんがいたこと。カイネと喋る白い本をつれた若者と旅をしたこと。訳かまあってエミールとカイネが村に入れず野宿をしたこと。たくさんの話を聞いたが人類がどうなったかの話はなかった。そこで私は人類の話をしようとした時だった。上の方から大きな音が聞こえた。
「なんでしょうか。行ってみましょう。」
私とエミールはエレベーターで地上へと戻ると謎の乗り物から機械たちが降りてくるのが見えた。機械たちは私たちを見つけると光線を私たちに向けて放った。エミールは私の前に立ち光線を防いだ。
「貴方たちは何ですか?。」
エミールの問いに機械は。
「命令。コノ星ヲ侵略。」
そう言うと機械たちはエミールに光線を放つ。私はエミールの丸い手を掴んで逃げようとした。だけどエミールは私の手を振りほどき言った。
「ありがとう。僕なら大丈夫です。」
そう言うとエミールは笑って見せた。
「ここは僕の大切な人たちがいた星。貴方たちの好きにはさせない。」
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