TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
あの日の君に、挨拶を。

一覧ページ

「あの日の君に、挨拶を。」のメインビジュアル

あの日の君に、挨拶を。

2 - 第2話 友達

♥

50

2024年09月11日

シェアするシェアする
報告する

…..え。

あの人ってまさか。いや髪の長さ違うし人違い…….なわけない。俺が見間違える訳がない。

だって、だってあの人は…。

「・・・ーい。おーい。想?生きてる?」

「あっごめん。ちょっとぼーっとしてた」

「ふーん??何、惚れたの?」

「そ、そんなんじゃねえよ!!」

にやにやしなから光がからかう。

実の所、光の推理は的外れな訳ではない。

俺はあの人に憧れている。半年以上前から。

「ふーん、まぁ想って鈍感そうだもんな!」

「どういう意味?!」

「ん?なんでもねーよ!笑」

ひそひそ話しているうちに、入学式は終わっていた。

新入生は入学式が終わった後、1度各クラスに集まることになっている。初めまして同士で集まり綺麗に整列しながら移動し、なんだか懐かしい気持ちになる。

1年C組。俺の、いや俺たちのクラスだ。

「最初は番号順の席だから想と近くていいな!」

「俺も光と一緒なら楽しいから嬉しいよ」

「ちょ何その笑顔。結婚する?」

「ごめん。」

_ガラガラガラ

各々が友達を作ろうと談笑していた最中、担任が教卓の前に立った。

「えー、これから1年このクラスの担任を受け持つ篠原 誠だ。好きに呼んでくれなー。」

なんだか気怠げな、若い男の人だった。

「まこっちゃんって呼んでいー?」

クラスの女子が言った。

「かわいくていいね気に入ったよ」

この少ないやり取りで篠原…まこっちゃんのノリの良さが伝わった。確実に当たりだ。

「なあなあ想!センセーいい人そうだな!」

「うん、話しやすそうでいいよね」

光があまりに嬉しそうに笑うので、俺も思わず笑みがこぼれた。

「えーー、、今日はみんな疲れてると思うので、自己紹介だなんだは明日します。さっさと帰って休めー。」

クラス中が湧いた。聖母と呼んだ方がいい気もする。

「想って電車通?」

「いやチャリ通。光は?」

「俺もチャリ!!一緒帰ろ!」

「よっしゃ」

HRが終わり、俺と光は校門を出た。

今朝のことや中学でのことを話しながら、自転車を押して歩いた。

「そういえばさ、想は部活とか決めてる?」

「うん、剣道部に決めてる。」

「ぜってぇ似合う、中学でもやってたんだもんな!」

「照れるなぁ、光はどうすんの?」

「んー。ずっとやってるしバスケかな」

「だと思ったまじでバスケ部っぽい」

「よく言われる〜」

…やっぱ光には話したい。あの人のこと。

大した話じゃないけど、やっぱ友達だし。

「なぁ光、公園行かね?」

「おいいねちょっと話すか」

学校近くの公園のベンチで、俺は何から話そうか考えていた。整理すればするほど、気恥ずかしくなってくる。

「…やっぱあの人のことだろ!絶対!」

「?!!え、な、なんで」

「名探偵光君だからな〜」

まじか。入学式でも思ったけどやっぱ鋭い。

でもなんか気が抜けた。話そう。

「中三のとき、うちの高校の文化祭いったんだけどさ。軽音部のライブ終わったあと、家族とはぐれちゃった子がいたんだ。」

「軽音部人気だもんなぁ。いっぱい人来るし」

「そうそう。そんで、助けてあげようって思ったんだけど俺中学生だったし、校舎内の仕組みわかんないから役立たないかもとか思ってさ。声かけれなかったんだ。」

「うん、、それで?」

「そん時に迷わず走っていったのが、あの人だった。しかもさ、自分のシフトもあるだろうにその子が泣き止むまで移動せずずっと手繋いで歌歌ってあげててさ。ほんとかっこよくて。」

不安なんて感じさせない優しいあの人に、憧れた。もう一度会うために、必死で勉強してこの高校に入った。こんなん、引かれるかな。

「….よぐがんばっだなぁ”ぁ」

「え、え泣いてる?泣いてんの?!」

「だってっ、その人に直接助けられたとかでもねぇのに、かっこいいって思って憧れて、そこまで頑張ったお前がいちばんかっけぇよぉお」

….あぁ。光に会えてよかった。

「絶対、絶対会おうな!その人に!俺も探すの手伝うよ!」

「ありがとう、ほんとに。名前もわかんねぇし大分時間かかると思うけど、頑張るよ。」

会えるかな。また。いや、会いに行く。

あなたのおかげで頑張れましたって、一方的な想いだけど、伝えたいんだ。


あの日の君に、挨拶を。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

50

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚