第2章「仄暗い願い」その6
役者の卵は、一枚の手紙を眺めていた。
内容はとっくに覚えてしまった。だから役者の卵の目に映るのは、真っ白い紙面だけ。
ただのイタズラ。そう思っているはずなのに、なんとなく捨てられずに持ったままになっていた。
今の状況を、思い返してみる。
順調、とは言えない。むしろ、グループ内の空気は最悪とも言える。
本気で取り組むなら、ぶつかることも必要だ。それは仕方のないこと。
ただ、そのぶつかり方が正しいか――それは人によって、感じ方は違うだろう。
仲良しこよしで進んでしまえば、結果はついてこない。
強く弾圧すれば、反抗的な人間も出てくる。
なら一体、何をどうすればよかったのだろう。
この状況を、良い方向に導くために――一体何が、できるのだろう。
胸の奥のざわつきが強まる。
ずっとさざなみのように存在し続けた違和感に対して、ついに動く日が来たの***************************
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