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映画の公開初日。
劇場には朝早くから長い列ができていた。
SNSでは、
「今年一番泣いた。」
「主演二人の演技がすごい。」
「何度でも観たい。」
そんな感想が次々と投稿される。
公開から一週間。
興行収入は予想を大きく上回り、映画は社会現象と呼ばれるほどの大ヒットとなった。
___________
数日後。
九人は楽屋で映画の話をしていた。
佐久間が真っ先に口を開く。
「いや、すごかった。」
「最後、普通に泣いた。」
康二も何度も頷く。
「俺も。」
「映画館で泣くの我慢できへんかった。」
ラウールは笑いながら言う。
「あべちゃん、本当に別人だった。」
「途中から演技って忘れてた。」
宮舘も穏やかに微笑む。
「心が揺さぶられる作品だった。」
岩本は目黒の肩を軽く叩いた。
「お前もよかった。」
「最後のプロポーズのシーン。」
「自然すぎた。」
目黒は照れくさそうに笑う。
「ありがとう。」
渡辺と深澤は阿部を見ながら静かに言った。
「俺だったら途中で心折れてた。」
「よく最後までやり切ったな。」
阿部は少し照れながら笑った。
「みんなが支えてくれたから。」
その隣で目黒は何も言わなかった。
映画の撮影後、高熱を出し、寝言で映画のセリフを繰り返していた阿部の姿を思い出していた。
(本当に頑張ったな。)
心の中で、そう呟いた。
___________
そして迎えた映画賞授賞式。
豪華な俳優や監督が集まる大きなホール。
「最優秀主演女優賞は——。」
司会者がゆっくり封筒を開く。
「『雨上がりで、君を見つけた。』」
「阿部亮平さんです。」
会場が大きな拍手に包まれた。
阿部は一瞬驚いたように目を見開く。
そのあと、ゆっくり立ち上がった。
客席を見る。
目黒が優しく頷いていた。
メンバー八人も満面の笑みで拍手を送っている。
阿部は深く一礼し、壇上へ向かった。
トロフィーを受け取り、マイクの前へ立つ。
少し緊張したように息を吸う。
「ありがとうございます。」
静かな会場に、阿部の声が響く。
「このような素晴らしい賞をいただけるとは思っていませんでした。」
「この作品は、私にとって忘れられない作品です。」
少し言葉を選びながら続ける。
「演じている間は、本当に苦しい日もありました。」
「役に入り込みすぎて、自分自身が分からなくなることもありました。」
客席は静まり返っている。
「それでも最後まで演じ切ることができたのは、監督をはじめ、スタッフの皆さん、共演者の皆さんが支えてくださったからです。」
阿部は目黒の方を見る。
「そして、ダブル主演として隣で支えてくれた目黒蓮さん。」
目黒は少し驚いたように顔を上げた。
「現場ではいつも安心させてくれて、本当にありがとうございました。」
目黒は照れくさそうに笑いながら拍手を送る。
阿部は続ける。
「それから、どんな時も味方でいてくれた大切なメンバーのみんな。」
「皆さんがいたから、私は最後まで前を向くことができました。」
客席の八人は嬉しそうに笑った。
阿部は最後にもう一度会場を見渡す。
「この作品が、誰かの心に寄り添える映画になっていたら嬉しいです。」
「本当に、ありがとうございました。」
深く頭を下げる。
会場中が大きな拍手に包まれた。
___________
授賞式が終わると、楽屋のスマートフォンが鳴りやまなかった。
『おめでとう!』
『さすがあべちゃん!』
『感動した!』
メンバーのグループチャットにも次々とメッセージが届く。
その中で、一番最初に届いていたのは目黒からだった。
『あべちゃん、本当におめでとう。俺の自慢の婚約者です。』
阿部はそのメッセージを見て思わず笑った。
「もう。」
「めめらしい。」
薬指の指輪にそっと触れながら返信を打つ。
『ありがとう。めめが隣にいてくれたから取れた賞だよ。』
送信ボタンを押すと、阿部は静かに空を見上げた。
あの苦しかった日々も、流した涙も、すべてが今日という日に繋がっていたのだと、ようやく心から思うことができた。
コメント
2件
わあ〜っ、もう泣いちゃったよ😭💕 公開初日の列から授賞式のスピーチまで、全部が丁寧で、阿部くんの頑張りがじわじわ伝わってきた…!特に目黒くんの「俺の自慢の婚約者です」のメッセージ、心臓崩壊かと思った🫠💘 苦しんだ日々が全部報われるラスト、マジで宝物になりました。みらさん、こんな最高の作品ありがとうございます🥺🌟