翔太くんと同棲を始めて4日目。見慣れた自分の家へこんなに早く帰ってくる事になるなんて、誰が想像できただろう。
阿部ちゃんが自分の家へ連れて行くのを何とか阻止したものの、離れ離れである事には何ら変わらない。
おまけにいつ出没するかもわからないラウールのせいで、連絡すらとれないなんて。
会えない時間が愛を育てるだなんて誰が言ったんだ。
ガードの緩い翔太くんにとってこの状況は、変態の格好の餌食になる極めて危険な状況と言えるだろう。
虎視眈々とチャンスを狙う阿部にとっては恵んできたチャンスでしかない。
舘さんに限っては、翔太くんとただの幼馴染に留まらない2人の関係性に、俺は不信感しかない。
その2人と一つ屋根の下だなんて・・・
蓮 🖤『翔太くん、ちゃんと1人で寝なきゃ駄目だよ』
翔太💙『えっ?涼太もダメなの?』
蓮 🖤『ダメだよ。お風呂も1人で入りなさい』
翔太💙『えっ?涼太も?涼太はいいでしょ?いつも一緒に寝てるしお風呂も入ってる』
蓮 🖤『俺が嫌なんだよ?分かる?』
翔太くんには〝普通〟が通用しない。
一刻も早くこの状況を何とかしないと。気が気じゃない。
仕事を終えて、夕方自宅に帰ると部屋の電気が点いている。ラウールだ。
早速お出ましだ!早いとこ解決するぞと息巻いている。少し緊張してきた。
お腹に気合を入れてフッと息を吐いて、玄関扉に手を掛けた。
ラウ🤍『おかえりめめ遅かったね』
愛くるしい笑顔で迎え入れたラウールは、俺の持っていた荷物をスマートに取り上げるとソファーの上に置いた。
蓮 🖤『あぁちょっと撮影押しちゃって・・・ええっと』
ラウ🤍『あっ今日泊まるね。ご飯まだでしょ?作ってあるからお風呂入ってきたら?』
なんだか長年付き合ったカップルのような錯覚に陥るほど、自然な流れに乗って脱衣場で洋服を脱ぐ自分がいる。
今まで弟のように思っていたラウールの気持ちを翔太くんから聞かされて、変に意識している自分がいる。
体を洗い終えて湯船に浸かると、扉が開いて全裸のラウールが入ってきた。
蓮 🖤『おっおい何やってんの?』
ラウ🤍『えっ?今日泊まるから。体洗い終わったみたいだし・・・いいかなって』
蓮 🖤『いやいや、今まで一緒に入った事なかったろ?』
〝そうだっけ〜〟と、おちゃらけて見せた。あんなに小さかったラウールも今では一番背丈も伸びて・・・うん、間違いなく下の方も一番成長してる・・・何考えてんだか。頭を振りかぶって邪念を払い避ける。
翔太くんに1人を強要しておきながら、自分のこの状況に少し罪悪感を感じる。
ラウ🤍『あのさぁ、僕めめと翔太くんが付き合ってるって思ってたんだ』
蓮 🖤『へっ?どう言う事?』
ラウ🤍『いやぁでも間違ってたみたい・・・翔太くんに悪い事しちゃった』
ん?まだ何も作戦決行してないのにどういう事だろう?
蓮 🖤『あぁ誤解解けた感じ?なら良かった』
ラウ🤍『今日翔太くんに電話して分かったんだけど、阿部ちゃんと付き合ってるみたい。秘密だよ』
ん?えっ早期解決か?何したんだ阿部ちゃん。
蓮 🖤『そっそうなんだ?知らなかったな』
ラウ🤍『あんまり驚かないんだね?男同士なのに』
蓮 🖤『えっ!あったっ確かに・・・でもその2人は何かあり得そうだね?』
何だよあり得そうって・・・
ラウ🤍『だよね!俺も思う。お似合いのカップルだね』
同調されたし・・・お似合い・・・結構傷つくな
ラウ🤍『て言うか、あの2人もうヤッちゃってるよ。翔太くんずっと電話の向こうで変な声出しててさ、阿部ちゃんから邪魔するなって怒られちゃった』
蓮 🖤『💢へぇ〜そう、変な声って?』
ラウ🤍『何かあれは、エッチな事してた。絶対感じてたエロい声だったもん』
蓮 🖤『💢ふぅ〜ん』
まだ翔太くんと離れて数時間しか経っていないんだが。どういう事かな・・・💢
ラウ🤍『と言う事で、何の障害もないみたい♡僕たち・・・』
蓮 🖤『んっ?どう言う事』
ラウ🤍『俺めめの事好きだ!愛してる』
ラウールから差し出された手を無意識にも掴んでしまった。自分に引き寄せキスをした。2人に嫉妬したのか・・・湯気の立つお風呂場で可愛らしく愛を語るラウールに魔が刺したのか・・・2人入り乱れて貪り合った。お風呂場を出ると、絡まり合いながら脱衣場に押し倒すと、ピンク色に頬を染めたラウールと目があった。
蓮 🖤『ごめん・・・俺・・・しょっぴーの事が好きなんだ』
涙が頬を伝うと、ラウールが拭った。
ラウ🤍『わかってる。めめが翔太くん好きな事。いいよしょっぴーだと思って。俺を抱いてよ。大分大きいけどクスッ』
箍が外れるのには時間なんて必要なくて、罪悪感も何も感じない。同じように翔太も阿部ちゃんに抱かれてるんだと思うと、どうでもいいとすら思える。
蓮 🖤『ごめんラウール・・・翔太って呼んでいい?』
ラウ🤍『いいよ。おいで蓮』
一度最低な事を犯すと、人はどんどん大胆になる。ラウールを傷つけている事も、誰かを裏切っている事もどうでもいいくらいには。今俺は無感情で目の前のラウールの体を〝翔太〟と呼びながら抱く。
何度抱いても、俺の手から離れていく翔太くんとは違って、目の前の〝翔太〟は全身で俺の愛を受け止めた。偽りの愛に悶えながら俺を感じるラウールを、一心不乱に突いた。
ラウ🤍『ああっ蓮////ンンンンッ気持ちイイ//嬉しいっはぁっあっ』
白濁をラウールのお腹に放つと涙が溢れて、ラウールが見えない。脱衣場にへたり込んで呆然とする。
ラウールが頭を撫でた。
ラウ🤍『大丈夫だよ蓮全部上手くいくから・・・俺を選んで?』
蓮 🖤『ごめん・・・翔太くんじゃなきゃ駄目なんだよ』
ラウ🤍『そう・・・』
蓮 🖤『本当にごめん。俺最低だ』
ラウ🤍『ご飯食べよう・・・元気出るから』
ラウールが作ってくれた夕食は、味噌汁に焼き魚、小鉢が二品。どれも丁寧に作ってあって、体に沁みた。止んだはずの涙がまた流れる。
蓮 🖤『美味しいよ』
ラウ🤍『涙が出るほどに?・・・違うね。翔太くんが好きで流してる涙だ。告白してみたら?』
蓮 🖤『ごめん・・・嘘なんだ。翔太くん俺と付き合ってる』
ラウ🤍『でも・・阿部ちゃんと・・・』
蓮 🖤『翔太くんは俺の手元には留まらない。愛してくれる人を拒めないんだ、優しいから・・・いやきっと好きなんだと思う阿部ちゃんの事』
きっと、ずっと前から気付いてたんだ。言葉に出したら、認めた事になる。優しいから拒まないのだと自分に都合のいい言い訳をしていた。
もう、翔太くんは俺の事なんてとっくに・・・
ラウ🤍『ちゃんと話しておいで?翔太くんの気持ちは翔太くんにしか分からないよ。別れたくはないんでしょ?』
蓮 🖤『翔太くんは優しいから〝別れよう〟って言えないだけなんだ・・きっとそうだ』
ラウ🤍『翔太くんに聞かなきゃねっ?いっぱい悩んで、そしたら蓮、もっと強くなれる。応援してる』
ラウールはいつも通りリビングのソファーに寝ると、仕事があるからと言って早く出て行った。
ラウ🤍『めめ、幸せになってね翔太くんと』
ラウールの優しさが余計に自分を苦しくさせる。
身勝手な胸の苦しさを抱えて、俺は翔太くんに会いにいく。
コメント
18件
ラウール可哀想🥲今さらだけど。いい子すぎん???
そろそろ阿部ちゃんのメンタル崩壊しそうで辛い………🥺私も、創作頑張るねっ。ネトフリの配信ヤバかった〜💦💦
花凛さん頑張ったね😭😭 翔太いないと筆乗らないよね。てか、ラウールあっさり引き下がるのかこれで😂ガンバレ!応援してるよ、花凛さんっ💙💙