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「んっ」
その途端、背中に空気が触れてゾクッとし、私は体をねじらせる。
涼さんはスリップの間に手を入れ、器用にもブラジャーのホックも外してしまった。
「……この手慣れてる感……」
悔し紛れに呟くと、涼さんは「やだなぁ」と笑う。
「経験豊富みたいに言わないでよ」
「モテてたんでしょう? 何人も抱いたの知ってるんですから……」
視線を逸らし、少し唇を尖らせて言うと、涼さんは私の頬を両手で包んで正面を向かせる。
「おや、リアルタイムを見ていたように言うね?」
涼さんはニヤリと笑い、私の耳を摘まむ。
「だって……、モテるの知ってますから。きっとファンクラブとかあって、抱いた女は数百人、バレンタインの時にはトラックが何台も……」
「それはちょっと発想が飛躍しすぎだよ。人気漫画キャラじゃないんだから。その前に性病になっちゃう」
涼さんはクスクスと笑い、私の脚を抱えるとストッキングを脱がせる。
「ああ……、あう、あ……」
今度は脚が心許なくなり、私は素足をバタつかせる。
「あー……、これじゃあ、恵ちゃんの可愛い胸が見えないな」
涼さんは残念そうに言い、一度私の手を縛めていたネクタイを解くと、ワンピースを脱がせる。
彼は紺色のスリップ姿になった私を見て、そのツヤツヤとした生地に触れる。
「これ、着心地いい?」
「……はい。……シルク? みたいで気持ちいいんですが……、わ、……私の手が荒れてるみたいで、指先とかが引っ掛かっちゃって、……ちゃんとケアしないとな……って」
「ん? そう?」
彼は不思議そうに目を瞬かせると、私の手を握って自分の頬に押しつける。
「う……」
男の人にしてはスベスベな肌に触れ、私は声を上ずらせる。
それでいて、微かに髭のザラつきを感じるのがやけに生々しく、この綺麗な男性が〝男〟なんだと思い知らされる。
「恵ちゃんの手、柔らかくてスベスベだけどな」
彼はニコニコして言い、次は自分の胸板に私の手を押しつける。
「わぁ……っ、わ……っ」
雄っぱいは思っていた以上に柔らかく、弾力がある。
……って、そうじゃなくて!
「あのっ、人の手を使って変態行為をしないでください!」
「そう? 触りたかったんじゃないかと思って……」
「さも『心を読んだ』みたいに言わないでください」
「恵ちゃんは『触りたい』と思っていたと思うんだけどなぁ……」
涼さんはスリップの間からブラジャーをスルリと抜き、またネクタイで私の両手を緩く縛める。
「また縛るんですか?」
「このシチュエーション、一回やってみたくて。……怖い?」
今度は「嫌?」じゃなくて「怖い?」と尋ねられ、私は「……いいえ」と首を横に振る。
「怖くなったらいつでも言って。すぐ解くから」
「……分かりました」
小さな声で返事をすると、涼さんは「いい子」と私の額にキスをしてきた。
そのまま、彼は私の両頬にもキスをし、トロンとした愛しそうな目で私を見つめ、そっと唇にもキスをする。
(涼さんの唇、柔らかい……)
私はつい緊張して唇に力を込めてしまうけれど、彼はとても自然体で、とろけるように唇が柔らかい。
これでもしも、がっつくようにキスをされていたら別かもしれないけれど、涼さんは悔しいぐらいに余裕がある。
彼は指先で私の肩や腕をツツ……となぞり、官能の火をジワジワと燃え上がらせながら、優しいキスを何度も繰り返して思考を奪っていく。
「恵ちゃん、可愛い……」
キスの合間に何回もそう囁かれ、頭の中がトロトロになってバカになってしまいそうだ。
この上ない美形に見つめられて「可愛い」と言われ、優しいキスを繰り返されているうちに、自分が世界で一番愛されている存在になったのでは……、と思ってしまいそうになる。
「口、ちっちゃいね。可愛い。少し開いてみて」
言われるがままに小さく口を開くと、涼さんはちゅぷ、ちゅぷ、と音を立てて上唇と下唇に、順番に吸い付いてくる。
「は……っ、……はぁ……っ」
色気の権化にキスをされ、私はすべての主導権を握られた上、心まで掌握された気持ちになっていた。