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わぁーおぉぉ、、、 すごいいいじゃないかぁ、、、 じゃなくて、スゴすぎる…
1話 処女とさよなら
「んっ……」
キスをされながらベッドに押し倒される。
ラブホテルのベッドは意外と柔らかく、お酒の酔いが回った身体はあっけなく沈んだ。
うっすら目を開けると、同期の 逢坂(おうさか) 千広(ちひろ)くんの顔が目の前にあった。
(あ……男の人なのに、閉じられた瞼の睫毛……長いなぁ)
そんなことを頭の隅で考えながら、ぼんやり眺める。
啄(ついば)むようなキスが繰り返された後、柔らかい舌が力の入らない私の唇を割って入ってきた。……アルコールの味がする。
「ん、んぅ………」
ぼうっとされるがままになっていると、だんだん苦しくなってきた。
逢坂くんのワイシャツを握りしめると、ちゅ、と糸を引いて唇が離れていった。
「は……っ」
「ぁっ……はぁ……」
アルコールで火照っていた身体が、更に熱くなってくらくらする。
ドキドキしている心臓を落ち着けようと、息を吸う。すると、真上からクッと笑う声がした。
見上げると、逢坂くんの切れ長の目と視線が絡む。挑発するように薄く笑うその顔は、目も鼻も唇も……どこをとっても造形が綺麗で、配置のバランスまで完璧。
じっと見ていると、イケメンすぎて心臓に悪い。
「宮内、お前本当に処女なんだな。慣れてないのが丸わかり」
「うっ……」
そう……私は年齢=彼氏いない歴の正真正銘の処女。キスだって実は今のが初めてだったりする。
26歳というこの年でキスも上手くできない自分に落ちこむと、おでこがくっつけられた。
「……そんな顔するな。誰だって初めてなんだし、これから処女捨てるんだろ」
どうやら顔に出ていたらしい。
(もしかして……なぐさめてくれてる……?)
酔って潰れて、いきなり「処女を捨てる!」なんて言い出した私を見かねて相手をしてくれているだけのはずなのに、優しくされると申し訳なくなる。
「とりあえず、キスする時は鼻で息しろ。はい、練習」
「れ、練習って急に言われても……」
どうしたらいいかわからなくて、無意識のうちに身体に力が入る。
「ぷっ……お前ガチガチすぎ」
「っ、だって」
「とりあえず目、閉じろって。ほら……」
「わっ……んんっ」
反射的に目を閉じると再び唇が重ねられた。
言われたとおりに鼻で息を吸ってみる。そうしたら、よくできたと言うように舌の裏側を舐められる。
「はぁっ……」
熱っぽい息づかいとともに唇が離れた。
それから頬や耳、首筋と、順々に下りていく唇。右側も左側もくまなくキスされながら、くすぐったいようなむずむずする感じに襲われる。
変な声が出そうになるのを耐えていると、逢坂くんの手が胸に触れた。ブラウスの上からやんわり揉まれると、びっくりしてとうとう変な声が出た。
「あっ……や、待って」
胸の上で動く逢坂くんの手を思わず掴む。
「何」
「そ、それされると変な声が出ちゃうから……」
「それって?」
「ん、ぁっ」
私の力では逢坂くんの力には勝てず、手の動きを止められない。
悪だくみしているような声で言いながら胸の先端を押し込まれた。
「言わなくても、わかるでしょ……あっだ、だめ……本当、声、出ちゃ……」
「変じゃねぇよ。そういう声出るのが普通だから」
「あっ、は……でも」
「あぁ……それとも怖くなったとか?」
「…………」
正直そのとおりだった。男の人に胸を触られるなんて初めてのことだから。でも、ここにきて怖いなんて気まずくて何も言えなくなる。
「まぁお前は初めてだし。嫌ならやめるけど……」
一旦手を止めて、私の様子を窺うように真正面から視線を合わせてくる。
「部長のことはいいわけ?」
まるで私を試すような言い方をする。
「変わるチャンス、逃すことになるぞ」
「……」
(怖い。けど……これを逃したら、私はこの先もずっと変われない、地味でつまらない女のまま……)
それだけは本当に嫌だった。長いこと陰でそんなことを言われ続けた私はもう限界だった。
逢坂くんを見つめて首を横に振る。
「部長に釣りあう女になりたい……」
「なりたかったら、どうすんの?」
「……逢坂くんに全部教えてほしい。教えて、ください……」
たどたどしいお願いに、逢坂くんが満足気に目を細めた。
「あぁ、教えてやるよ」
そう告げる言葉が自信に満ちあふれているからか、それとも顔を知っている同期だからか。
逢坂くんなら大丈夫かも……と、私も身を任せられる気がした。
「は……ぁ」
逢坂くんが胸を揉む手を再開させる。胸を手のひらでこねながら、首筋にキスをされ舐められると、ゾクッと背筋が震えた。
しばらく身を任せているといつの間にかブラウスがはだけていて、ブラジャーのホックが外される。
「ひゃっ…!」
恥ずかしくて慌てて隠そうとすると、その手は簡単にシーツに縫いつけられてしまった。
私を見下ろす逢坂くんの視線から逃れるように、壁のほうを向く。
「なぁ、宮内って着やせするほう?」
「え? わ、わからないけど……?」
「いや、さっき触った時も思ったんだけど……お前、結構胸あるのな。それに肌も綺麗だし、いい身体してんじゃん」
「……!?」
かあっと顔が赤くなる。
(そ、そんなこと言われたことがないから、反応に困る……っ)
「は、恥ずかしいから……見ないで」
「何で? いい身体してるって言ってんだから自信持てよ」
そうして私を抱きしめ、片手を開いたブラウスの中に滑りこませた。
大きな手がさっきの動作と同じように、胸をゆっくり撫でる。直接触れられているからか、逢坂くんの手のぬくもりや動きに身体が敏感に反応する。
「ふっ……あぁ……」
「ん……ちゅ……」
胸を触られながら、耳も舌で愛撫される。舌先が耳のカーブをなぞって、ちゅくちゅく中を舐められると、肌が粟立つ。
「あ、あっ」
「はぁ……声、さっきより出てるな。今、どんな感じしてる?」
「どんなって……わからない……ぞわぞわする。けど……」
「けど?」
「嫌じゃない……」
「ふぅん? じゃあこれは?」
「え……っあ!」
位置を変えた逢坂くんが、いきなり胸の先端を含んだ。キスをするように唇が触れて、舌で転がされる。
「どう? 嫌?」
軽く歯が当たっただけで、私の身体はぴくんと跳ねる。でも嫌悪感はなく、必死に首を振って答えた。
「そうだよな。宮内、わかる? さっきから乳首、真っ赤になって硬くなってるの」
言われておそるおそる顎を引くと、ふくらみの先でピンと芯を持ったソレが切なげに震えていた。
「処女って言ってたけど、ずいぶん敏感だな。もしかして自分でいじったことある?」
「なっ……ないない! ないよ……!」
エッチもしたことないのに、自慰なんてハードルが高いことできるわけない。
「へぇ……。じゃあ自分がどんな身体かも知らないんだな」
「全く知らないわけじゃ……」
「例えば?」
「ス、スリーサイズとか……」
真剣に言ったのに「バカか」と呆れられた。
「ったくしょうがねぇな。それなら、お前の身体がどんななのか……俺が教えてやらないとな」
逢坂くんの指がまた柔らかい山の頂をとらえる。
「んぁ……ん、それを知ってたら……いい女になれるってこと……?」
はぁ、とまた熱を宿す息を吐きながら尋ねると、谷間にキスをして逢坂くんが答える。
「ベッドの上で素直にここがいい、好きだってねだれる女には燃えるよな」
「……なりたいそんな風に。教えてくれる……?」
「……俺の言うとおりにできるか?」
「が、頑張ります……」
ニヤリと口角を上げて「いいぜ」と囁く。その笑みが妙に色っぽく見えて、なぜか胸の奥のほうがドキッとした気がする。
「どうすればいい……?」
「とりあえず俺のすることに素直に喘げたら、今日は合格」
「えっ」
言うがいなや、逢坂くんは大胆に手を動かし始めた。
「ひゃっ……、ん……っ」
「声、我慢すんなって。ほら、さっきみたいにいい声で鳴けって」
胸の突起を摘ままれ指先でいじられる。すると今度は、交互に舐められ歯を立てられ嬲られる。
そのうちに足先からびりびりしてきて下半身が熱くなってくる。
「あっ、んんっ、あぁ……っ」
素直にって言われたからなのかわからない。けど声は勝手にこぼれるし、身体から力がどんどん抜けていく。
「は……宮内、乳首で感じすぎ。これ好きなんだな」
「やっ、違う……!」
「本当かよ。こんなに硬くしてるのに」
「あぁ……! ダメ……っ」
立ち上がった乳首を指で挟んで擦られると、じんじんと痛いくらいに痺れてくる。
「んっ、ああ」
「はぁ……宮内……」
それからも逢坂くんは胸だけじゃなく、私の身体のあちこちに触れた。ブラウスを引き抜かれて露わになった脇腹。身体をひっくり返されて背中。
また正面を向かされると、指やストッキング越しに足も唇で煽られる。
「ちょ……んっ、待ってっ……そんな、ことまでするの……!?」
「汚いよ」と訴えても、逢坂くんは楽しそうに言った。
「そんなことだからするんだろ」
カリッと足の親指に歯を立てられる。
「ああ……っ!」
身体の隅々に口づけられて、喘がされる。
(エッチって、ただ繋がるだけじゃないんだ……)
挿入しないと気持ちよくないんじゃ、と勝手に想像していたけど、それだけじゃないと初めての夜に教えられる。
言葉は意地悪でも。
変わりたいと思ったあの時。そばにいたのが逢坂くんでよかったかも……と、そう思った。
つづく