テラーノベル
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❤️「ままー」
涼太が短い足をバタバタさせながら、俺の足元にまとわりついてくる。今、洗濯物取り込んでるんだけどな。歩けるようになったら、涼太はお手伝いがしてみたくて、俺に付き纏うようになった。
💙「…………ぷぅ……ぷぅ……」
一方、双子の兄の翔太は、まだ布団で、鼻でも詰まってるのか、時々変な音を立てて寝ている。可愛い。
地上に舞い降りた天使というのは、彼らのような存在を言うのではないだろうか。
💚「涼太、ハンカチとタオルたためる?」
❤️「うんっ」
四角いものを小さくはたためる涼太は、張り切って腕まくりをすると(パパの真似)一生懸命に小さな紅葉のような手でお手伝いを始めた。
自立心が強い、とでもいうのだろうか、弟の涼太は何でも自分でやりたがる。一方で兄の翔太は、身の回りのことはほとんどママである俺頼み、時には涼太にも頼っているようだ。甘え上手で誰も断れないからますますつけ上がるんだろうけれど。
❤️「お夕飯、なぁにー?」
💚「今日はね、カレーだよ♡」
❤️「翔太が好きだねぇ」
💚「そうだね、涼太は好みが渋いもんね」
❤️「んぅ?」
この双子は、食べ物の好みも真逆だ。
翔太はハンバーグやカレーライスといった子供が喜びそうなものを大喜びで食べるが(そして野菜は嫌いw)涼太は和食など、味の違いが繊細なものを好む。でも翔太のことが大好きな涼太は、翔太が喜べばそれで嬉しいらしい。我儘は一切言わなかった。
💚「ママ料理下手でごめんね。パパが休みの日には、涼太の好きなお刺身とか、煮物とか作ってもらおうね」
❤️「うんっ!!!……でも」
💚「ん?」
❤️「ママの料理、ぼくは好きだよ?」
💚「ああっっ!もう可愛い!食べちゃいたいっ!!」
心配そうに俺を気遣う優しくて可愛らしい涼太に、俺の胸は撃ち抜かれ、ぎゅーっと涼太の小さな身体を抱きしめた。
我が家に舞い降りた天使たち。
授かったのが双子だと分かった時にはリスクが大きいと医師にも旦那にも心配されたけど、頑張って産んで良かった!だってこの子たちはこんなに可愛くすくすく育ってくれている!!
俺は幸せを噛み締めながら、涼太の頬にキスを繰り返した。
❤️「あんっ。ママ、くすぐったいよ!」
クスクス笑う親子の平和な時間は、そう長くは続かない。少し遠くに敷いたお布団の中から、翔太のすすり泣く声が聞こえて来た。やがてそれはだんだんと大きくなり…
💙「うぇえええん、だれもいないのぉ???」
翔太が目を覚ました。
寂しくなって泣いている。
そうだよね、寝る前は隣りに大好きな涼太がいたんだもんね。
💚「尊い……」
この感情をどう言い表したらいいかと考えるまでもなく、『尊い』という4文字が浮かんできた。
翔太は我が家のアイドルだ。
とても愛くるしい顔立ちに生まれた。
涼太が少し切れ長の漆黒の目なのに対して、翔太は少し色素の薄い大きな垂れ目をしている。また、涼太がまっすぐな黒いストレートヘアなのに対し、翔太は柔らかい天然パーマ、生まれながらに少し茶色がかっている。
翔太は我儘だし、何もできないけど、愛嬌だけは人一倍で、旦那も涼太ももちろん俺も、翔太に何かあるとお姫様のように翔太を扱うのだった。
💙「りょた!ままぁ!!うぇーーーん」
ああ可愛い。
ママ、なんて、『まぁぁまぁぁぁ』になっちゃってるし。
涼太はママ、ぼく行ってくるね、と優しく俺の頬に一度だけキスを返すと、ナイトのように翔太のもとへと駆け付けた。
かっこよ。
うちの子たち、どうなっちゃうんだろ。
💙「あ!りょた……」
❤️「翔太、ぎゅー」
💙「ぎゅー」
感動的?な再会を見届け、俺は洗濯物を片付けて、夕飯の支度に取り掛かった。
後半へ続く
コメント
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もう尊いでしかないですね〜!阿部ちゃんようわかっとる! 続き楽しみにしてます😊
好き💚 世界が愛に溢れておる。続き待ってるー