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ー時透sideー
最終選別に来た
理由は…あまり覚えてない
確か、鬼を倒すため…だった気がする
会場には大分人が集まっていた
まぁ…僕には関係ないけど…
隅の方で待ってると8歳前後の女の子がキョロキョロしていた
『…』
あんな幼い子も最終選別に来るんだな…
まぁ、僕には関係ないけど…
…なんだろう、この気持ち
何故か僕はその子のことを自然と目で追っていた
そして、ドンッと誰かが背中にぶつかった音がした
「…?」
『あっ…!ご、ごめんなさい…っ』
あの子だった
その子はペコペコ頭を下げると、てとてとと僕の方から離れていった
…僕より身長が大分低かった
腕も足も細くて…多分僕より5歳近く離れてる
あんな子…最終選別になんで行けるのかな…
…なんであの子のこと考えちゃうんだろう…
「変だな…」
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そして最終選別が始まった
僕はぶつかったあの子のことと同じ所を行っていた
…初めてだな、あの子を見てると何かがギュッとなる
僕は片っ端からあの子に向かう鬼達を切り倒していった
あの子に怪我を負わせないために
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そして、最終選別が終わった
僕は最後まであの子を追い続けた
あの子…いるかな…
『あっ…』
あの子は泥はついていながらも無傷だった
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そして2年の時が経った
僕は…柱になっていた
今でもあの子のことを鮮明に覚えている
こんな事は初めてだ
僕は14歳だから多分あの子は…10歳前後だろう
あの子は…どういう経緯で鬼殺隊に入ったんだろう…
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「…おい時透聞いてんのか」
『誰ですか貴方』
「記憶喪失が過ぎるわ」
あっ…そういえば宇隨さんと(強制的に)食事処に来てたんだ…
「…んで、何考えてたんだよ」
『10歳前後の女の子の事ですね』
「お前そういう趣味持ってたのかよ…」
宇隨さんが少し眉を顰める
「あっ…10歳前後と言えば…」
『何かあるんですか』
宇隨さんが顎に手をやる
「蝶屋敷に居候してる10歳のやついるぞ」
『宇隨さん帰りますね』
「おい待てゴラ」
宇隨さんが立ち上がろうとしてる僕に向けてそう言う
「さ…アイツは10歳の癖に中々の実力を持ってるんだよ…それに、居候先はあの蝶屋敷だぜ?」
『…だからなんなんですか?』
「お前100%ボコられるぞ」
『物騒すぎませんか』
蝶屋敷って確か…胡蝶さんがいる所だよね…
あの人…別にいつもニコニコしてるから問題ないと思うけど…
「てか、何で10歳前後の女子の事考えてるんだよ」
『なんか…忘れられなくて』
すぐ記憶が消えちゃう僕でもあの子のことは鮮明に覚えている
細い腕…細い足…僕より大分小さい体…
声だって覚えてる…繊細で…すぐ消えちゃいそうな声だった
「ふぅん…なるほどねぇ…」
『急に変な顔してどうしたんですか』
「おい」
宇隨さんの口角がニヤリと上がる
「お前…それ、恋してるだろ」