ラヴ side
ラヴ「あぁ゛〜…」
山積みの英語の課題と睨めっこしかれこれ10分。
どうするものかと目を逸らすと、カレンダーが目に入る。
「5月11日」、その文字の下には「母の日」の文字。
嬉しくない、というか意味のない日。
……そういえば、なんか気が向かねぇと思ったらそういうことか。
毎年謎にこの日はうんざりする。
トントン
ラヴ「うげ、」
汰異怪「ラーヴ!!!」
うるさい奴が来た…
ラヴ「んだよ、どうした」
汰異怪「へへ、今年はラヴも行かない?」
ラヴ「…?どこに?」
汰異怪「そんなの決まってんじゃん!なんの日か知らないの?」
ラヴ「……はぁ、遠慮しとく」
汰異怪「…えー、」
ラヴ「俺ぁ目を向けられねぇから」
汰異怪「…よし、行くよ」
ラヴ「あ゛っ!?」
汰異怪「ふんっ、たまには行ってよね」
少し寂しそうなこいつの瞳が、俺の心をもっとうんざりさせる。
─────
汰異怪「…おかーさーん」
ラヴ「……来たくなかったっつーのに」
汰異怪「いいからいいから」
手元にあるのは、赤いカーネーション。
……好きじゃねぇなぁ、
汰異怪「お、あった」
ラヴ「…」
汰異怪「そっぽ向かないのー」
汰異怪「いつもありがとう」
ラヴ「…もういねぇやつに言っても仕方ねぇだろ」
汰異怪「…昔に戻った?」
ラヴ「…別に」
汰異怪「機嫌わるーっ」
汰異怪「…別に根に持たなくていいんだよ」
汰異怪「僕も雨瑠お母さんも既に許してる」
汰異怪「威張らなくていいんだからね」
ラヴ「…」
ラヴ「…そうかもしれねぇけど」
ラヴ「取り返しはつかねぇんだ」
汰異怪「…」
汰異怪「今日は感謝を伝える日だ」
汰異怪「恨みを発散する日じゃない」
汰異怪「ラヴは、生まれてきて良かったんだから」
ラヴ「…」
汰異怪「一番、いてくれて嬉しかった人は?」
──────
ラヴ「……なぁ、芽詩」
芽詩「ん?どした」
ラヴ「…できたら、でいいんだけど 」
ラヴ「今日、そばにいてもいいか?」
驚きを隠せないように目を見開くお前に、
家族同然の“ ありがとう ”を。
2025.5.11 , 母の日