コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
サイド マオ
もう4年前になる。
中学生だった俺はネットの世界にのめり込んでいた。
親がITC関連の仕事をしていたこともあり、普通の人なら知らないようなことも知っていた。
インターネットは偉大だ。今ではもう世界になくてはならないものになっている。
だけど、便利であると同時に恐ろしいものでもある。
全ての個人情報を晒される危険性。知らない人と繋がれる単純さ。裏から巧妙に人を騙す複雑さ。
便利の裏に隠れているネットの影を俺は見ていた。
自分は巻き込まれないようにと、親の助言を得て危険を知らせるアラームや、複雑化させたパスワードをスマホ・パソコンに入れた。
……それだけなら、何の問題もないからな。
ことの始まりは、◯◯銀行のサイバーセキュリティが突破され、ハッキングにより数億円の被害が出た事件だ。
「「すっ……?!」」
レンとユメの驚いた声がスマホ越しに聞こえる。
二人は幼かったから、覚えていないのも無理はないな。
「ああ……。当時すごい被害が出たのに報道記事が不自然なほど少なかった事件だよね?」
キリは覚えていたか。
「公にはなってないけど、犯人はモリワキ マオ……アカウント名“ダブルM”って事になってるわ。特に、ネットの中で」
「マオはそんなことする人じゃない!」
アミの言葉にキリが即座に否定した。
……まだ、何も言っていないのに俺のことを信じてくれるんだな。
「証拠だって上がってるのよ!それとも、今更言い訳でもするつもり?!」
アミは悲鳴に近い声を上げる。
「その事件のことを、今から俺目線で語る。全て真実だから、それを信じて聞いて欲しい」
正直、少し怖い。信じてもらえないかもしれない。それでも……
「話して。お願い」
それでも、こいつらなら大丈夫だと俺は思う。
だから、俺はゆっくりと話を始めた。