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第4話 もっと知りたい
それから数日。
陽葵と塁は、毎日のようにDMで話すようになっていた。
朝の「おはよう」から始まり、学校や仕事のこと、好きな食べ物の話まで。
少しずつ、お互いの日常を知っていく。
ある日の夜。
陽葵はいつものように、塁とのDMを開いていた。
塁「陽葵って、いつも楽しそうな写真載せてるよね」
陽葵「そうかな?好きなものを見つけたら、つい撮っちゃうんだよね笑」
塁「だから見てて楽しいんだと思う」
陽葵はそのメッセージを何度も読み返した。
「……なんでだろ」
胸の奥が、ほんのり温かくなる。
ただ「写真が好き」と言われただけなのに。
自分が大切にしているものを、誰かに見てもらえている。
それが、なんだか嬉しかった。
そして――
塁「陽葵のこと、もっと知りたいから」
「……え?」
陽葵の手が止まった。
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
もう一度、画面を見る。
『陽葵のこと、もっと知りたいから』
その文字を見た瞬間、心臓がドクンと跳ねた。
「……え、待って」
頬がじわっと熱くなる。
スマホを持っている手まで、なんだか落ち着かない。
嬉しい。
でも、恥ずかしい。
どう返信すればいいのか分からない。
陽葵はベッドの上でスマホを見つめたまま、しばらく固まっていた。
「こんなの……意識しちゃうじゃん」
小さく呟いて、自分で言ったことにさらに恥ずかしくなる。
顔が熱いのをごまかすように、枕に顔を埋めた。
それでも、スマホから目を離すことはできなかった。
画面には、まだ塁のメッセージが残っている。
陽葵は少し迷ってから、ゆっくり文字を打った。
陽葵「急にそういうこと言うの、ずるい笑」
送信。
数秒後――
塁「ごめん。でも本当にそう思った」
その返信を見た瞬間、陽葵の口元が自然と緩んだ。
「……もう」
恥ずかしいのに、嫌じゃない。
むしろ、もっと話したいと思ってしまう。
まだSNSでしか繋がっていない二人。
顔も、声も、実際の雰囲気も知らない。
それなのに――
塁からの通知を待つ時間が、いつの間にか楽しみになっていた。
陽葵はスマホを胸元に置いて、静かに目を閉じる。
そして、小さく笑った。
――もっと、塁くんのことも知りたい。
そんな気持ちが、陽葵の中で芽生え始めていた。
コメント
1件
ああ、もうこの距離感がたまらないですね……! 「もっと知りたい」ってストレートに言われたら、確かに意識しちゃいますよね。陽葵ちゃんが枕に顔を埋めるシーン、すごく共感しました。頬が熱くなる感じ、スマホ持つ手が落ち着かなくなる感じ——全部リアルで、読んでるこっちまでドキドキしちゃいます。 顔も声も知らない相手に惹かれていく過程が、こんなに瑞々しく描けるんだなって。次が気になります!