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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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おはよう〜!

なんか既にいいねがめっちゃ付いてて吃驚した(笑)

皆ありがと!

因みに前話の「自分らしく」の太宰さんの回答は私が道徳の授業の時に書いたやつだよ☆

リア友に太宰さん言いそうだねって言われたの使ってみました〜w

余談はここまでにして、

朝投稿してごめんね〜

それではLet’s Go!





























扉の前に私は立つ。武装探偵事務所と書かれた黄金のプレートが、差し込む日光を反射して、私の顔を映した。

寝起きが悪かった所為か、誰が如何見ても“ひどい顔”である。

何かを吐き出すように息をつき、ニコッと笑顔を作った。プレートに映る自分は、楽しそうな笑顔を浮かべている。

然し矢張り道化の仮面────作り笑顔には変わらないのだった。

扉のドアノブを掴み、ひねる。

─────ガチャッ

そして、

「グットモ〜ニ──へぶっ!?」明るい声で元気よく出社した私は、何かにぶつかった。

大岩のように、堅い何か。

「太宰、今が何時か判るか?」

ぶつかった大岩────同僚の国木田君は異様な雰囲気を漂わせながら、そう私に聞いてきた。

(怒ってる……)

国木田君に云われた言葉に答える為、私は事務所の壁にかけてある時計を、横からちらりと見る。

時刻は既に正午を回っており、事務フロアには人影が少なかった。

理由は勿論、昼食タイムだから。

恐らく殆どの事務員や社員が、各々の昼食を食べに────又は駄菓子を社長室で食べていたり、医療器具を買いに行っていたり、自宅前の畑で作物を耕していたりと、基本自分本位な社員達はそんな事をしているだろう。

然し仕事が残っているのか、国木田君は元より敦君までいた。

彼の顔は正に『僕、別に関係ないので、面倒事には巻き込まないでください』と言いたげな────否、既に私はそう捉えた。

「太宰、今が何時か判るか?」国木田君が二回目を云う。

大事な事は二回云うというものか……成る程。

私も再び時計に視線を移す。そして国木田君と視線を合わせた。

暫く視線を交わしていたが、私はその雰囲気をかき消すように、「コホンッ」と咳払いをする。

そして、ありったけの幸せを表す笑みでこう云った。

「ハロ〜諸く「違う!!」国木田君の怒鳴り声が、私の言葉を遮る。

そして国木田君は、私の首を掴んでわしわしと揺すった。

「誰がっ!挨拶をっ!時間に合わせろと云った!本当に貴様はっ!どれだけ俺の理想をっ!」

「うへへあはははは」躰が揺れる振動を楽しみながら、私は笑う。

私が国木田君の堪忍袋の緒が切れるラインをうろちょろ動き回り、時折踏んでいるのも、それを感じ取った国木田君が、自分で勝手に緒を切って怒鳴り声を上げているのも、そんな私達を敦君が遠い目で見るのも、全て何時も通りだった。

そう────何時も通り、だ……。
























***

「それにしても、太宰さん今日遅かったですね」

敦君が私に声をかけてくる。

その質問の理由が、先刻までの私の遅刻最高記録が三時間だからだ。然し今日は五時間も遅刻した。

所謂『新記録』と云うものである。

「聞いてくれるかい敦君?」

だらんっと机に体重をのせていた躰を起こし、真剣な表情で私は敦君に云う。「実はだね……」

敦君が息を呑んだ。

「何となく予想は付いているだろうけど、私は朝寝過ごして二時間遅刻したのだよ。まぁ其処までは佳かった。私は朝躰を起こし、着替えて家を出た」

「………」私の話を聞く敦君の顔が引きつっていく。

「問題はその後だ。出勤中に何ともまぁ魅力的な女性を見かけてねぇ、あわよくば共に心中でも…と思い、声をかけた」

「は、はぁ……」

「其処で思わぬアクシデントが起きたのだよ」

「アクシデント…?」敦君が目を丸くする。

「ここで問題っ!私───太宰治に起きたアクシデントとは何でしょう…!?」私はにやりと笑みを浮かべながら、デデンッと効果音を自分で云い、事務フロア全体に響くほど声量で云った。

「ひとつめ。痴漢だと思われ警察騒動になった。

ふたつめ。女性の飼い犬に追いかけられた。

みっつめ。声をかけた瞬間、排水溝に落ちた。────制限時間は三十秒!存分に考え給え!」




















「いちですね」

「いちだな」

敦君と国木田君が即答する。

「一寸二人共!三十秒もあるのだからもう少し絞り給え!!其れとも何だい?私を逮捕させたいとでも心中では思ってるのかい!?」

すると、敦君が何処からともなく伊達眼鏡を取り出し、そしてかけた。「第百三十八条」続けて国木田君が理想と書かれた手帖を開きながら、「無断欠席及び遅刻を行い続け、我が社に迷惑をかけた罪で逮捕する」

「私ちゃんと仕事してる時もあるよ!?」

「今日は怠けてばかりだ。敦、お前もそうおもわんか?」

国木田君の言葉に、敦君は大きく頷く。

「ひどっ!!」

そんな会話をし、私達は笑い出す。正に幸福の笑みだ。

然しクイズの選択肢は全て嘘だ。事実など、私は何一つ語ってないのである。




















────信頼してない。


刹那、“耳鳴り”が私を苦しめた。少し顔をしかめる。



違う。


違う。違う。


違う。違う。違う。


違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。














─────違うんだ。


信頼してないんじゃない。


信頼できないんじゃない。


私が─────




















【私が、皆を信頼できるような人間じゃないからだ。】

────人間、失格。

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コメント

2

ユーザー

今回も最高です!! もう、神ですね、最高すぎッ

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