おはよう〜!
なんか既にいいねがめっちゃ付いてて吃驚した(笑)
皆ありがと!
因みに前話の「自分らしく」の太宰さんの回答は私が道徳の授業の時に書いたやつだよ☆
リア友に太宰さん言いそうだねって言われたの使ってみました〜w
余談はここまでにして、
朝投稿してごめんね〜
それではLet’s Go!
扉の前に私は立つ。武装探偵事務所と書かれた黄金のプレートが、差し込む日光を反射して、私の顔を映した。
寝起きが悪かった所為か、誰が如何見ても“ひどい顔”である。
何かを吐き出すように息をつき、ニコッと笑顔を作った。プレートに映る自分は、楽しそうな笑顔を浮かべている。
然し矢張り道化の仮面────作り笑顔には変わらないのだった。
扉のドアノブを掴み、ひねる。
─────ガチャッ
そして、
「グットモ〜ニ──へぶっ!?」明るい声で元気よく出社した私は、何かにぶつかった。
大岩のように、堅い何か。
「太宰、今が何時か判るか?」
ぶつかった大岩────同僚の国木田君は異様な雰囲気を漂わせながら、そう私に聞いてきた。
(怒ってる……)
国木田君に云われた言葉に答える為、私は事務所の壁にかけてある時計を、横からちらりと見る。
時刻は既に正午を回っており、事務フロアには人影が少なかった。
理由は勿論、昼食タイムだから。
恐らく殆どの事務員や社員が、各々の昼食を食べに────又は駄菓子を社長室で食べていたり、医療器具を買いに行っていたり、自宅前の畑で作物を耕していたりと、基本自分本位な社員達はそんな事をしているだろう。
然し仕事が残っているのか、国木田君は元より敦君までいた。
彼の顔は正に『僕、別に関係ないので、面倒事には巻き込まないでください』と言いたげな────否、既に私はそう捉えた。
「太宰、今が何時か判るか?」国木田君が二回目を云う。
大事な事は二回云うというものか……成る程。
私も再び時計に視線を移す。そして国木田君と視線を合わせた。
暫く視線を交わしていたが、私はその雰囲気をかき消すように、「コホンッ」と咳払いをする。
そして、ありったけの幸せを表す笑みでこう云った。
「ハロ〜諸く「違う!!」国木田君の怒鳴り声が、私の言葉を遮る。
そして国木田君は、私の首を掴んでわしわしと揺すった。
「誰がっ!挨拶をっ!時間に合わせろと云った!本当に貴様はっ!どれだけ俺の理想をっ!」
「うへへあはははは」躰が揺れる振動を楽しみながら、私は笑う。
私が国木田君の堪忍袋の緒が切れるラインをうろちょろ動き回り、時折踏んでいるのも、それを感じ取った国木田君が、自分で勝手に緒を切って怒鳴り声を上げているのも、そんな私達を敦君が遠い目で見るのも、全て何時も通りだった。
そう────何時も通り、だ……。
***
「それにしても、太宰さん今日遅かったですね」
敦君が私に声をかけてくる。
その質問の理由が、先刻までの私の遅刻最高記録が三時間だからだ。然し今日は五時間も遅刻した。
所謂『新記録』と云うものである。
「聞いてくれるかい敦君?」
だらんっと机に体重をのせていた躰を起こし、真剣な表情で私は敦君に云う。「実はだね……」
敦君が息を呑んだ。
「何となく予想は付いているだろうけど、私は朝寝過ごして二時間遅刻したのだよ。まぁ其処までは佳かった。私は朝躰を起こし、着替えて家を出た」
「………」私の話を聞く敦君の顔が引きつっていく。
「問題はその後だ。出勤中に何ともまぁ魅力的な女性を見かけてねぇ、あわよくば共に心中でも…と思い、声をかけた」
「は、はぁ……」
「其処で思わぬアクシデントが起きたのだよ」
「アクシデント…?」敦君が目を丸くする。
「ここで問題っ!私───太宰治に起きたアクシデントとは何でしょう…!?」私はにやりと笑みを浮かべながら、デデンッと効果音を自分で云い、事務フロア全体に響くほど声量で云った。
「ひとつめ。痴漢だと思われ警察騒動になった。
ふたつめ。女性の飼い犬に追いかけられた。
みっつめ。声をかけた瞬間、排水溝に落ちた。────制限時間は三十秒!存分に考え給え!」
「いちですね」
「いちだな」
敦君と国木田君が即答する。
「一寸二人共!三十秒もあるのだからもう少し絞り給え!!其れとも何だい?私を逮捕させたいとでも心中では思ってるのかい!?」
すると、敦君が何処からともなく伊達眼鏡を取り出し、そしてかけた。「第百三十八条」続けて国木田君が理想と書かれた手帖を開きながら、「無断欠席及び遅刻を行い続け、我が社に迷惑をかけた罪で逮捕する」
「私ちゃんと仕事してる時もあるよ!?」
「今日は怠けてばかりだ。敦、お前もそうおもわんか?」
国木田君の言葉に、敦君は大きく頷く。
「ひどっ!!」
そんな会話をし、私達は笑い出す。正に幸福の笑みだ。
然しクイズの選択肢は全て嘘だ。事実など、私は何一つ語ってないのである。
────信頼してない。
刹那、“耳鳴り”が私を苦しめた。少し顔をしかめる。
違う。
違う。違う。
違う。違う。違う。
違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。
─────違うんだ。
信頼してないんじゃない。
信頼できないんじゃない。
私が─────
【私が、皆を信頼できるような人間じゃないからだ。】
コメント
2件
今回も最高です!! もう、神ですね、最高すぎッ