テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
うじ
326
ぴのん
336
ぴのん
3,032
よもぎもちー
84
若井side
その日から俺は味覚が無くなった。
好物の梅もいちごも味がしない。
まるで夢を見ているようだった。
荷物を持って今日も仕事へ向かう。
今日は涼ちゃんとある番組に出させてもらう。
楽屋に着いてドアを開ける。
ぶわっと香る甘い匂い。
藤「ん、わかいおはよ」
若「おはよ」
涼ちゃんと楽屋が一緒。だからあの甘い匂いも涼ちゃんってこと。
前まではそんなに匂いがしなかった。
味覚がなくなってからどんどん涼ちゃんといると甘い匂いがした。
まるで美味しいケーキの様な匂い。
信じたくないが、俺はフォークだったみたいだ
んで、この美味しそうな甘い香りがしている涼ちゃんは多分、ケーキ。
ケーキはフォークに喰われる。
もしかすると俺が我慢できなくなって涼ちゃんを喰うかもしれない。
ケーキは最近フォークの人に喰われて少なくなっていってるみたいな事を聞いた。
涼ちゃんが俺以外のフォークに喰われるという可能性もある。
それはいやだ、いやすぎる。
別に涼ちゃんに恋愛感情は無い。けど、涼ちゃんが喰われたら一緒に居れなくなる。
それなら俺が喰って一緒になる方がいい。
うー、と考えていたらこんこんっとノックがされ、もうすぐで収録始まりますとスタッフさんに呼ばれる。
藤「若井行こぉ」
若「うん」
どうすればいいか分かんなくなって最近は涼ちゃんに素っ気ない。
収録後、楽屋で涼ちゃんが話しかけてきた。
藤「若井、最近変じゃない?」
若「え、」
涼ちゃんは天然のおバカのくせに人の変化にはすぐ気づける。
藤「もしかして体調悪い?熱ある?」
そう言って俺のおでこを触る。
甘い香りが強くなる。
若「ないから、」
涼ちゃんの手首を掴んで顔の前で止まる。
涼ちゃんの手は男性らしいゴツゴツした手。
美味しそう、食べたいな….
藤「わかい、?」
若「と、とにかく元気だから気にしなくていい!」
俺、さっき涼ちゃんの手食べたいって、やば。
俺がいつ涼ちゃん喰ってもおかしくない。
荷物を持って、涼ちゃんにまた明日って言って帰る。
甘い匂いが、忘れられない。
明日、もっと匂いが強くなってたら、正気で居られる気がしない。
明日はレコーディングだってのに、
ちゃんとしてなきゃ沢山ミスってしまうぞ。
コメント
2件
わあ、第2話もすごく引き込まれました…! 味覚を失った若井さんの「甘い匂い」への敏感さと、涼ちゃんを“ケーキ”、自分を“フォーク”に例える表現が鮮烈で。恋愛感情じゃないのに「俺が喰って一緒になる方がいい」って、独占欲とも違う執着みたいなものにドキドキしちゃいました。最後の「正気で居られる気がしない」で、ゾクっとする怖さと切なさが同時に来ますね…! 次の話が気になります。