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外に出ると、爽やかな風が頬を撫でる。
サーガラは、不思議そうに青い空を見ている。
リキは、空の透き通るような青色がサーガラの鱗と
等しく見えた。その瞬間、感情が少し揺らいで
感動してしまった。観察しなければ
些細なことには気づかない。
けれども、よく見ればサーガラの鱗一枚のように
美しく感じることもあるだろう。
「お前の鱗は綺麗だな。」
リキがポツリと言うと
サーガラは振り向いた。
「お前の鱗も青葉のようで綺麗だ。
…俺たちは夏の色だね。」
そう言うと空に視線を戻す。
リキは、よく頷くとサーガラをひたすら見つめた。
「…そこの山だ。」
「行こう。」
「そうだね。」
林から山に入ると
青々とした葉の間から光がさして
リキたちの体に反射した。
普段からサーガラやリキは
空を飛んでいるが今日は特別歩いていた。
それだからか目的地まで着くのが遅かったが
着いてみるといい汗をかいたと笑っていた。
「そういえば、お前には奥さんが居たような
気がする。奥さんはどうした?」
「妻なら殺されたよ。俺の大親友に。」
「そして次は俺だ。」
「……………そんなの親友じゃねぇ。」
「いや、アイツは俺に惚れててね。
妻が邪魔だと思ったんだろう。」
「女か?」
「男さ。」
「…ふぅん。お前が好きな変わり者なんて居るのだな。」
「お前も随分変わり者だよ。」
「………そうだな。」
リキが頷いたら、何かが落ちてきた。
赤紫色の…翼の生えた何かだ。
上から落ちるとグチャという音と共に
リキの隣に落ちた。血が滲んで体が生臭い。
指が踏まれたのか関節がグチャグチャで
翼も破れていた。
リキはとっさにその何かを抱き上げると
それは竜だった。
「…い!おい!!」
「しっかりしろ!」
リキが叫ぶと竜は目を開けた。
「…ん…」
「先輩?」
※ここから竜視点になります。
咄嗟に俺は彼のことを先輩と言ってしまった。
それでも先輩は嫌な顔せず
手の傷を治してくれた。
「痛い?痛いよな。すまない。白魔術は苦手なんだ。」
「いや、良いですよ。痛くないので…」
「それより先輩こそ腕に擦り傷がある。
…ガーゼで血取ってあげるので腕貸してください。」
「?」
「その鞄。お前、医者か?メスがあるじゃないか。」
「医者ですよ。唯一、人に晒されて
殴られて拷問されながら耐えてきたんです。」
「だから先輩のような優しい方は初めてだ。」
俺がそう言えば先輩は頬を赤らめて
首を横に振った。
「優しくねぇよ。それより、名前は?」
「グーロ・グリンです。イギリス生まれで…。」
「先輩は?」
「リキだ。」
「それとコイツがサーガ…って居ない?!」
先輩が一枚の紙切れをみて
叫んだ。紙切れに目をやると
『用事ができた。』
と書かれていた。
「…群青色の鱗をした龍王がサーガラ。
行動と考えが読めない野郎だ。」
「グーロは、あまり関わらんほうがいい。」
先輩は目を逸らすと、俺の頭を撫でた。
「お前は西洋に帰らん方が良い。
俺の家でよけりゃ泊まらせよう。」
「妻も居ないのだから。」
「一人暮らしですか?」
「そうだ。」
「先輩のような方なら、すぐに出来ますよ。
妻も子供も良い子に育つと思いますけどね。」
「お前の思ってるような性格じゃない。
なんでも破壊したがる破壊神さ。俺は。」
クスッと先輩が笑った。
破壊だなんて物騒だが好奇心が勝ってしまう。
「破壊?どんなのです?」
「この空間とかだなー。それに俺は麒麟じゃないし。」
「…麒麟じゃない?」
俺が首を傾げて聞くと
煙が体から出てきて先輩は
四本も手がある皮膚の青い鬼神になった。
目は金色で髪は緑色。
黄金のネックレスのようなものをかけていて
釈迦が着るような綺麗な着物を着ている。
俺は、そんな姿をぽかんと見ていた。
「こんなだ。怖いだろう。」
「いや、…美しい。」
「ふはは!変わり者だな。醜いのに美しいだなんて。」
鬼のような牙を出して笑うと
ギラギラした目で俺を見た。
「けれど、視界が変わるな。
今、お前を見ると胸に緑色が混じってる。」
「俺のせいか…」
呟くように言うと
四本目の手で俺の翼に触れた。
「一日中飛んだな?お前、今日は飛べないぜ?」
「えっ…なんで…」
「疲れたら、その部分が黒ずんでる。
こっちのほうがよく見えるから役に立つと思う。」
「そうですか…なら歩いて下りましょう。」
「先輩は俺に乗ってください。歩けますから。」
「あぁ。お言葉に甘えるよ。」
先輩が俺に乗った。
俺は走りながら山を下る。
多分馬よりも速いだろうが、先輩は面白そうな顔で
俺の角を掴んでいる。
ときより『速い速い』と愉快そうに
声を上げてみたりもする。
やがて山を下れば
「いや〜よかった。竜は速度が速いのだな。」と笑う。
俺も「足には自信があるのでね。」と言い
自慢げな顔をした。