テラーノベル
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4話目もよろしくお願いします!
スタートヽ(*^ω^*)ノ
『おい!レトさん!』
朝の下駄箱。
登校してきた生徒たちの声が飛び交う中、キヨの少し大きな声が響いた。
『昨日なんで先に帰ったんだよ!』
珍しく、少し怒ったみたいな声に レトルトは肩をびくっと揺らした。
「あぁ……ごめん」
視線を逸らしながら、靴を履き替える。
「ちょっと用事思い出してさ」
咄嗟の誤魔化し。
本当は、あの光景を見ていられなかっただけ。
でもそんなこと、言えるわけがない。
するとキヨはむっとした顔のまま近付いてきた。
『もー、それなら連絡しろよな! 俺、ずっと探してたんだから!』
そう言って、自然な動作でレトルトの肩に腕を回して自分の方へ ぐいっと引き寄せた。
「っ……!////」
その瞬間、 レトルトの胸がどくんと大きく跳ねた。
(近い….////)
制服越しに伝わるキヨの体温。
耳元で聞こえるキヨの声。
胸の奥に沈んでいた暗い気持ちが、一瞬で吹き飛んでいく。
レトルトは少しだけ照れくさそうに笑う。
「……へへ、ごめんって」
するとキヨは満足そうに笑った。
『今日はちゃんと待っとけよな!』
その何気ない一言だけで レトルトは今日も頑張れそうだと思ってしまった。
昼休み。
いつものように、キヨとレトルトは屋上へ向かって廊下を歩いていた。
『5限の体育、サッカーだってさ!』
「うぇー。最悪。サッカーの面白さ、全然わからへん」
『レトさん、サッカー下手くそだもんなぁ』
「うるさい」
そんなくだらない会話をしていた、その時。
「キヨさーん!」
後ろから明るい声が飛んできた。
二人が同時に振り返ると そこに立っていたのは――例のマネージャーだった。
(…..あ)
レトルトの胸が、少しだけざわつく。
その横でキヨは気軽に手を上げた。
「おー!」
そしてそのまま、隣のレトルトを見る。
『レトさん、こいつこの前言ってた新しいマネージャー。 ちょい口うるさいけど、いい奴なんだよ』
「誰が口うるさいんですか!」
マネージャーはぷくっと頬を膨らませる。
その反応にキヨは楽しそうに笑った。
(仲良さそうやなぁ)
その光景に胸の奥がちくっと痛む。
するとマネージャーはぱっとレトルトの方を向いた。
「全身組のレトルトさんですよね!?」
目を輝かせながら言う。
「サッカー部のマネージャーやってます!よろしくお願いします!」
にこっと笑う顔は 明るくて、人懐っこくて、 確かに可愛い。
レトルトは少しぎこちなく笑った。
「……ど、どうも」
するとマネージャーは嬉しそうに続ける。
魑魅魍魎
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魑魅魍魎
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「いつもキヨさんから聞いてますよ! レトさんが〜、レトさんが〜って、ずっと話してるんですよ!」
「え!?」
レトルトが固まる。
その横でキヨが「あっ」と声を漏らした。
『おい!余計なこと言うなって!』
珍しく焦った声のキヨ。
マネージャーはケラケラ笑っている。
「キヨさん!今日も頑張りましょーね!じゃあ!」
そう言ってマネージャーは明るく手を振り、
そのまま、ぱたぱたと廊下を走っていく。
元気で 騒がしくて、 まるで小動物みたいだった。
キヨはその後ろ姿を見ながら、小さく笑う。
『ほんと落ち着きねぇやつだなぁ』
呆れたような声。
でも、その表情はどこか楽しそうだった。
その顔を見た瞬間、 レトルトの胸がまたぎゅっと苦しくなる。
(そんな顔、初めて見たなぁ。いややなぁ。)
その優しい目を、自分以外に向けないでほしい。
独占欲みたいな感情が浮かんでレトルトは慌てて視線を逸らした。
『……レトさん?』
キヨが不思議そうに覗き込む。
『どした?』
「……別に。可愛い子やな」
レトルトは胸の痛みを隠す様に無理やり笑った。
それから キヨはよくマネージャーの話をするようになったの。
二人で帰っている時も。
TOP4で屋上にいる時も。
『ほんと懐っこくて可愛いんだよな〜』
『仕事早いし気ぃ利くし、たまにドジなとこが なんか放っとけねぇんだよ』
そんな言葉を、キヨは悪気なく笑いながら口にする。
その度に レトルトの胸は静かに痛んだ。
でも、嫌そうな顔をするわけにもいかず レトルトは、いつも通り笑う。
適当に返事をして 苦しい気持ちは全部飲み込んだ。
自分には口を挟む資格はない。
勝手に傷付いてるのは自分だ。
そんなこと…..分かってる。
それでも一一。
放課後、教室からグラウンドを見る時間が いつの間にか苦しくなっていた。
前まではキヨを待つこの時間が好きだった。
サッカーしてる姿を眺めて たまに目が合って
帰り道でくだらない話をして、 それだけで幸せだった。
夕焼けの教室。
窓辺に頬杖をつきながら、レトルトはぼんやりとグラウンドを眺めていた。
(キヨくんが俺の事、好きなわけないよなぁ)
窓際で一人、小さく俯いた。
夕焼けに染まる校庭に サッカー部の声が響く。
その中心には、やっぱりキヨがいた。
レトルトは小さく息を吐いた。
その時だった。
「レトさん?」
後ろから声をかけられる。
振り向くと、そこにはガッチマンと牛沢が立っていた。
「お疲れ〜!」
ガッチマンはいつものようににこっと笑う。
その隣で牛沢は鞄を肩に掛けながら、涼しい顔で一言。
「おつかれさん」
レトルトも軽く手を上げた。
「おー、2人ともお疲れ〜」
するとガッチマンは窓の外をちらっと見て、すぐに察したように笑う。
「またキヨのこと待ってんの? 健気だねぇ」
からかうような声に レトルトは慌てて視線を逸らした。
「べ、別にそんなんじゃないし! ただ帰るタイミング一緒なだけやし!」
「ふーん?」
ガッチマンは意味深に笑う。
一方、牛沢は窓の外のキヨを眺めながらぼそっと呟く。
「まぁ、あいつレトルトいないとすぐ探すしなぁ」
「え?」
レトルトが思わず聞き返す。
すると牛沢は、興味なさそうに続けた。
「この前も“レトさんどこ行ったか知らない?”って3年の教室まで来て、 帰ったって言ったら、めっちゃ不機嫌だったぞ。」
その言葉に、レトルトの胸がどくりと鳴る。
ガッチマンはそんな反応を見て、楽しそうに笑った。
「ほら〜。お前ら両思いなんじゃないの?」
「っ!!?」
レトルトの顔が一気に赤くなる。
「ち、違うし!!!」
慌てて否定する声が、夕焼けの教室に響いた。
ガッチマンはふと窓の外へ視線を向けた。
グラウンドの端。
キヨの隣には、例のマネージャーがいる。
何か話しているのか、二人とも楽しそうに笑っていた。
「ふーん。あれが噂のマネージャーか」
ガッチマンは呟く。
「まぁ、確かに可愛いな」
その言葉に レトルトはしゅんと視線を落とした。
その反応を見て、ガッチマンと牛沢は一瞬だけ顔を見合わせる。
そして、
「なぁ、レトさん」
ガッチマンが、いつもより少しだけ真面目な声で聞いた。
「レトさんって、キヨのこと好きなんだよな?」
突然の言葉に レトルトは目を丸くしたが 、
不思議と誤魔化す気にはならなかった。
この二人には、隠さなくてもいい気がした。
レトルトは少しだけ迷ってから、小さく頷く。
「……うん」
するとガッチマンは優しく笑う。
「やっぱりねぇ」
牛沢も、どこか納得したように窓の外を眺めていた。
少しの沈黙の あと、ガッチマンが静かに聞く。
「レトさんが最近元気なかったのって、やっぱあいつのせい?」
レトルトはすぐには答えなかった。
窓の外。
キヨはまた、楽しそうに笑っている。
その姿を見つめたまま、レトルトはぽつりと話し始めた。
「……俺さ、 あの子みたいに可愛くないし」
掠れた声。
「俺のことなんて、キヨくんは友達としか思ってないよ」
自分に言い聞かせるような言葉。
好きになればなるほど 期待するのが怖くなる。
だから、最初から“叶わない”って決めつけてしまう。
レトルトはぎゅっと袖を握った。
「そうかなぁ?」
ガッチマンは不思議そうに首を傾げた。
「キヨって、レトさんのことになると必死すぎるというか……」
窓の外で笑っているキヨを見ながら、くすっと笑う。
「いつも“レトさんレトさん”って言ってる気がするけど」
レトルトはゆっくり顔を上げた。
すると今度は、隣で黙っていた牛沢が口を開く。
「俺らから見たら、 キヨはレトルトのこと好きすぎるくらいだけどな」
あまりにも自然に言われたその言葉に、レトルトは固まった。
「……そんなわけ」
「あるだろ」
牛沢は即答する。
「お前がいないとすぐ探すし、 お前が他のやつと話してたら機嫌悪くなるし、 レトルト絡むとあいつ分かりやすすぎ」
淡々とした口調なのに、妙に説得力があった。
ガッチマンも笑いながら頷く。
「この前だって、レトさん先帰っただけでめちゃくちゃ騒いでたしねぇ。 “なんで連絡くれないの!?おかしくない!?”って」
真似するみたいに言われて、レトルトは顔を赤くする。
「……でも」
それでも、不安は簡単には消えない。
「まぁ、でもこればっかりは本人に聞かなきゃ分かんないか」
ガッチマンはそう言って、ぽんっとレトルトの肩を叩いた。
「ちゃんと話しなよ?」
優しい声。
「友達枠から抜け出したいんだろ?」
その言葉に、レトルトは少しだけ目を見開く。
“友達”。
ずっと隣にいられる大事な関係。
でも本当は、その先を望んでしまっている。
手を繋ぎたい。
特別になりたい。
キヨの一番になりたい。
そんな気持ちを、ずっと隠してきた。
隣では牛沢もうんうんと頷いている。
「言わないと伝わんねーぞ?」
「……そうやな」
レトルトは小さく息を吐いた。
そして、少しだけ笑う。
「……今日、帰りに話してみる!」
さっきより少しだけ前を向いたレトルトに
ガッチマンは満足そうに笑う。
「よしよし! 頑張れ少年!!」
「なんやそのジジくさい言い方!」
レトルトが思わず笑うと教室の空気が少し軽くなった。
そしてガッチマンは鞄を肩に掛ける。
「じゃ、俺ら帰るな! また明日、屋上でなー!」
牛沢も軽く手を上げた。
「じゃあな」
そうして二人は教室を後にする。
静かになった教室で レトルトはもう一度窓の外を見た。
グラウンドでは、キヨが夕焼けの中を走っている。
その姿を見ながら、レトルトはそっと胸に手を当てた。
――今日こそ、ちゃんと伝えたい。
続く
コメント
5件

最近失恋したからキヨレト見て癒されます❤️🩹
うわっ…4話、めっちゃ切なくて心掴まれたわ…! レトルトの「キヨくんが俺のこと好きなわけない」って自己否定が痛いほど伝わってきて、こっちまで胸がギュッてなった。 ガッチマンと牛沢が「キヨはレトルトのこと好きすぎる」って言ってくれたの、すごく腑に落ちた。確かに、先に帰っただけで大騒ぎするキヨの行動、明らかにレトルトにベクトル向いてるよなって思った。 夕焼けの教室のシーン、めっちゃ映像が浮かんだ。最後の「今日こそちゃんと伝えたい」には思わず「頑張れ!!!」って叫びたくなったわ! 次どうなるかマジで気になる🔥