「七瀬…?」
七瀬郁子の席に座った俺を見て、そう呟いたのは、隣のクラスの神山亮だった。
俺はこの男がこの世で最も嫌いだった。
「は?違うし。冗談やめろよ」
「…あ、三宮か。一瞬七瀬かと思った。」
神山亮は薄く笑った。微笑み方が嫌い。この男の、感情の見えない黒い瞳が嫌い。
さっぱりとした短い髪、しかし少し伸びかけている。
この男のどこがいいんだよ。
「…は?」
神山は、きょとんとした顔でこっちを見た。
……俺、もしかして口に出してた?
「違う、今のはその…何でもない!ほんとに違うから…。」
慌てて弁解しながら、目をそらす。帰ろうとすると、神山が俺の腕を掴んだ。
「待って。」
俺は神山を睨みつけた。しかし神山は笑っていた。
たまらなく、恐ろしい。
「三宮、やっぱりお前、”そう”だったんだね」
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