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__ママ!パパ!僕将来ヒーローになりたいんだ!誰かを守るって素敵でかっこいいことでしょ!…命だって掛けれるよ!__
__今日学校でね!ヒーローごっこしたの!__くんも__くんもね!ヒーローに憧れてるんだってさ!……僕と同じ!僕の大切なお友達なんだ!ふふん♪__
__大丈夫だよ…僕…良い子だもん…我慢だってできる、ずっと楽しみだったママとパパの旅行が無くなっちゃっても……僕我慢出来るよ__
__パパ、あのね、最近ママの様子がおかしいんだ…お薬を飲んでも飲んでも咳が止まらないの…ママ……大丈夫だよね?__
「パパ……?ママは?……」
「ダレイ…落ち着いて聞いて欲しい…ママはね…一足先に眠ってしまったんだよ…」
「……」
「でも大丈夫だ!パパがついてる!ダレイ、お前はパパの大切な息子だ…」
「……ッ…ありがとう…パパ……」
_大切な人__🥀𓈒 𓏸
ダレイがBARに着くと、変わり果てた店内が目に写ったのだ
と言うよりも荒らされたわけじゃない
綺麗に片付けられていると言うべきか…何も無かった
グラスもないしコート掛けすらもない
間違いなくマイクはあの後1度BARに戻った
しかし今、経営をやっているという店内の面影は全くなかったのだ
むしろ自分の意思で辞めたような…
マイクの周りの物騒なヤツらのことだ。きっと店内を荒らすだろう
しかし綺麗に片付いている。マイクがやったのだろう…証拠は無いが。
「……そうだ!水晶玉!」
ダレイが水晶玉を探す
しかしどこにも見当たらない…隣の部屋も調べたが同じような状況で何も見つからない
ダレイは探しながら焦りを感じた
(持ってかれたか…?あれを持っていかれるとかなり不利だ…)
しかしカウンターの下を調べ辺りでダレイの望みの物、水晶玉が発見されたのだった
「…ッ!あった」
水晶玉を手に取り、カウンターの前に置いた
「マイクは今どこだ」
水晶玉がグルグルと円を描き出す…そして__
「…!これはどういう事だ!」
水晶玉には何も映らなかったのだ
まさか壊れていたのか?水晶玉の動きだけは止まらず、映像も何も映らない
「……ッ!!」
頭を下げ、途方に暮れるダレイ
水晶玉はそのうち動くことをやめ、そのまま元の色に戻る
「……どこだ…マイク……」
もはや諦めるしかないのか
今、街に変わりなんてない…探す必要なんてないのだ
__馬鹿犬のままね。友人を捨てる人間が居るか?__
「……友人…か」
課長の言葉と共にかつてのマイクが言っていた言葉が脳に流れた
__ジン・トニックを作る度に、お客様を思い出すんです。私にはお友達が居なかったので…__
「……そんなの…俺にだって居ない…」
カラン__
突然店内の扉が開くベルが鳴る
たまたまカウンター裏にしゃがみこんでいたダレイはそのまま体制を整え胸元から拳銃を取り出す
足音がカウンター側まで近付いてくるのが分かる…
奴らか…?入ってきた人数は少なからず二人程だ。
「……」
足音が目の前で消えた瞬間
ダレイは勢いよく飛び出し拳銃を向けた
「刑事だ!止まれ!」
「……!!」
黒いフードを被ったうちの一人がダレイを見ると同時に手を目の前に出す
手の中から何かが弾けると、ダレイの手元の拳銃が震え始める
「……!!待ってください!先輩!」
仲間の1人が叫ぶと、片方は突然の声に驚きながらも手を下げる
激しい動きと共に拳銃が投げ出されると、小さく破裂をし壊れてしまった
「アンタ…なんでこんな所にいるんすか…?」
止めたフードの1人が警戒する様子もなくダレイに話しかける
その様子を隣の仲間が不思議そうに見つめる
「なんで止めたの?…敵なのでは…狙われてるって」
「いや…この人は危ない人じゃないっすよ!」
ダレイは見覚えある声にハッと思い出す
「お前、まさか…エイデンか?」
フード越しに首を縦に振るとフードを取る
ダレイの言う通り、目の前にはエイデンが驚きつつ嬉しそうに立っていた
「知り合いなの?」
「勿論!!俺の大切な人の恩人っす!」
そう言うと片方の仲間もフードを取る
そこにはふわっとカールの掛かった綺麗な女性が立っていた
そしてこちらの女性にも、ダレイは見覚えがあったのだ
「……オリビアさん?」
「まぁ…!よくご存知で…あなたは一体?」
オリビアと呼ばれた女性は驚きながら口元に手を添え、ダレイに質問を返す
「以前、あなたの事件を担当した刑事のダレイです。」
「貴方が…?その沙汰は本当に感謝致します…つい油断していたもので…改めましてありがとうございました」
口調から仕草までが丁寧なオリビアはとても美しい
ずっと話していると心が奪われそうだ
「…それにしてもエイデン…大切な人の恩人だなんて……チャラいにも程があるわ…」
顔をそっぽ向け静かにそうつぶやくと、エイデンは顔を真っ赤にして落ち着きのない動きを始めた
「え!!いや!!!間違っては無いっすけど…!!てかチャラい関係ないっす!!」
照れ紛れに慌てふためくエイデンを置き。オリビアは何かを思い出したかのようにダレイの方に向き直した
「ところでダレイさん…何故あなたはこのBARに?」
「知り合いが行方不明になったんです…なにか情報をとここに来たんです」
「知り合い…ここのBARの方とですか?、彼は生憎愛想の良い人では無いのです…ここからは私達が引き受けますので…ご心配なさらないで」
「……ッ…………友人…です」
若干抵抗のある言い方をすると
オリビアとエイデンは驚いた顔をした
「あの彼に…御友人さんが……??」
「信じられないっす!しかもダレイさんみたいな方と!?」
「エイデン、それはどういう意味だ?」
「えっ!?あっいやあの!!」
「エイデンったら……彼の御友人さんで、刑事さんなら,協力をお願いしたいです……私たちには何も手掛かりが無いもので…」
「あんた達……まさか刑事か?」
ダレイがオリビアとエイデンに聞くと
2人は頷く
「勿論。彼の同僚です」
エイデンとオリビアが手帳を見せてくる
革製の珍しい見た目の手帳は、あの時マイクが見せてきた手帳と同じ柄の物だったのだ
「マイクが消えたのは何ヶ月も前っす。突然、連絡の音沙汰が途絶えて、疑問に思った上の連中が俺らに依頼してきたんす……マイクを見つけてこい…と」
「なるほど」
BARのカウンターに座りながらオリビアは店内を見渡す
エイデンはダレイの方を見つめながら話を聞く
「マイクは優秀だったんです…俺達に小包を教えてくれてさ!ただあまり人と話そうとしなくて,彼は刑事の中でも無口だったんすよ」
「……そうだったのか」
「俺が同僚と集まって打ち上げするぞ!って話も無視してたしなぁ」
「ふふっ…あれは少し面白かったわ」
「オリビアさん!?」
オリビアがからかうように笑うとエイデンは子犬の鳴き声のように情けない声を上げた
「…あっ…失礼致しました!私たらダレイさんを…」
「いや構わない」
ダレイはマイクのカウンター見つめている
オリビア達を見ずにまるで目の奥は遠くを見ているようだ
「仲が微笑ましいな…」
ダレイがエイデン達を見ると本人は意識をしてないが、初めて2人の前で微笑んだ
その顔が優しそうで普段との強ばった顔とは違い__思わず見とれてしまう程だ
「なんてかっこいい…」
「はっ!?…えっ!オリビアさん!?」
「私…分かった気がします。マイクさんが貴方に心を開く気持ちが…貴方の心が綺麗なのです」
オリビアが優しく微笑むと背後で暴れてるエイデンを放置し、ダレイに優しく声をかけた
「マイクさん…必ず救い出しましょうね」