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初こめ失礼します !! 宣伝から来ました!! 見てみたらほんっっとうに神すぎて発狂しちゃいました !!!!( タイトルから神すぎて……🤦♀️💗 よかったら仲良くしませんか!!?
やーーだあ!!!!! ななななにこれ尊すぎじゃないのお!!! オバチャン流石に悶えたヨ😧😧😧😧😧💞💞💞💞
酒臭く、笑い声が響く
ひと街の居酒屋。
「ええ、仰る通りです」
酷い苦笑いを浮かべる俺。
ブラック企業の付き合い
というものほど、
地獄に近い現実のものはないと思う。
「ウチには若い奴が少なくてねえ、
小松原くんのような優秀な人材が欲しいよ。 」
取引先のおエラい様は
年寄り同士で媚びへつらう。
「そうでしょう?
そろそろ昇給でもさせようかと思っているんです」
するとうちの課長は調に乗り
ありもしないことを云う。
「いえいえ、
全て課長の尽力のお陰です。」
どうせそう云って欲しいだけだ。
俺は会社が有利になるよう
動くことしか許されない。
「そういえばもう1人
佐崎という若いのがいるんですがね」
課長が唐突に出した名前に
ドキッとする。
「実績はいいのですが
どうも軽薄というかね、
小松原くんから見てどう思う?」
こんな奴に佐崎の人間性を
評価する資格は無い。
そう、怒りが込み上げる。
「そうですね。 」
だが、その感情は隠すしかない。
「ですが ああ見えて
努力家ですよ、彼」
旨さなんて感じない発泡酒を
喉に流しながら、俺はそう云った 。
〃
媚び、笑い、呑む。
それを繰り返していた時。
背広の胸ポケットでスマホが震えた。
「申し訳ありません
少し外します 」
通話画面を開く動作をしながら
そう云い席を立つ。
表示された名前を見ると
俺のイラつき沈んだ心は
一気に晴れる。
「どうした?佐崎」
「随分嬉しそうな声出すんですね、
先輩?」
俺の心情を読み取り
図星をつく彼に
俺は否定出来ず声を詰まらせる。
「そこ、抜けれませんか?」
そんな俺を少し笑った声を
漏らしながら彼はそう云った。
〃
「お疲れ様です。先輩」
店ののれんをくぐり、
冬夜の冷たい空気を浴びると
そこには彼がいた。
「いつからここに居たんだ?」
「最初っからですよ」
「全部聞いてました」そう言うように
彼はにこにこと笑みを浮かべる。
その笑顔に救われる。
「ったく、風邪ひくぞ」
先程まで上司に言っていた、
常套句のような気遣いでは無い。
お前には毎日会いたいから、
元気でいて欲しい。
そんな素直な願い。
「本当に抜けてこれたんですね。」
「ああ、あいつらもう大分
酔ってたし、 気づかないだろ」
「もし気づいたら
どうするんですか?」
「そんなの、
お前のためなら
降格でも降給でも受けるよ」
なんてキザな言葉が
口から滑り出る。
「ふふ、
もしかして先輩、
ちょっと酔ってます?」
目の前で彼は綺麗に笑い、
首を傾げ俺の顔を覗いてくる。
「そんな先輩には悪いですけど 」
「どうです?飲み直しませんか?」
〃
酒は香り、声も響く。
先程と似たような店のはずだ。
だが俺の心持ちは別種類の
飲食店にでも来ているように違う。
テーブル席にも関わらず
当たり前のように隣に座る彼。
彼といると一生体温の高い
顔のまま、愚痴を零し合う。
「俺、先輩が出世するのは
嬉しいですけど
部所が離れるのは嫌ですね 」
そんな云い合いの中で時々デレる
彼に胸の鼓動は高くなる。
酒が体内を巡り、
表情管理が上手くいかないまま
彼を見つめてしまっている。
〃
「寝ちゃいましたか」
酒と彼の声の心地良さに打たれ
俺は浅い眠りについていた。
彼の声は耳に入っているのか
入っていないのか。
不鮮明に響いている。
「おやすみなさい、先輩」
不明瞭な詩とともに
唇には柔らかい感触。
「………」
しばらく
じっと見つめられているような
感覚がした後、
また唇に同じ感触があり、
一滴の水が俺の舌に当たった気がした。
「ごめんなさい
1回じゃ足りませんでした」
「おやすみの口付けと、
お疲れ様の口移しです。」
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