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※弟師ifよつで、司先生の所為で色々大変な思春期少年ヨダジュンの話です。
夢を見た。
司くんは真っ白なベッドの上にいて前のめりになりながら、恥ずかしそうに胸を持ち上げるように腕を組んでいる。
そして、頬を染めながら。
『純、さん……。俺のおっぱい、触ってくれる……?』
と、恥じらうようにしどけなく僕に聞いてくる司くん。
夢の中の僕の手が躊躇なく伸ばされて、掴む僕の指が司くんの胸に沈み込む。
ふかふかで気持ちいい柔らかな司くんの胸。
僕は飽きもせず揉んでいき、『あっ、ふぁ……』と司くんが溢す熱帯びた吐息に、僕の前が張り詰めるように痛くて。
『純さん、気持ちいい……?』
そう最後に甘く囁きながら、潤んだ瞳で僕に淫美に微笑む司くんに、ふわっと僕の何かが解放された感覚がして。
すぐ後に明るい日差しの中で起きた僕は。
—————己の濡れた下着の感触に枕を床に思いっきり叩きつけていた。
(………………今日も司くんの夢を見た……)
剣呑な眼差しのまま項垂れた僕は、頭にタオルを被せたまま製氷時間にリンクのベンチで休憩してた。僕は元来スケートの事以外はあまり考え込んだりしないけど、もう最近はリンクから降りた後はいつも連日見る夢についてどうしても考えてしまう。
僕の見る最悪な夢。
…………エッチな司くんが出てくる夢。
あからさまな特大のため息が出てきてしまうけど、最近の僕にはクラブの人間達は“お触り厳禁な常に毛を逆立てているスサミ切った野良猫”と称しているらしい。
正直そんな名称はどうでもいいし。それならそれでいいから、もう誰も今の僕に近付かず構わないで欲しいのに。
「純さん、ちゃんと水分取ってる〜?」
気がつくと僕の前には、両膝に手をついて腰を屈めながら僕を覗きこんでいる司くんがいて。
何で危険な野良猫状態な筈の僕に気にすることなく!一番近づいちゃダメな相手が無防備にくるのさ!?
しかも今の司くん体勢は、両腕に横からぐいっと胸元が挟まれている状態だから、ふかふかの豊満な司くんの胸がさらに強調されるようでッ……!!
「胸を寄せるな!」
と、思わず思いっきり八つ当たるようにバシンと叩いた僕に、「何で!?」っと素っ頓狂な声を上げる全ての元凶たる司くん。
勿論謝るつもりは毛頭ない。僕はそっぽを向いて、不穏に顔を歪めながら水を飲む。
そう、全部の元凶は司くんだ。
あの日に司くんのとある夢を見たことから、僕の苦悩は始まったんだ。
その全ての始まりの夢。
ベッドにしどけなく横たわるその身に薄いシーツを被せただけの裸の司くんがくすくすと小さく笑いながら、『……ね、純さん。こっちに来て』としなやかに手を伸ばしながら、しっとりと濡れた声と共に優しい笑顔で僕を誘う夢だった。
そんな司くんのしどけない格好も、甘く潤んだ瞳も、濡れた艶やかな唇も、誘う柔らかな表情も、どうしてか見ている僕の心臓をドクドクと際限なく高鳴らせるものでしかなく。
翌朝目覚めた僕は、…………初めての無精でびしょびしょに下着を濡らしていたことに朝から悲鳴をあげてしまった。
その日からだ。
僕のスケートだけだった毎日が、一変して変わってしまったのは。
夢の中の司くんは、始めはまだ想像の産物というか作り物めいていたのに。日に日にどんどん夢の中の司くんは細部までリアルになっていく。
昨夜あんな夢で見た理由も、僕には確実に思い当たるものがあった。
昨日はレッスンの関係で司くんと一緒に着替えをしていて、僕の横で無防備にぽいぽいと軽く脱いでいく司くんがいて。「汗びっしょりかいちゃったよ」と笑いながら、あまりに無頓着に豊満な胸を僕に見せつけてくる司くん。ああもう頭が痛い。
「早く仕舞って」
「え?」
「その無駄に育った胸を早く仕舞え」
「何で!?」
とそれを早く仕舞って欲しくて最後には言葉強く怒る僕に、戸惑いつつも司くんは早く着替え終わる為に、急いで汗がむわりと湯気立つ胸の谷間を拭っていて。その姿なんて特に、くらりと強いめまいがしてしまいそうで。あろうことかそれでふわりとよろけそうになった僕を、慌てて受け止めてくれた司くん。勿論、その上半身は勿論裸であり。
その時にちょうど僕の手が、司くんの胸についてしまった事故により、…………思わず司くんの生胸を揉んでしまった僕がいた。
(だから夢の中で見た裸の司くんの胸は見たまんまだったし、揉んだ胸の感触もまるで一緒だったし……)
本当に……勘弁して欲しいとしか思えない。
これ以上エッチな司くんの夢を見るのも、情けなく下着を濡らして迎える朝も、もう真っ平ごめんなんだけど!!
だからもう、司くんとのこれ以上の危険な接触は禁止でいこうと固く決めていたのに。
「純さん、ごめんね〜。ちょっと前を通るね〜」
参考資料にいいと高峰先生が借りてきた映像を狭い従業員用休憩室のテレビで見ていた僕の前に、あろうことかお尻を向けて通る司くんがいて。
心構えなく突然僕の視界いっぱいに広がった、ムチっとした司くんの形のいい尻を僕は反射的に。
パァッン!!
「何で!?」
「……僕に卑猥なものを見せないで」
「通っただけなのに!?」
思考より先に思いっきり司くんの尻を叩いた僕に、司くんは不可解だと喚いている。
司くん、煩い。「ちゃんと通るって断ったのにぃ……」とかお尻を押さえながらぶつぶつ剥れて言っているけど。
ならそんな桃みたいなぷりぷりのお尻を僕に向けるな!!叩かれ足りないの!?と再び僕が怒鳴りそうになる前に、司くんは目的のファイルを手に取って部屋を出て行ったのだけど。
僕がこの日の夜に見た夢は。
『純さん……。俺のお尻をたくさん叩いてください♡』
と、ベッドに四つん這いになった裸の司くんが、そのつやつや丸々の桃のようなお尻を艶っぽく僕に向けて揺らしながら、叩いて欲しいと色めきながら強請る姿で。
パシンッパシンッと、覚えのあるいい音で司くんのお尻を僕が叩く度に、気持ち良さそうに司くんが背を逸らして、何度も大きな甘ったるい声をあげて。
最後は力尽きたようにぺたりと上半身はベッドに伏したまま、真っ赤に熟した果実のようなお尻だけをつき上げていた司くんが息を荒くしながら。
『……じゅん、さん……♡』
と、疲れ切って掠れた声で、縋るように僕の名を呼ぶ姿を見たのが最後で……。
翌朝の僕は下半身に濡れた感覚を自覚しながら、無言でまた床にめり込むように枕を叩きつけていた。
つらい。
しんどい。
ほんとうにやめて。
切実なる僕の思いは、どうして叶えられないのか。
迎えの車を一人待つ僕。夜も暗いし一人は危ないから一緒に外で待つよと快活に告げた司くん。いっぱい話す司くんの腹が、その会話の途中で哀れにぐぅと大きく鳴ってしまっていた。
「……ごめん、実は今日のお昼は食べ損ねちゃったんだ。バナナだけ食べていいかな?」
別に構わないと頷いた僕にありがとうと顔を明るくする司くん。そこまでなら、何の問題はなかったのに。
バナナを買った時に貰ったレシートが、ひらりと僕の足の間に落ちて。バナナを咥えたままの司くんが、僕の前でひょいと屈んで拾ったのだけど。
その時にバナナを咥えたまま、僕に失礼しましたと謝るように上目遣いに目を向けた司くんがいて。その司くんの顔がある場所が、ちょうど僕の“そこ”に当たる場所だったのに。
ばちーんっ!!×2
炸裂音が重なって。司くんの両頬を挟み込むように、躊躇なく思いっきりビンタした僕がいた。
「…………バナナを口に咥えるな」
「ふぁんで!?」
僕の威圧を込めた最早命令に、未だにバナナを咥えたまま司くんが両頬を押さえながら、わたわたとぐぐもった声で僕に叫んでいたけど、本当に全部司くんの所為だからッ!
そしてこの日に見た夢は。
……まぁ、うん。
予想通り僕のを一緒懸命に頬張り咥えながら、目尻を朱に染めた潤んだ目の司くんが上目遣いのまま、僕をうっとりと見つめる姿から始まって。
いつも快活に動く口から、ちらちら見える真っ赤な舌で僕のを美味しそうに、淫らに舐めていく司くんがいて。
それ以降は、今まで以上に絶対に絶対に誰にも言えない内容が続いていき……。
翌日、開口一番。
「…………司くんは未来永劫バナナを食べるの禁止だから…………」
「何で!?」
顔が凶悪にもう殺し屋の目まですさみながらおどろおどろしく告げた僕に、目を白黒させ声を裏返す司くん。最近性懲りも無く繰り返されるこんな会話がいつまで続くのか、怨嗟の念が今にも吹き出そうとするけど。
僕の見る夢には、どうして他の人間は全く出ずに—————“司くん”しか出てこないのか。
その根本的な理由に僕が気付くまでの割と長い間、僕は厳しくすさみゆく目で毎日を送っていき。
巻き込まれた司くんは日に日に苛烈に容赦なく積み重なっていく禁止令に、哀れな悲鳴をあげ続けることになるのだった。