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若井side
「……うん、…ふふ、ありがと。……僕も好きだよ」
廊下を歩いていると、奥の方からコソコソと話し声が聞こえた。
「ん?……うん、わかってるよ、明日会いに行くから……うん、うん」
声のする方へ自然と足が向く。
壁に身を潜めながらそっと覗くと、微笑みながら電話しているりょうちゃんがいた。
やっぱり、と溜息をつき、俺は壁に持たれかかる。
「僕って、恋愛体質なの」
以前りょうちゃんが言っていた。
要するに常に恋人がいないと落ち着かない、ということらしい。
女でも男でも、とにかく自分を夢中にさせてくれる人なら誰でも良いとまで言っていた。
俺が知る上で、今までのりょうちゃんの相手は共演者だったりスタッフだったり、はたまた一般人だったりと様々。
しかも恋人が変わるサイクルがとにかく早い。
惚気話をされる度に相手が違うために「一体どんな付き合いをしているのか」なんて、不思議に思ったりもした。
こんな風に相手がポンポン変わるのも問題大アリだけど、もっと問題なことがある。
それは、
『相手が自分を好きになると冷めてしまう』
ということ。
いつまでも相手を追いかけ尽くしたい、求めていたいというスタンスの彼は、逆に相手から執拗に求められると途端に冷めてしまうんだとか。
こんな厄介な人、他にいるのだろうか?
……まあ、そんな厄介な彼に惚れてしまった俺の方が、もっと厄介なんだけど。
「…あーあ、そろそろ終わりかな〜」
彼は大きなため息をつくと、足音がこちらへと向いた。
あ、こっちに来る。
りょうちゃんがこちらに来ることはわかったが、俺は一歩も動かなかった。
案の定、曲がり角で壁にもたれていた俺と出くわす。
「うわぁぁ!!……びっくりしたぁ……、若井かぁ」
「……また、相手変わったの?」
「え、やだぁ、人の電話聞いてたの?サイテー」
「最低なのはどっちだよ…」
彼の顔を一瞥し、そう言い放つ。
するとりょうちゃんは少し黙り、俺を睨みつけた。
「……ちょっと、人のプライベートに首突っ込まないでくれる?」
ーー地雷を踏んだ。
声のトーンが変わり、怒りを感じる。
普段滅多に怒ることのないりょうちゃんだからこそ怖気づいてしまう。
今ここで、この会話は続けるべきではない。
「あー、……ごめん。じゃあまぁ、俺はこれで」
聞きたいことは山ほどあったが、彼の怒りを察してしまっては、おちおちその場に居続けることは出来ない。
俺はこの場を立ち去ることを選択し、さっと彼に背を向けた。
…また、聞けなかった。
それだけ悔しく思いながらも、そのまま彼の顔も見ずにその場を後にした。
前に書いて没になったものです。
あと1、2話続きますが全体的に微妙な感じです。
かめ
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