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・前回と同じカプ
「…お願いします」
どこか慣れた様子で頭を下げたのは国連だった。
我が強い(悪く言えば自分勝手)常任理事国達は人に指図されるのを非常に嫌う性格だ。丁寧な対応をしなきゃ頷いてくれないのは国連も理解している様子。緊張故にか、頬に汗が伝った。
常任理事国達の反応を待っているようで頭は下げたままだ。
「…OK.やってやるよ。”全員”で。ただし、報酬は貰うぞ」
凛とした声で言い放ったのはアメリカだ。他のメンバーは少し嫌そうな顔をするが反対する様子は見られない。彼らにしては珍しい、妥協をしたのだろう。(恐らく渋ったとしても承諾するまで帰れない、と思ったためであろう)
「…!ありがとうございます…。それでは本日の会議は終わりとなります。お気をつけてお帰りください…」
その言葉の後、張り詰めていた空気が一気にほつれた。
椅子から立ち上がり、軽く荷物をまとめ皆散り散りに去っていった。
あっという間に静かになった会議室で緊張の糸がほどけたように国連はしゃがみ込んだ。
「あ゛あ゛…、ほんと…あいつらの相手めんどくせーよ………、、なんで私が……勝手に平和になって欲しいですよ……」
国連という男は、非常に押しに弱い。一人ひとりがパワフルかつ自分勝手な常任理事国の相手をするのはなかなかのストレスのようだ。目の隈も酷く、手足も異様に細い。それでも他者を優先する彼はこの職は非適職といえる。それでもやり続けるのには彼なりの理由があると言う。ただ、彼は自分の事を語るのを嫌う。そのため彼の事を”知っている”人は片手で数えれるくらいだ。いや、本当に知っている者はもういないのかもしれない。
「はぁ…、帰りますか…、」
スーツを正してから立ち上がる。ふらついているため見ていて危なっかしい。だが助けてくれる存在は居ない。
…数度よろけてから会議室の鍵を閉めた。
場所は変わり、本部建物の敷地外。
「ん〜〜〜………、、解決するなんて言っても…どーするのよ…」
中国とロシアは会議が終わるやいなやあっという間に帰って行ってしまったため、今いるのは先ほど声を発したフランスと相変わらず表情が冷たいアメリカ、そしてフランスから異常に距離を置かれているイギリスの3名だ。
「流石に5人でやんのは無理だ。他に…何人かは援助してもらえるように頼むしかねーだろ」
フランスとは頭一つ分…いや、それ以上身長に差があるためほんの少し背を丸めて答えたのはアメリカだ。
「援助…、ねぇ〜…、そんな事言っても…誰に?」
「ん〜……、、それぞれでこいつなら助けになるってやつを何人か用意して…やるとか、か?」
少し間を開けてから返事をし。
「あ〜〜………なるほど…ね〜…、」
納得したのかしていないのかはわからないが、頷いて理解した、とアピールを。
「決まったら…、連絡してくれ。俺も決める。」
と、スマホを見せ、ひらひらと動かす。続けて
「…………あ、親父もな」
そう、思い出した様に付け足す。
「…ええ、わかりました。…忘れてましたよね?私の事…」
少し目を細め、わずかに声を低くする。
「……別に」
「そんな事無いわよ〜……、、」
アメリカとフランスがそれぞれ答えるが、目が微かに泳いでいる。
「ッチ…F×ck」
それに対し唸るように暴言を。
「口悪…、」
「紳士ですから……口が悪いなんてことあるわけないでしょう?」
彼的には F×ckは暴言に入らないようだ。そして、睨むようにアメリカを見つめた。遮るようにフランスが、
「はぁ…、取り敢えず…、援助になりそうな国を数人決めて、アメリカに連絡する…それでいいわね?」
「嗚呼」
「……ッチ、仕方ないですね…」
二人の返事を聞いた後、帰るわよ!と、促す。アメリカがバカでかいヘリに乗り込んだのを見た後にイギリスとフランスは帰路へ向かった。
「ありがと…送ってくれて…」
「いえ、お安い御用ですよ…、」
フランス宅の玄関前まで送ったイギリスは踵を返しロンドンへと引き換えした。
フランスはモナコと2人暮らしだ。ちょうどモナコがバチカンやサンマリノなどと会食をしているため、今は居ないようで、室内は恐ろしいほどに静かだった。
バタン、と玄関扉を閉めて部屋に向かいながら思考する。
(鏡を見ただけで倒れる……そんなことあるの……?おかしすぎない!?)
(あの…スペインとポルトガルが…?一緒に居たことも気になるけど…一旦触れない方が良いのかしら…。昔よりは衰えたけど……そんな……その何かの力で倒れた…?)
ふと、姿鏡を見ると”何か”が揺らいだ気がした。