~アクアマリノ郊外 神殿騎士第七師団駐屯地近く~
神殿騎士第七師団が奴隷売買に加担しているという話の裏取り―――
オレたちを尾行してきた奴らからとれた。
オレ、マリー、フラムさんは不正に囚われている人たちを解放するために神殿騎士第七師団駐屯地まで訪れていた。
尾行していた奴らの話によると、そこの地下室にこれから奴隷として出荷される予定の人たちが囚われているらしい。
目的としてはその人たちの解放、そして不正に奴隷売買に加担をしているという証拠を集めることである。
オレたちは目的地の付近まで到着し、入り口の様子を伺っていた。
当然、入り口は厳重に閉ざされており、見張りの男が二人立っていた。
「マリー、フラムさん準備はいいですか」
二人は大きく頷く。これからあそこに侵入し、囚われている人たちを救出する。
作戦としては、フラムさんとマリーが地下室から囚われている人たちを牢から解放し、オレが基地内部から証拠となる物を入手するということにしていた。
「よし、それじゃ行きましょう!」
「白魔法:光学迷彩(ステルス)」
オレは自身を含め、二人に透明化の魔法を使用した。
「この魔法の効力は大体20分が限界です。」
「―――なので、それまでに救出をお願いします。」
「二人とも、もし万が一危険だと感じたらすぐに逃げてください。」
オレは二人にそう言う。
「分かった。」
「ススム君も気を付けていくんだ!」
「帰ったら、美味しいものみんなで食べましょうね!」
二人は、入り口から入り、オレは軽快に木々を伝って屋上から侵入することにした。
集めた情報によると、神殿騎士っていうのはこの聖王国のお抱えの騎士団でその実力はこの世界ヌバモンドにおける人種最強の騎士団で超エリートらしい。
世界中から白魔法に適性のある者や優れたスキル、魔法を持つ者を身分問わず集めて英才教育によって鍛えているとのこと。
さらに神殿騎士一人で他国の騎士数百人分の戦力に匹敵し、神殿騎士幹部は数千人に匹敵すると。
それ故所属する人数は極めて少なく少数精鋭になっているようだった。
第七師団と言うことはこんな風な基地がこの国にはあと六つあるんだろうと推測される。
オレは二階の窓から侵入を開始した。
神殿騎士の基地の窓ガラスではなくステンドグラスであった。
「下手に壊して音がしたら不味いな―――」
オレはこじ破りという手法で窓ガラスを割ることにした。
これはよく空き巣などが家に侵入するときに使用される方法で、窓ガラスと枠の間を何か尖った物で数回突いて窓ガラスを割るというし手法である。
その特徴として、ほとんど音がなく、数十秒で割れるというメリットがある。
「よし、割れたようだな―――」
「すぐに侵入がバレるのも不味いから、一応元に戻しておくか―――」
「スキル:錬金術 成分解析」
「スキル:錬金術 復元」
割れたステンドグラスの成分を解析し、その情報を元に元の形に復元を行った。
「よし、早速内部を探索しよう。」
少し小学生の探検のようにワクワクしていた進であった。
一方、マリーとフラムは地下に続く道を探していたが、中々見つからずに苦戦していた。
「中々見つかりませんね―――」
マリーがフラムにぼやく。
「こちらも見つからない。」
「もしかしたら、隠し通路のようにどこかに地下に繋がるスイッチのようなものが在るのかもしれない。」
「だったら、一回外に出て、態勢を立て直すのも考えた方がいいですね!」
マリーが提案する。
その時、向こうの方から一つの足音が聞こえてきた。
「マリー君、誰か来たようだ―――」
二人はその場にしゃがみ込み、気配を殺す。
そこにやってきたのは明らかに騎士ではないような、一人の老人であった。
そして、その老人は何やら、廊下に掛けられた絵画の裏をゴソゴソとしている。
どうやらスイッチのようなものを押していたようだった。
ゴゴゴと音を立てて、地下に繋がる道が開いたのであった。
「本当に隠し通路になっていたのか!」
「フラムさんあの人に付いて行きませんか?」
「そうだな付いて行こう!!」
マリーとフラムはその怪しげな老人に付いて行くことにした。
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