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一ノ瀬ルナ
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#日記
QuartoMew
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フユめん
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コメント
1件
あー、もうみんなの掛け合いが可愛くて仕方なかった🥀 蓮くんの「めんど」から始まるテンション、伊織くんの情緒不安定な自己肯定感爆発、朱音ちゃんの「クソ無愛想な男」呼ばわり、凪くんの静かなツッコミ…それぞれの個性がぎゅっと詰まってて、読んでてすごく楽しかった。 特に朔羅さんが「仲間を置いていかないこと」って笑顔で言うところ、一瞬笑顔が消えるところがゾクッとした。あの人の言葉の裏には絶対に重い覚悟があるんだろうなって思う。 最後の『月蝕』の少年の存在…気になりすぎる。次が待ち遠しいです🌙
第16話 それぞれの場所
───in「黒帳」組織の宿
蓮「……」
宿の入口。
蓮は扉の前で、しばらく立ち尽くしていた。
蓮「……(ここに来ると、いつも振り回されるんだよな……)」
蓮「(今日、大事な会議があるとか言ってなかったっけ……)」
蓮「(……めんど)」
蓮「(そもそも俺が出る必要ある?)」
しばらく考えた末、蓮は小さく息を吐いた。
蓮「……帰ろうかな」
凪「おい」
蓮「うわっ!?」
突然、背後から声をかけられる。
蓮「……急に話しかけないでよ。幽霊じゃん」
凪「幽霊ではない」
凪「お前がドアのど真ん中で一人突っ立っているから声をかけただけだ」
蓮「……」
凪「早く中に入ったらどうだ」
蓮「はいはい。入る入る」
凪「『はい』も『入る』も一回でいい」
蓮「えー……突っ込むところ、ちょっとギチギチじゃない?」
凪「……何?」
蓮「面倒な人だね」
凪「………(^^(圧))」
蓮「はいはい、怖い怖い」
凪「……」
蓮「……」
ガチャッ。
扉を開けた瞬間──
伊織「え…」
蓮「……」
伊織「やっと二人きた!!来てくれたァァァ」
伊織「良かったよおぉぉぉぉ!!!!!」
伊織が勢いよく二人へ駆け寄る。
伊織「ずっと待ってたんだよ!?!」
蓮「……」
伊織「蓮く──」
伊織が抱きつこうとする。
スッ。
蓮「……」
一歩、横へ避ける。
伊織「…………」
蓮「うるさいし」
伊織「え」
蓮「あと、抱きつくな」
伊織「だって!!」
伊織「一人でずっと不安だったんだよ!!!」
伊織「今日って本当に集まる日だったのかな!?俺の見間違いだった!?俺の目が節穴だった!?そうだよね!?俺はゴミみたいな目と耳と鼻と口と脳と身体でできた廃棄物でしかないんだから!!」
伊織「無能で落ちこぼれで何の役にも立たないんだぁぁぁぁぁ!!!!!」
伊織「ハァーッ!!どうしよう!!どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!!!!!」
蓮「……」
蓮「榊原」
凪「なんだ」
蓮「あれ、何とかできないわけ?」
凪「……俺が言ったら、以前『心が折れた』と言われた」
蓮「……あ、そうなの?」
凪「ああ」
蓮「どんまい」
凪「他人事だと思いやがったな。」
伊織「俺、やっぱりここにいない方がいいんじゃ──」
朱音「来たなりからうっさいんだけど」
伊織「!!」
朱音「ちょっとは静かにできないわけ?」
朱音「せっかく、いい気分だったのに台無しじゃない」
朱音「特にそこの自己肯定感低男」
伊織「えぇ……」
伊織「もしかして、それ……俺のこと……?」
朱音「アンタ以外に誰がいるのよ」
伊織「……」
朱音「ここにはクソ無愛想な男と、クソ陰気臭い男と、自己肯定感低男しかいないじゃない」
蓮「……」
蓮「いい加減、そのあだ名やめてほしいんだけど」
朱音「嫌よ」
蓮「即答じゃん」
朱音「だって呼びやすいし」
蓮「俺の名前より?」
朱音「当たり前じゃない。」
蓮「……。」
凪「……お前たち、会議をする気はあるのか?」
朱音「あるわよ」
伊織「あるあります!!」
蓮「……一応?」
凪「なら静かにしろ」
伊織「はい!!」
凪「返事も大きすぎる」
伊織「すみません!!」
凪「だから声を落とせ」
伊織「はい……」
蓮「……」
蓮「忙しいね、榊原」
凪「誰のせいだと思っている…」
その時──
ガチャッ。
朔羅「ごめーん!!諸君!!」
朔羅「僕のお手製クッキー焼いてたら遅くなっちった♡」
朔羅が両手いっぱいにクッキーの入った袋を抱えて入ってくる。
全員「…………」
朔羅「…………」
朔羅「……あれ?」
朔羅「みんな、なんか返事してくれない……!?」
朔羅「僕が浮き彫りになってるから!!!!」
朱音「自分から遅刻しておいて何言ってるんですか…」
朔羅「朱音ちゃん冷たーい!」
凪「朔羅様。会議の時間は把握しておられましたよね?」
朔羅「もちろん!」
凪「では何故遅れたのですか」
朔羅「だってー」
凪「……」
朔羅「クッキー焼きたて食べてたら止まらなくなっちゃって♡」
凪「……はぁ」
蓮「暇なの?神代は」
凪「神崎」
蓮「何?」
凪「余計なことを言うな」
朔羅「まぁまぁ!」
朔羅「今日はちゃんと会議するから!」
朔羅「ほら、みんな座って座ってー!」
───
数分後。
全員が席につく。
先ほどまでの騒がしさが嘘のように、部屋の空気が変わった。
朔羅「……さて」
朔羅「今日集まってもらった理由だけど」
朔羅「まず一つ目」
朔羅「『月蝕』について」
蓮「……」
凪「最近、『月蝕』の動きが目立っている」
朱音「表立った行動は少ないけどね」
朱音「だからこそ、何を考えているのか分からない」
伊織「……月蝕……」
さっきまで騒いでいた伊織の表情が、わずかに強張る。
朔羅「そうなんよ」
朔羅「人数こそ少ない」
朔羅「でも、一人一人がかなり厄介だ」
蓮「……それって、そんなに強いってこと?」
朔羅「強いで」
朔羅「君らがちゃんと連携すれば、勝てる可能性はある」
朔羅「でも、一人や二人で相手するのはおすすめしない」
蓮「……」
朔羅「特に、あいつらは何を考えてるか分からないからね」
蓮「「月蝕」の目的はわかんの?」
朔羅「さぁ?」
蓮「……」
蓮「…ここの当主なのに分からないってこと?」
朔羅「いやぁ、分からんもんは分からんよ」
朱音「…」
朔羅「でも」
朔羅の声が、少しだけ落ちる。
朔羅「目的が分からない相手ほど、怖いものはない」
蓮「……」
朔羅「だから、単独行動の時は特に気をつけてほしい」
凪「相手を見つけたからといって、すぐに接触するな」
凪「まず周囲を確認しろ」
凪「相手の人数」
凪「逃げ道」
凪「そして、自分が置かれている状況」
凪「それらを確認してから判断するんだ」
朱音「簡単に言えば」
朱音「無理だと思ったら逃げろってことね」
蓮「……逃げたら負けじゃない?」
朱音「は?」
蓮「敵と会ったのに何もせず逃げるって、なんか負けたみたいじゃん」
朱音「アンタ、死にたいの?」
蓮「いや、そういうわけじゃないけど」
朱音「相手は『月蝕』よ」
朱音「異能力を使う奴らがいる」
朱音「こっちは物理攻撃が中心」
朱音「勝てるかどうかも分からないのに、正面から突っ込む意味なんてないでしょ」
蓮「……」
朱音「勝てない相手に向かっていって死ぬなんて」
朱音「ただの無駄死によ」
蓮「……まぁ」
蓮「それはそうだね」
凪「強さとは、無謀に戦うことではない」
凪「生き残ることもまた、重要な判断だ」
蓮「……」
その言葉を聞いて、蓮は一瞬だけ凪を見る。
伊織「……」
伊織「俺……生き残れるかな」
朱音「アンタはまず敵より、自分のメンタルをどうにかしなさいよ」
伊織「それができたら苦労してないよぉぉぉ!!」
朱音「はいはい」
伊織「軽い!!」
朔羅「はいはい、そこまで!」
朔羅が手を叩く。
朔羅「まぁ、今日言いたいのはそんな難しいことじゃない」
朔羅「何かあったら、一人で抱え込まないこと」
朔羅「危ないと思ったら逃げること」
朔羅「そして──」
朔羅は笑ったまま、机の上の資料を見る。
朔羅「仲間を置いていかないこと」
凪「……」
朱音「……」
蓮「……」
伊織「……」
朔羅「これだけ覚えておいて」
朔羅「……特に」
朔羅の笑顔が、ほんの少しだけ消える。
朔羅「『月蝕』は、いつ動くか分からない」
朔羅「何か起きてからじゃ遅いからね」
朔羅「まぁ……」
朔羅はいつもの調子に戻り、笑う。
朔羅「僕の大切な子たちは、そんな簡単にやられるほど弱くないし??」
朔羅「それなりに期待してるよ」
───
その言葉の裏で。
まだ誰も知らない。
『月蝕』の中にいる一人の少年が。
すでに黒帳へ向けて、別の思惑を抱えていることを。
そして──
二つの組織が交わる日は、少しずつ近づいていた。