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黒い垂れ幕と、黒い服に身を包んだ人たち。
みんな私の親戚。
だけど助けてくれる人はいなかった。
私を気にかけて、優しくしてくれたのはホオズキだけ。
「まだ25歳だったのにかわいそうね……」
そう、私はまだ25歳だったの。
「子供のころは、浮気相手の子供だと疑われて実の父親にも捨てられてしまったって話だろ?」
ああ、そういえば母親は浮気していたっけ。
私の父親は長距離トラックの運転手だったから、家を空けることも多かった。
浮気するにはもってこいだったのよね。
父親は浮気を知って、私のことを浮気相手の子供だと思った。
まあ、不在時間のほうが長いと浮気女の子供が誰の子か疑心暗鬼にもなるわね。
だから私は捨てられた。
正真正銘、実の子供だったのに。
「あら、私が聞いた話じゃ養護施設を出た後の就職先で、社長夫婦の浮気と離婚に巻き込まれてクビになったって……」
そうそう、社長の女癖の悪さが離婚につながったのよね。
奥さんは私を利用して離婚の証拠を集めていたんだもの。
社長ってば私のせいで離婚調停が不利になったって逆恨み。
私のことを文字通りクビにした。