おまけ(っていうか息抜きの回)
“音駒とのハロウィン” でぅえす。
西川side
(あ、今日ってハロウィンか!)
バスの運転席においてあったカレンダーを見てハロウィンに気づいた私。
とわいえ今日は音駒との練習試合。
(仮装とかはできないなー、)
イベントには結構乗る私にとっては少し残念だが、まあ仕方ないと席に座った。
(ていうかずっとこの席だな・・・なぜ、)
初めての練習試合以来ずっと隣は月島くん。
『今回も月島くんの隣かー!』
月島「なに、嫌?」
『いえいえ、嫌じゃないですけどー?』
長い間話すことが多かったから、月島くんとは前よりかなり仲良くなった。
私は荷物を置いてから疑問が浮かぶ。
(月島くんってイベントとかやるのか、?)
(存在すら知らなさそう・・・)
なんとなく気になって月島くんに聞く。
『ねね月島くん!今日は何の日でしょー!』
月島「・・・ハロウィンでしょ。」
『え?!月島くん知ってるの?!』
(意外すぎる・・・!)
私が驚くと顔をしかめる月島くん。
月島「僕のことバカにしてる?それくらい知ってるんだケド。」
『す、すみません・・・だって月島くんイベントとか嫌いそうだし・・・!』
月島「別に。好きでもないけどね。」
そう言ってヘッドホンを首にかけカバンからアイマスクをだす月島くん。
(月島くんっていっつもすぐ寝ちゃうなー、)
(・・・今日って夜久さんに会えるんだよね)
私は急いで月島くんに話しかけた。
『月島くん、1個だけ聞いてもいい?』
月島「・・・なに。」
『私に似合うお化けとか居ない、?!』
月島「はい?なんで急に?」
『ほら、だって今日夜久さんに合うから、ちょっとくらい可愛いやつを・・・』
さっきまで普通の顔だったのに、私が理由を言った瞬間眉間に皺を寄せる月島くん。
月島「・・・知らない。」
『ちょ、頼むよー!月島くんー、!』
『ほ、ほら!月島くんにお菓子・・・ショートケーキ奢るから!』
月島「・・・・・・」
『と、トリックオアトリートだよー、!』
顔をしわくちゃにしてそう言うと、そっぽを向いた月島くんが吹き出した。
月島「ちょ、ふふ、意味わかんないんだけど」
『う・・・スンマセン。』
(わ、笑った・・・!珍しい!)
月島「・・・ショートケーキ、奢ってよ。ちなみに二人で行くから。」
『え、私と食べていいの?』
月島「・・・いいから言ってるんデショ、」
相変わらずこっちを見てくれない月島くんだけど、やっぱ優しい。
『も、もちろん!奢らせていただきます!』
月島「ん、でなに、似合うお化け?」
『そーそー!まあ仮装はできないけど・・・』
月島「・・・猫とかでいいんじゃない。」
月島「夜久さんって人、音駒だし。」
『え!ね、猫?!笑』
まさかの可愛いチョイスに、少し笑ってしまう。あの月島くんからそんな言葉が出てくるとは・・・!
月島「チョット、人に頼んどいて笑うの?」
『ちょ、ふふ、ごめんて!』
『でも猫かあ・・・嬉しいけど私そんなに可愛いのは似合わないかなあ・・・』
月島「・・・似合うんじゃない、まあ」
なんだか可愛いと言われたような気がする月島くんの発言。やめて?!
『え?!・・・あ、ああ、確かに猫ぐらい可愛かったら誰にでも似合うかもね!』
(勘違いしそうなこと言わないでよ・・・)
月島「はあ・・・、ソウデスネ。」
(あ!いいこと思いついたぞ!)
『ねーねー月島くん!』
月島「なに、」
『・・・猫は確かにみんなに似合うけど、月島くんにはもっと似合うと思うよ。』
(なんとなくツンデレって感じだし、)
私はそう言いながら月島くんの頭に指で猫ちゃんの耳をはやす。
『ふふ・・・ほら、にゃーん。』
月島「・・・・・・は、」
思ったより似合っていて少し笑う私。月島くんは顔が真っ赤になった。
月島「ばっ、ばっかじゃないの?!?!」
『え、なななにが?!』
(びっくりした・・・急に大きい声、!)
月島「もうほんとばーか!!」
そう言い捨てると月島くんはヘッドホンをつけてそっぽを向いてしまった。
(や、やりすぎたか・・・?)
(ふふ、でもちょっと楽しい・・・!)
『ん、ふあぁ〜・・・』
(バスって暖かいから眠くなるなー・・・)
私は少し後悔しながらも、なんだかほっこりして寝落ちしてしまった。
<ピー!ピー!>
謎の機械音がして目を覚ますと、もう東京についてたようだ。
(ブレーキ音か!・・・ってん?)
体に違和感を感じて見ると、頭は月島くんの方に寄りかかり、肩から膝下までの長いジャージが掛けられていた。
(あ、月島くんジャージ着てない。)
どうやら月島くんがかけてくれたようだ。
(寄りかかっちゃったかな、申し訳ない、)
(それにしてもやっぱ優しいなあ、)
私は少し罪悪感を感じながらお返ししようと月島くんに声をかける。
『月島くーん、起きてくださいよー』
『ほらほら猫ちゃんにしちゃうぞー!』
頭に指の耳を生やしても起きない月島くん。
『ちょっと月島猫ちゃーん?』
(意外と全然起きないなこの人!)
私は少し諦めながらぼーっとアイマスクをしていない月島くんの顔を眺める。
(・・・よく見ると綺麗な顔だなー、)
(鼻は高いしまつげ長い。・・・ハッ!ひょっとしてイケメンってやつでは?!)
今更感はあるが私にとっては結構衝撃。
『・・・かっこいいなあ、』
衝撃のあまりぼそっと思考を漏らすと、寝ていたはずの月島くんと目が合う。
『えっ?!お、起きてた?!』
私も赤いが月島くんも真っ赤である。
月島「・・・誰かさんが変な事言うから起きちゃったんデショ・・・!」
『わっ忘れて!!ショートケーキ奢るから!』
月島「・・・・・・無理、」
『えーーなんでよー!!頼むてー!!』
(は、恥ずかしすぎる・・・、!)
月島くんとわちゃわちゃしていると、車内にアナウンスが響いた。
<ただいま東京に到着いたしましたー。お荷物忘れにお気をつけください。>
(ひゃー!もうちょいで夜久さんと会える!)
澤村「ほらみんな降りるぞー!」
「「はーい!」」
みんながぞろぞろとバスから降り、私も月島くんと一緒に降りた。
(今回は音駒いないかー、まあ体育館で会えるし!楽しみすぎるー!)
月島「・・・にやにやしてるよ。」
『えへへ!だって夜久さんと会えるし!』
月島「僕との約束、忘れないでよね」
『もっちろん!ショートケーキね!』
月島「・・・楽しみにしてるから。」
(な、なんだ・・・?いつもより正直?!)
いつもと違う様子の月島くんに混乱しながらも、なんだか嬉しい。
『うん!私も楽しみ!!』
そのあとは月島くんや菅原さんと雑談しながら体育館へ向かった。
烏野「「お願いしまーす!」」
体育館に入り音駒の人達と挨拶を交わす。
(・・・あ!夜久さんいた!)
みんなが散ったあと、私はにこにこでいつも通り夜久さんに向かって走る。
『夜久さーーん!!』
夜久「おー!ちょっと久しぶりだな西川!」
腕を広げる夜久さんに飛びつく私。再会を喜ぶハグ(?)だ。
『わ!夜久さん倒れなくなりましたね!』
『安心感が凄いです!』
夜久「ふっふ!だろー?最近鍛えてんだよ!」
夜久「いい加減抱きつくのやめろよー笑」
と言いながらも明るい笑顔で優しく抱き返してくれる夜久さん。
『えへへ!夜久さんの事大好きですもん!』
夜久「・・・え、は?!」
私がそう言うとおでこまで真っ赤になる。
(え、なにかやらかしてしまったか?!!)
夜久「お、お前なぁー?!」
内心焦っていると後ろから引き剥がされた。さっきこちらに来た黒尾さんだ。
『う・・・夜久さーん、!』
黒尾「ハイハイごめんなさいねー」
黒尾「お嬢さん夜久に勘違いさせそうなこと言わないであげて?」
夜久「おい黒尾てめっ!」
『・・・?え、なんかすみません!』
黒尾「さてはよく分かってないな?」
黒尾「とにかく戻ってくださーい。」
『分かりましたよー・・・夜久さん!今日も応援してます!』
菅原「こら敵を応援するなー!」
『ちぇー・・・』
(ドリンクでも作りに行くか・・・)
黒尾さんに押された私は、仕方なくドリンクを作りに水場に行った。
※1、2試合やった後に飛ぶヨ!
今は2試合目が終わり、少しの休憩タイムだ。
(はーー疲れた・・・!)
(タオル補充した方がいいかなー、)
端に座ってそんなことを考えていると、体育館の向こう側にいた夜久さんと目が合う。
(ハッ!目が合ってしまった!)
(ってわー?!) (Ꙭ )!!
私が驚いていると、こちらに向かってキラキラ笑顔で手を振ってくる夜久さん。
(やっぱかっこいい!嬉しい!)
凄いにやにやしながら手を振り返すと、なぜか夜久さんはタオルで顔を隠してしまった。
(・・・?!なにかしちゃったかな?!)
少し焦ったが、タオルを補充するのを思い出し体育館を出る。
『ふんふふふーん♪・・・あ!』
鼻歌を歌いながら水場に向かうと、黒尾さんが水場に立っていた。
『黒尾さん!どうかしましたか?!』
黒尾「いや。お嬢さんに会いたかったから来ちゃいました。笑」
『もーすぐそうやって冗談を・・・』
黒尾さんとも結構仲良くなったが、この人は思わせぶりがすごい。
黒尾「俺はそんなこと言いませんー!」
『えーー?怪しいですよー笑』
私は笑いながらドリンクを洗う。
(慣れはしたけど照れちゃいそうだし黒尾さんのことは見ないでおこ、)
少しすると、横から話しかけられた。
黒尾「お嬢さん、今日は何の日がご存知?」
『もっちろん!ハロウィンですよね!』
黒尾「そーそー。笑」
『私こういうイベント好きなんです!』
黒尾「俺も。じゃーあー・・・」
黒尾「トリックオアトリート。お菓子くれなきゃイタズラするぞー。」
こちらを向いてがおーポーズをしながらにやにやする黒尾さん。
『えっぇ?!お菓子なんか持ってないです!』
黒尾「じゃあイタズラだなー笑」
(理不尽!でもこの人のイタズラとか絶対ろくなものじゃないし、!!)
(これで何とか・・・!)
黒尾さんの性格をある程度理解している私は、くるっと黒尾さんに体を向けた。
『わ、私だって!トリックオアトリート、!』
『お菓子くれなきゃイタズラするにゃん、』
頭に指で猫耳を作り威嚇する。小っ恥ずかしくて目を逸らしてしまったけど。
黒尾「・・・・・・」
(や、やっぱりだめか、?!)
こっちを見て黙る黒尾さんに諦めかけると、一気に黒尾さんの耳が赤くなった。
黒尾「う、うぐぅぅっっ!!」
どこからが悶える声が溢れる。
『ちょ、え?どこから出たんですかその声』
黒尾「く、黒尾さんに大ダメージだよ、!!」
口元を手で隠しながら意味わかんないことを言い始める黒尾さん。
『え、?な、なぜに、?!』
(なんだこの人?!怖?!)
『しっ、失礼しまーーす、!!!』
黒尾「ちょ、ちょっと??」
私は怖くなりドリンクを持って急ぎ足でその場を後にした。
今は練習試合が終わり、バスに乗りこんでから30分ほど経った頃。みんな疲れて気持ちよさそうに寝ている。
(なーんか眠くないなー・・・)
私は上手く寝付けずにぼーっとしていた。
ガタガタと小さく揺れるバスが心地いい。隣を見ると寝ている月島くん。
(わ、珍しいアイマスクしてない!)
(さっきみたいに起こさないようにしないと)
着る時間がなかったのかジャージを着ていない月島くんに自分のジャージをかける。
『おやすみ月島くん。』
(丈が足りなすぎるけど・・・!ちょっとは恩返しできたかな!)
お腹ほどしかあったまってないだろうが、私は満足して窓を見る。
すると月島くんの体がこちらに向いていた。
(え?!起こした?!)
恐る恐る見ると、目は閉じていて寝ているよう。私は胸を撫で下ろす。
(それにしてもなんでこっち向いたんだろ?)
(あ・・・もしかして、!)
なんとなく勘づいた私は月島くんの手元に指を持っていく。
月島「ん・・・」 『ふふ、』
すると月島くんが私の指を緩く握った。きっと末っ子が出てしまったんだろう。
(私、そんなにお兄ちゃんぽかったかな、?)
(なんかめっちゃかわいいー!!)
いつもツンツンしているからすごく可愛い。
(しばらくこのままにしよー!)
私はそのまま指の力を抜き再度窓を眺める。
(ふふ、綺麗だなあ、)
『・・・・・・あ!』 月島「んん・・・」
(わ、やばやば起こしちゃう!)
あることを思い出し少し大きな声を出してしまう。でも大変だ。
(そ、そういえば・・・!)
(今日ハロウィンなのに、!夜久さんにトリックオアトリートって言ってないー!)
終わり.
(おまけが本編より長いというね。)
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