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ごきげんよう、シャーリィ=アーキハクトです。引き続き海賊船からお送りします。あれから数時間、遂にシェルドハーフェンの港湾部が水平線に見えてきました。その広さにはただただ圧倒されるばかりです。何隻もの大きな帆船が桟橋に停泊しており、たくさんの水夫達が山ほどの荷物を持って忙しなく行き交っており、活気に満ちた風景を見ることが出来ました。

やはり船は積載量が馬車の比ではありませんね。これだけの量を一度に運ぶことが出来るのです。物流の主力と言っても過言ではありません。

「ははっ、海から見るとまた格別だろう?シャーリィちゃん」

操舵しながらエレノアさんが笑い掛けてきます。

「はい、陸地から見たことはありますがこんなに壮大な光景が見られるとは思いませんでした」

「そりゃそうさ。シェルドハーフェンは帝国有数の交易港、むしろいつもより少ないくらいさ」

何と、これで少ないとは。やはり海運には手を出すべきですね。今回の手土産が上手く機能すれば良いのですが。

「なあ、本当に直接乗り込むのかい?」

「はい、空いている桟橋に付けてください」

「海賊が白昼堂々と港に入るなんて前代未聞だよ」

「だからこそ、効果があるのです」

本来海賊を討伐した証としては、海賊旗や特徴的な戦利品などで充分だしそれが普通です。

それなのに船を奪って船長を仲間にして凱旋なんて前代未聞ですからね。つまり、それだけ与える衝撃も強い筈。新参者の我が『暁』が港湾部で確固たる地位を築くには必要不可欠な要素です。

「生きた心地がしないよ、全く」

「大丈夫です、きっと上手くいきます」

希望的観測ですがね。

海賊船が港に近付くに連れて、港が騒がしくなってきました。当然の反応ではあります。

「例のものは?」

「ちゃんと掲げてるよ」

今回マストには海賊旗と一緒に白旗も掲げています。問答無用で撃たれるリスクを最小限にしたいので。

「白旗なんて嫌だなぁ」

「次回からは白旗でも海賊旗でもなく、我が『暁』の旗を掲げてもらいますからね」

「分かってるよ。『海の大蛇』も店仕舞いさ」

「後悔はさせませんよ、エレノアさん」

十数分後、端の桟橋が空いていたのでそちらに海賊船を…ああ、名前も考えなければ行けませんね。次回の宿題です。

で、海賊船を桟橋につけたら如何程な叔父様達が近寄ってきました。うん、ムキムキの日焼けした『ザ・海の男』と呼べそうな人たちでした。

「おうおうおう!海賊風情が白昼堂々と良い度胸だな!海に沈められる覚悟はあるのか!?」

いきなり喧嘩腰ですね。

「よっと」

トンッッと私が船から桟橋に飛び降ります。

「初めまして、暁代表のシャーリィと申します」

「暁だぁ?」

「聞いたことがねぇな。嬢ちゃん海賊か?」

「まさか、海賊ではありませんよ。むしろ逆です。海賊『海の大蛇』を討伐して船を奪ってきたんです」

「はぁ!?『海の大蛇』を!?」

「そういや、あの海賊旗は『海の大蛇』の奴だ!」

驚いてますねぇ。

「そうです。で、討伐依頼を出していた『海狼の牙』との面会を行いたいんですが、誰か取り次いでくれますか?」

「ああ、いやその…」

「奪った海賊船持ってくるなんて非常識な…」

あー、ビックリし過ぎて固まってますね。非常識過ぎたかな。

「ハッハッハッハッハッ!随分と形破りなお嬢さんじゃないか」

そこに、所謂スキンヘッドで逞しいお髭と肉体を持つ壮年の男性が笑いながら現れました。

「メッツさん」

「メッツさん」

船乗り達が道を空けてその人を通します。

「暁なんて聞いたことはないが、やることが派手じゃないか。お名前を聞いても?ミス」

見た目と違い紳士的です!ぎゃっぷがすごーい。

「シャーリィと申します。貴方は?ミスター」

「おっと失礼、俺はメッツ。『海狼の牙』に籍を置いててな。桟橋回りの諸々を任されてる」

いきなり『海狼の牙』の幹部が現れました!これは好機です!

「で、ミス・シャーリィ。『海の大蛇』討伐を成し遂げてくれたみたいだな?俺達も手を焼いててなぁ」

「お役に立てて良かったです。名高い『海狼の牙』のお頭にも是非お目通りを願いたいのです」

「お頭に会いたいか…その手土産のつもりなんだな?だが、あの青髪の女には見覚えがある。船長を生かしたままなのか?生け捕りには見えねぇが」

「彼女と船と船員数名は、我が暁の傘下に入りましたので」

「おいおい、それじゃ討伐とは言えねぇぞ?」

メッツさんの眼光が鋭くなります。迫力がありますね。

「なにか問題が?今後あなた方は『海の大蛇』に煩わされることは無いんです。私の傘下に加わった以上海賊は解散です。討伐と同じでは?」

「そりゃ屁理屈ってもんだぜ?ミス・シャーリィ」

「彼女達はもう私の大事なものです。危害を加えるなら敵と認識します」

「ほう、吠えるじゃねぇか」

メッツさんとしばらく見つめ合います。迫力が凄いですが、お母様が熊と相対した時は目を離すなと仰有っていたので目を逸らさずに見つめ返します。

「……うちに被害が出たら、その細い首を千切らなきゃならなくなるぜ?」

「問題ありません。起こり得ないことに議論の余地などありませんから」

海賊行為なんかするより交易で儲けたいので。

「ハッハッハッハッハッ!いやいや、益々面白いお嬢さんだ。分かった、うちの頭に会わせてやる。それで報酬を受け取りな」

おおっ!?いきなり海運王に会える!?嬉しい誤算です!

「ただし、ミス・シャーリィ一人でだ」

「それは聞き捨てならねぇな、旦那」

そう言ってベルが船から飛び降ります。酔いが覚めたようでなにより。

「おたくらの頭に会わせてくれるのは嬉しいが、お嬢一人ってのは気に入らねぇな。俺も付いていく」

「ダメだ、お頭は繊細なんでな。大人数だと嫌がるんだ」

「だからってお嬢を一人で行かせるわけには行かねぇだろ」

「ならこの話は無しだ。報酬を渡すから帰ってくれ」

このままではいけません。

「分かりました、私が一人でお会いします」

「お嬢っ!」

「メッツさんは卑怯な真似をしないと思いますから」

もし違うなら、見る目が無かったと諦めるだけです。

「ミス・シャーリィはちゃんと五体満足で返す。こんな豪胆なお嬢さんだ、殺すには惜しい」

「…約束は守れよ。お嬢、気を付けてな」

「はい」

私はメッツさんに連れられて港湾部にある大きなお屋敷に通されました。『海狼の牙』の本部だそうで、たくさんの人が慌ただしく行き交っています。私はそのまま三階の一番奥の部屋に案内されました。

「ここだ。お頭、入るぞ」

メッツさんが扉を開きます。

さて、海運王と呼ばれる方がどんな人か。やはり海の男なのでしょう。そう身構えていると。

「見てたわよ、海賊船で乗り付けてくるなんて命知らずね」

「なっ!」

そこに居たのは、紫の瞳を気だるげに細め、紫のローブをゆったりと羽織り、紫の髪に特徴的な三角帽を被った私と変わらないくらいの少女でした。

またファンタジー!?

暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~

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