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世界中から集まってくれた聖女と聖戦士の頑張りのお蔭で、『聖女と愉快な仲間たち』は結構簡単にボシェット城に程近い場所まで辿り着いていた。
後もう少しと言う安心感だろうか、コユキがフラグ的な事を口にする。
「善悪! アタシ達が頑張んなきゃね! みんな変に重苦しかったし、頑張ろうね! もう目の前まで来たし、ここまで来れば、然(さ)したる問題も無いでしょうしね!」
しかし、やっぱり様付けとか格好付けて言っていたくせに、その実コユキの本音は、イノセンス・メイデンズのおばさん達が揃って陰気なムードになった事を、強引に自分への嫌悪感に変えてしまおうと言う、若い頃からの癖になっていた『空気変換(自己犠牲)』のスキル行使であったのであった。
答える善悪も同様にフラグを踏むのであった。
「そうでござるな! 当初考えていた展開より随分楽勝でござるなぁ~! まぁ、何か出て来ても僕ちんが引き受けるでござるよ! コユキ殿は拙者に任せて先に進むのでござる! なに、すぐに追いつくから心配しなくて良いでござる! 何しろ僕ちん、聖魔騎士でござるゆえ~!」
すぐ追いつく…… え? なに? 死にたいの?
オマイラ、アニメとか見た事無いの? 馬鹿なの?
フラグ踏むの良い加減やめろよ!! な、私、可愛い孫、観察者であった……
まあ、こんだけ踏んだら、踏んでしまったのなら当然だよね、立ってしまったようだ。
殺意と狂気を帯びた声が周辺を染め抜いたのである! まぁ、そりゃそうだろうね……
ガルルルグギャウルルルルっ!!
当たり前の様に轟いた声は、殺意に満ち溢れていた。
ボシェット城の城門を侵す存在を許さぬ、そんな強固な意思と殺意を帯びた、門番だろうか?
四足歩行の動物っぽいものは、悪魔と言うより巨大な狼型の魔物っぽいフォルムをしていたのであった。
「うががががぁぁぁ! ウグアァァァァァ!」
まるで、ここは通さない! 噛み殺してくれるわ! と告げる様に響き渡る魔獣の咆哮。
誰もが体を強張らせるしか無かった。
しかし、その凶悪な獰猛そうな化け物に向かって、パズスが場違いな声を上げた。
「お前、チロ? チロだよな? お前今はここの門番やっているのかい? 覚えているかい! おいらの事を! パズッちだよ! パズスだよぉぅ!」
チロ、いや狼っぽいその悪魔は、一瞬動きを止めた後、パズスに鼻を近づけて、フンカフンカした後、大きく叫んだのであった。
「クウゥ~ン! ワフワフワフ! ククゥゥ~ンン!!」
何やら悲しそうに聞こえるその声を耳にして、パズスは心配そうに話し掛けた。
「ど、どうしたんだ、チロ! まさか、は、話せない、のか?」
どうやら、本来のチロちゃんはお話しする事が出来るらしい、流石(さすが)は悪魔と言ったところか。
じっと見つめていたシヴァが口を開いた。
「なあ、あの首輪…… 何かの魔道具だろうか? 拘束具か? なあ、ねぇちゃん、どう思う?」
姉ちゃんのラマシュトゥが聞かれて答えるのであった。
「うん、そうだよね、あれが…… でも魔道具とか、魔力紋とは少し違う術式みたいなのよねぇ? もう少し上の、魔王種しか組成できない高度な術式でなきゃ理解できない様な……」