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俺は神だ。もっとも、貧乏神、死神、疫病神とかった、ろくでもない方の神様かもしれないが。ただ、それはあくまで相手にとっての話だ。俺自身は志がある。悪いことをしているわけではない。むしろいいことをしている。俺がやっているのは、「悪い女の子」を懲らしめることだ。ただ懲らしめるだけじゃない。それによって、女の子が「悪いこと」を辞めることを願っている。そのためにはどんなに苦労してもかまわない。
ほら、な。神様みたいな男だろ? 人は俺を「エロ神様」と呼ぶ。
さて、今日も悪い女の子に天罰を下すとしよう。今日のターゲットは保育士の女で、名前は佐藤かおりだ。彼女はなんと、夜は風俗嬢としてデリバリーヘルスで働いている。これは子どもの純真さを裏切る行為といっていいだろう。しかも、彼女は自分の趣味のために金が欲しくてやっているらしい。まだ仕事の動機が純粋なものなら許せたが、これはいただけない。天罰を下す必要があるだろう。
俺はまず、男たちを雇い、彼女の客の役をやってもらった。もちろん、その場所にはあらゆるところにカメラを仕掛けておいた。そして、彼女のあらゆる姿を撮影しておいた。この画像データを使って、俺は「絵本」を作るとしよう。たとえば、こんな具合に。
「わるい せんせい」
あるところに わるい せんせい がいました。
わるい せんせい は よるになると おとこのひと の ところにいきます。
わるい せんせい は おとこのひと に おかねをもらって えっち な ことをします!
わるい せんせい は ふく を ぬいで おとこのひと と おふろ に はいります。
わるい せんせい は おとこのひと に からだをさわらせます。
わるい せんせい は おとこのひと の だいじなところ を ぺろぺろ します!
それなのに わるい せんせい は おひる は いい せんせい の ふり を しています!
さあこれで準備が出来た。
さあ、今日は園児たちを公園まで連れていく日だ。天気は晴れ。絶好のお散歩日和だ!
「みんなー、今日は公園まで遊びに行くよ~」
子どもたちはワクワクしているみたい。よーし、今日は思いっきり遊ばせてあげないとね! 途中の道はなるべく車通りの少ないところを選ぶけど、元気いっぱいの子どもたちを連れて歩くのは大変だ。
「かおりせんせー、はやくー!」
「はーい、待ってね~」
園児たちは私の周りをぐるぐる回りながら歩いている。公園まであと少しだ!
「こら、だめよ~そんなに走ったら」
「せんせー、こっち向いて~」
「待ってよ~」
子どもたちは元気が有り余っているみたいだ。それでもなんとか無事に公園にたどり着いた。園内にはたくさんの花が咲いている。ここは季節によっていろんな花が見られるから、子どもの情操教育にもってこいの場所だ。
「はーい、みんなー、ここが今日の公園だよ~。公園から出ないで遊んでね」
「わあー」
子どもたちは走り回っている。元気だなぁ。私はベンチに座って休憩することにした。しばらくすると、園児が一人、私のところにやってきた。
「せんせい、このほんおもしろいよ」
「えっ、その本、どうしたの?」
「ひろったの」
「ひろった?」
なんか嫌な予感がする。とりあえず、
「うーん、ひろった本を読んじゃだめだよ。きたないでしょ」
「でもこれきれいだよ?」
「きれいに見えても、汚れていることがあるから。この本、どこにあったの?」
「あっち。ほかにもあったよ」
「ありがと」
内容確認して、ものによっては他の子たちが読む前に回収しなきゃ……って、
「えっ!?」
その本には予想通り、裸の女の人の写真が載っていた。けれど予想外だったのは、その写真の女の人がどう見ても私だということだ。
「どうして……?」
仕事中に盗撮された? その可能性はある。けれど、それがなんでここに……。さらに、動揺しているうちに子どもたちが絵本(?)を見つけ、読み始めてしまった!
「わるい せんせい は ふく をぬいで おとこのひと とおふろにはいりました!」
「ちょ、ちょっと、これはダメ。これはね、子どもが読んじゃだめな本なの」
「そうなの?」
「そうなの! だから、先生が預かるね」
幸い、他の先生に気づかれる前に本は回収できた。それにしても、なんでこんな本が……。この本の内容はいろんな意味で絶対に子どもたちに見せてはいけないものだ。私は急いで園児たちを集めて、帰る準備をした。
「じゃあみんなー、そろそろ帰ろうねー」
「はーい!」
子どもたちは素直に従ってくれた。良かった……。でも今日は疲れたなぁ。早く帰って休もうっと。
ところが翌日、私はあの本が保育園にも置いてあることに気付いた。
「なんで……」
園児たちが持って帰ったのではないことは、昨日確認している。いったい誰が……。
これできっと、あの先生はいかがわしい仕事を辞めることだろう。これでいったん天罰は終わりだ。しかしもしいかがわしい仕事を辞めなかったら? そのときはきっと、そっちの仕事の方が彼女には向いている、ということなのだろう。であれば、そちらの仕事につきやすいよう、あるいはその仕事しかできなくなるよう、お手伝いをしてあげるまでだ。
終り