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第2話:一輪の約束
ころんが記憶を失ってから、数日が経った。
面会時間が始まる直前、病室の重い扉の前に、さとみは立っていた。
さとみ「……ふぅ」
深く一つため息をつき、自分の両頬をパンッと叩く。
泣きそうな顔をしてちゃ、あいつを余計に困らせるだけだ。
さとみは無理やり口角を上げると、ガラガラと扉を開けた。
さとみ「よっ、ころん。体調はどう?」
ころん「あ……さとみ、さん。こんにちは」
ベッドの上で本を読んでいたころんが、びくっと肩を揺らして振り返る。
その”さとみさん”という他人行儀な呼び方に、胸の奥がツキンと痛んだけど、さとみは気づかないフリをして笑った。
さとみ「ほら、これ。お前に買ってきた」
ころん「え……?」
さとみが差し出したのは、透明なガラスの瓶に入った、一輪の美しい『桃色のバラ』だった。
瑞々しい青色の花弁を見た瞬間、ころんの瞳がまあるく輝く。
ころん「綺麗……。
でも、どうして僕に花なんですか?」
さとみ「お前、昔この花見て『綺麗じゃん』って言ってたんだよ。
……まぁ、覚えてないだろうけど」
さとみは照れ隠しにガリガリと頭を掻きながら、窓際のサイドテーブルにその花を置いた。
さとみ「この病院の無機質な部屋、お前っぽくないなと思ってさ。だから決めたんだ。
お前が退院するまで、俺が毎日一輪ずつ、花を持ってきてやる」
ころん「毎日、ですか……?」
さとみ「おう。
この瓶が花でいっぱいになって、綺麗な花束になったとき……絶対、お前に全部思い出させてやるから」
真っ直ぐなさとみの視線に、ころんは圧倒されたように瞬きを繰り返した。
記憶を失ってから、周りの大人はみんな悲しそうな顔で自分を見る。
それが苦しかった。
でも、このピンク色の髪の人は、自分の前で絶対に泣かない。
それどころか、眩しいくらいの笑顔をくれる。
ころん「……ありがとうございます。あの、さとみさん」
さとみ「ん?」
NGS_ヘビーなしっぽ
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#さとみくん
みく
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らい@スパスタ0期生!
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ころん「僕たちのこと……その、僕が忘れてしまった『むかしの話』、教えてくれませんか?」
少しだけ緊張した様子で、だけど自ら一歩を踏み出すようにそう言ったころんを見て、さとみの胸に温かいものが広がっていく。
さとみ「いいよ。いくらでも話してやる。
お前がどんだけお調子者で、どんだけうるさくて、俺たちがどれだけ一緒にバカやってきたか、一晩中語ってやるから覚悟しろよ?」
ころん「ふふ、そんなに酷かったんですか、僕」
ほんの少しだけ、ころんの表情が柔らかくなる。
窓際で、一輪の桃色のバラが、二人の静かな始まりを優しく見守るように咲いていた。
コメント
1件
さとみさん、本当に優しいですね……。「絶対思い出させてやる」って、あのまっすぐな目で言えるの、すごく強い人だなって思いました。ころんが自ら「昔の話を教えてほしい」って一歩踏み出したところに、じんわり来ました。無理に笑顔を作るさとみさんの痛みも伝わってきて、切なかったです。最後の一輪のバラが、二人の新しい始まりを見守るようで、とても美しい場面でした。続き、すごく気になります!