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ゆうき あきや
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#心理描写重視
第129話:復興祝いのBBQと特設プール。巨大ヒグマのセクシー(?)入浴シーンに世界が沸く
ドバイの石油王とスイスの銀行家によって派遣された『完全武装のSP軍団』たちの狂気と涙の造園作業により、俺の古民家の庭は完全なるベルサイユ宮殿へと変貌を遂げた。
だが、彼らの「お見舞い」はそれだけでは終わらなかった。
「マスター・アキヤ! 復興完了ノオ祝イニ、ドバイノ石油王様ヨリ追加ノ支援物資デス!」
SPのリーダーが恭しく一礼した先には、幾何学模様の美しい庭園の中央に突如として現れた、直径五メートルはあろうかという『特設ラグジュアリープール』が鎮座していた。
ただのビニールプールではない。
強化ガラスと大理石調のフレームで組み立てられ、強力なろ過装置と水流ポンプ、さらには水中LEDライトまで完備された、五つ星リゾートホテルのスイートルームにあるような代物だ。
「……なぁ、小春ちゃん。限界集落の庭に、大理石のプールってどう思う?」
「どう思うって……完全にアラブの富豪の別荘ですよ、これ」
小春ちゃんが引きつった笑顔でツッコミを入れる中、庭の片隅ではSPたちが組み立てた超大型のBBQグリルから、食欲をそそる煙が立ち上っていた。
今日は台風一過と復興完了を祝う、盛大なバーベキュー大会だ。
SPたちが自腹で持ち込んだ最高級A5ランクの黒毛和牛や、北海道産の巨大なホタテ、タラバガニが網の上で豪快に音を立てている。
「さぁ! アキヤサン、小春サン! 存分ニ食ベテクダサイ!」
「ありがとうございます! うわぁ、お肉がとろけますぅぅ!」
小春ちゃんや、招待された村のおばあちゃんたちが、高級食材のパレードに舌鼓を打って歓声を上げている。
だが、俺の視線は豪華なBBQグリルではなく、特設ラグジュアリープールの方へと向けられていた。
ザブゥゥゥンッ……!!
「グルォォォ……(極楽だぜぇ……)」
特設プールの中に、体長3メートルの巨大ヒグマが肩までしっかりと浸かり、目を細めてだらしなく口を開けていた。
その頭の上には、なぜかSPが用意した黄色いアヒルのオモチャが乗っており、ヒグマは太い前足で水面をちゃぷちゃぷと叩いて遊んでいる。
さらに、プールの水面にはフラミンゴ型の巨大な浮き輪が浮かんでおり、その上では純白の神獣シロが、神秘的な『オッドアイ』の瞳――左目のサファイアブルーと右目の琥珀色――を細めながら、『ミャウ(いい湯加減ね)』と優雅に香箱座りをキメていた。
コン吉とコン次郎はプールの浅瀬(SPがキツネ用に作った特設段差)で、水しぶきを上げながら無邪気に追いかけっこをしている。
ジンバルに固定されたiPhone miniが映し出すこの非日常すぎる光景に、一千万人のリスナーたちが完全に思考を放棄し、チャット欄を爆発させていた。
『ヒグマの入浴シーンwwww』
『オッサンが温泉に浸かってる顔じゃねぇかww』
『頭にアヒル乗せてる山の主、可愛すぎて鼻血出る』
『シロ様、フラミンゴの浮き輪で完全なリゾート満喫中ww』
『ベルサイユ庭園で、ヒグマと白猫がプールに入る配信。情報量が多すぎる』
ヒグマが水の中で身をよじり、ブルブルッと巨大な体を震わせると、水しぶきがスローモーションのようにキラキラと輝いた。
その圧倒的な質量と、意外すぎる無防備なセクシー(?)ショットに、世界中のVIPたちの財布の紐がまたしても完全に消し飛んだ。
『(ハリウッド女優シャーロットからの$5,000MeTubeギフト)=”Oh my God! That bear is so sexy! It’s like a Hollywood star on vacation!“(なんてこと! あのクマさん、とってもセクシーだわ! まるでバカンス中のハリウッドスターね!)』
『(ドバイの石油王からの¥50,000MeTubeギフト)=”Hahaha! The pool looks great on them! Enjoy the ultimate summer, Master!“(ハハハ! プールが彼らによく似合っている! 究極の夏を楽しんでくれ、主よ!)』
『(スイスの銀行家からの¥50,000MeTubeギフト)=”This bear’s bathing scene alone is worth a billion dollars in healing power!“(このクマの入浴シーンだけで、十億ドルの癒やしの価値がある!)』
極彩色のスーパーチャットが滝のように流れ、世界中がヒグマの入浴シーンに熱狂している。
だが、俺はそんな喧騒に背を向け、自分の定位置である折りたたみ式のアウトドアチェアに深く腰掛けた。
「……よし。モフモフたちの冷却と衛生管理(入浴)を確認。これより、指揮官のエネルギー補給を開始する」
俺は専用の小さな七輪の上に、完璧な形に握られた『玄米の焼きおにぎり』と、自家製の『大豆ミートと長ネギの串焼き』を並べた。
ジュウウゥゥ……。
香ばしい醤油の焦げる匂いが、俺のパーソナルスペースを包み込む。
SPたちが焼いている霜降り和牛の暴力的な匂いにも一切動じることなく、俺は焼き上がった玄米おにぎりと大豆ミートの串焼きを、一切の表情を崩すことなくストイックに咀嚼し始めた。
「お兄さん……! みんなでA5ランクの和牛食べてる最高のバーベキューで、なんで一人だけブレずに玄米と大豆ミート焼いてるんですか!?」
小春ちゃんが、口の周りに焼肉のタレをつけながらジト目でツッコミを入れる。
俺は咀嚼を止めず、熱いほうじ茶で喉を潤してから涼しい顔で答えた。
「当然だ。外部環境がどれほど豪華になろうとも、己のロジスティクス(胃袋のキャパシティ)を狂わせないことこそがサバイバルの鉄則だ。和牛の脂は消化器官への負荷が大きい。大豆ミートの安定したタンパク質供給こそが、真の兵站物資だ」
俺は串焼きを綺麗に平らげると、カメラの前に向き直り、キリッとした真顔でいつもの『限界言い訳タイム』を発動した。
「世界中の皆さま。我が家の庭に豪華なプールが出現し、巨大ヒグマがリゾート気分で優雅に入浴していると思われているかもしれませんが、冷静になってください」
『出たァァァァァ!!!』
『この圧倒的なリゾート空間で、和牛を無視して大豆ミート食った男の言い訳!!』
『主の限界言い訳タイム・ヒグマのセクシー入浴編ww』
『さあ、このアヒル乗せたクマをどう論破するんだww』
俺は淀みない口調で、極めてフラットに言い放った。
「あれはヒグマがプールで遊んでいるわけではありません。急速な気温上昇に伴い、恒温動物が体温を安全域まで下げるために行う『生物学的な緊急冷却行動』です。水に浸かっているのはラジエーターの役割であり、頭に乗せたアヒルは、水面の波紋を測定して水流を計算するための『簡易的な流体力学センサー』です。ええ、ただの『野生動物のシビアな体温調節機能』と『環境測定』が重なっただけですね」
「そんなアヒルのセンサーがあるわけないでしょうがぁぁぁ!!!」
小春ちゃんが、BBQ用に用意されていた『巨大なエリンギ(未調理)』で、俺の背中に見事なスナイプ・ツッコミを見舞った。
「簡易的な流体力学センサーってなんですか!! どこの猛獣がアヒル乗せて『極楽だぜぇ〜』って顔で温泉みたいにプール浸かるんですか!! シロちゃんもフラミンゴの浮き輪で完全にバカンス満喫してるでしょうが!! どう見てもVIPの資本の暴力と、もふもふ達の優雅な夏休みでしょうが!! 素直に『うちの家族の水着(?)姿は最高だ』って認めなさいよ!!」
『小春ちゃんのエリンギ・スナイプ炸裂ww』
『緊急冷却行動(ただの水遊び)』
『流体力学センサー(ただのアヒルのオモチャ)』
『適応力バグおじさん、ついにヒグマの入浴をラジエーターだと言い張るww』
『和牛無視して大豆ミート食う主のブレなさ、もはや芸術の域だわww』
俺の理不尽極まりない熱力学的な限界言い訳と、小春ちゃんのキレキレのエリンギ・ツッコミに、一千万人の視聴者たちは腹がよじれるほどの大爆笑の渦へと叩き落とされた。
『ミャウ(ふん、騒がしい下僕たちね)』
シロがフラミンゴの浮き輪の上で優雅に欠伸をすると、ヒグマは「グルォォ……」とさらに深く水に沈み込み、鼻からブクブクと幸せそうな泡を吹いている。
「……まぁ、理由はどうあれ。もふもふ達が涼んで、無事に夏を越せるならそれが一番だ」
俺は苦笑いしながら、ベルサイユ風の庭園で繰り広げられる、カオス極まりないBBQ風景を見つめた。
VIPたちの資本の暴力と、もふもふたちの圧倒的な癒やし。
そして、どんな豪華な宴でも決してブレない元・需品科の『ストイックな大豆ミート』。
限界集落の古民家に訪れた夏は、世界一バグっていて、世界一眩しい笑顔と大爆笑に包まれながら、力強く輝き続けるのだった。
コメント
1件
読み終えたわ!今回もまた情報量が多いっての! いつの間にか庭がベルサイユ宮殿になってて、特設プールでヒグマが頭にアヒル乗せてちゃぷちゃぷしてるの、完全に狂ってるけどめちゃくちゃ好き。そしてそれに対して「緊急冷却行動」「流体力学センサー」って言い張る主人公の適応力バグおじさんっぷり、小春ちゃんのエリンギスナイプも炸裂で草。シロちゃんがフラミンゴ浮き輪で優雅にしてるギャップも最高だし、何より和牛無視して玄米おにぎりと大豆ミート焼いてるストイックさ、もう芸術。ラストの「世界一バグっていて、世界一眩しい笑顔」って締め、クソデカ感情で胸に刺さったわ。続き気になる🔥