テラーノベル
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第53話
式場に入った。大きな所も取れたんだろうけど、こぢんまりとした所だった。
ニルスさんとエリカの趣味って何だかんだ似てるよね。
こぢんまりとしているけれど、華やかさもあって、この街では珍しい木造。木造と言えばこの世界線だと安っぽいのがイメージするみたいだけど、高い木造だ。
シックな木目が見えて、席の横にある緑の植物も馴染んでいる。
「ノアが見つけたの?」
「あぁ。教会に行って、どこで何をやってるのか全部片っ端から探し出さ。全部条件が合ってるのがここだけだったんだ」
へぇ……私も知らなかったな。
「凄いね。いつの間にか、そんな事もできるようになってたなんて……」
「一応、今年で成人だけど」
へ? 一歳年上……
案外合ってたのかも? 同い年か、前後かって思ってたし……
「初めて知った。確かに、歳なんて聞いた事無かったな」
「聞いてなかったんだろ。そのくらいお見通しだ」
なっ! 否定できない……
自分の生きてきた時間を話すなんて、昔を思い出すようで怖い気がしたし……ノアを傷つけるような行動は避けてきたつもりなんだけどな。
「ふっ。リナはいつまでもリナだな」
私が裏の部屋に入ると、エリカがドレスを身に纏っていた。確かに緑だった。でも、思ってたより少し濃かった。
本当に薄い緑なのかと思ってたけど、エメラルドグリーンだった。茶髪と白い肌によく映える。
私の作ったアクセサリーは金メッキ仕上げなので、茶髪とよく馴染む。ピアスも存在感が大きいって訳じゃないけど、キラキラ輝いている。
ヘーゼル色の透き通った瞳は、自信と、不安と、楽しみと、怖さが滲み出てる。私が出ていく前にこの技を思い出していたら、直ぐに分かって違う行動を取っていたのかもしれない。
「とーっても似合ってる。そしておめでとう」
「ありがとう。リナもいつか大切な人を見つけるのよ」
「ふふっ。私にはまだ早いよ。……でも、お姉ちゃんに胸張って紹介できる人を探すから」
私はそう言って微笑んだ。
……恋愛偏差値ゼロだけど、大丈夫だよ。きっとそんな人が現れてくれるって信じてる。
「ノアもありがとう。こんな我儘な式場探しに付き合ってくれて」
「こちらこそ、ありがとうございます。二人の幸せな姿を見られるのはとても嬉しいです」
そう言ってノアはペコリと頭を下げた。
「リナの事、よろしくね。優しいけど、無理し過ぎちゃう子だから……って私より長く一緒だから任せたわよ。ノアはリナの事、笑顔にさせてね」
ノアは、顔をぽっと赤らめて「はい」と短く答えた。
コミュ力お化けだけど、タメ口に弱いんだよね。
ってか、無理なんてエリカの事でした事無い気がするけど……いや、私の無理がズレてるだけか……?
それに、笑顔って……どういう事? 何がどうなって、私の笑顔……?
無理するからそれを笑顔にっていう比喩かな?
エリカとかニルスさんの言う事が時々、分からないんだけど……それは私の読解力だよね……
「ふふっ。じゃあ、ノアはニルスの事、見てあげて。リナも私の事、よろしくね」
「うん」「はい」
私は、準備を済ませてお母さんと二人になった。
横長のソファーに隣で座っている。お母さんのこんな温もり感じるのは久しぶりかも。
「リナはどうしたいとかあるの?」
どうしたいって……
「う〜ん……今はこのまま、仕事を続けたいです」
「学校とかには通わないの?」
「はい。成人しても、できればサントラップで働いていたいです」
「そう……リナらしいわ」
そう言って私の事を抱き寄せた。
「お母さん。私、今日の事とは無関係だけど……とても嫌な胸騒ぎがするの。何かが私を呼んでる。でも危ない気がするの」
……多分、星霊の剣。だけど、とても嫌な予感。
大切な何かが犠牲になるかもしれないという、不安に襲われる。でも、行かないと大きな犠牲が生まれる……
「離れていたけど私にとって、リナも大切な娘なの。危ない事には巻き込まれて欲しくない」
「でも、行かないとそれ以上の犠牲が出る……って、私の勘が騒いでる。どうしたらいいのかな……」
「……リナはリナを信じて、その道を進みなさい。私は反対はしないわ」
お母さんっ……
「ありがとうございます。私、このまま進む事にします」
「えぇ。くれぐれも、無事で帰ってきて」
「はい。来週の夜会を済ませたら話して……探す事にします」
こはる
1,404
こはる
557
#切ない
こはる
16
15
「分かったわ。取り敢えず、今は目の前の事に集中しましょう」
「はい」
コメント
1件
みぅです🤍🥀 エリカのドレス姿、エメラルドグリーンに金のアクセが映えて、すごく綺麗な場面だった…! お姉ちゃんの幸せな姿、リナもちゃんと見届けられてよかったね。それに、最後のお母さんとの会話がじーんと来た。「リナを信じて進みなさい」って、背中を押してくれる温かさ。でも同時に“星霊の剣”の予感…この先、何かが動き出すのかな。不安と期待が混ざる💭