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ー『暑い〜暇だよ〜』『じゃあ、何かしてくればいいだろ?』
『何かって、なにぃ〜』
なんだろう。
することは、何もない。
夏休みも、特にすることがなく、最初の方は色々歩いて、色々見たりした。
でも、大したものはなかった。
そのまま、夏休みが終わろうとしていた。
学校ももう、行かないつもりだ。
空を見上げてみる。
あ、
あれは、
飛行機だ。
空を飛んでいる。
小さく見える。
でも、俺は知っている。
本当の親と、飛行機に乗ったことがあるから。
とても大きかった。
自力で空を飛べない俺にとって、人間にとって、空を飛ぶための方法はこれくらいしかないだろう。
あの、白い雲の上までいける。
もう一度、乗りたいな…
『甘ちゃん、空を見てるの?』
『いや、飛行機を見てるんだ。』
飛行機から、白い線状の雲が出てきている。
なんだろうか。
『ひこーき?』
『ひこうきだ。知らないのか?』
『知らないよ?でもあれ、ゆぅふぉじゃないの?』
『ゆぅふぉ?』
何だそれ?
『テレビで見たの、』
『もしかして、UFOか?』
『え、ゆーふぉお?』
なんか違う。
『でもあれは、UFOじゃなくて飛行機だよ。人が乗れるんだ。』
『え⁉︎私も空飛べるの⁉︎』
『あぁ、飛べる。』
本当に、飛行機を知らないんだな。
まぁ、無理もない。
『乗りたいなぁ、』
琥珀が、飛行機を見ている。
俺も、また乗りたい。
でも、人狼だからか、嫌な顔をされたのも覚えている。
結局、人狼はどこに行っても嫌がられる。
だから、乗ったのは一往復だけ。
『甘ちゃんは、飛行機、好き?』
『そうかもな。』
景色が綺麗だった。
なかなかできない体験、それは楽しかった。
飛行機の見た目もカッコよかった。
好きかもしれない。
『……くは…?』
『え、なんか言ったか?』
聞こえなかった。
『な、なんでもないよ。』
そうか。
外はまだ、暑い。
『じゃあ、瑠璃ちゃんのところまでいこ?』
『そうだな、行くか。』
どこにいるかはわからないけど、
『とりあえず、あのお花畑まで行くか。』
あそこにいるかもしれない。
琥珀と、歩く。
また、友達ができたんだよな。
前の場所には人狼はいなかったし、友達なんてできなかった。
何やかんや、こっちの方がいいのかもしれない。
もう、学校には行かなくていい。
あんなところで嫌な思いをして、勉強なんてさせてくれない場所に行く意味はない。
だけど、いつまでこんなことができるだろうか。
見つかれば、何をされるか…
わかったもんじゃない。
『次ってこっちだっけ?』
『あぁ、あってるぞ。』
今日も、いるだろうか。
『あ、琥珀ちゃんと甘くん!』
いた。
『今日も来たよ〜』
琥珀は嬉しそうだった。
瑠璃は、
『怪我、増えてないか?』
前はなかっただろう傷があった。
『うん、でも大丈夫だよ。人狼だもの、こんなの、よくあることだからね。』
まあ、そうなんだけど…
大丈夫だよ、か。
大体の大丈夫は、大丈夫ではない。
友達だし、困っているのなら助けないとな。
『今日もコスモスは元気だよ。』
コスモスの花は、どんどん咲き始めていた。
でも、それを見にきたのだろうか。
今日は数人、人がいる。
『このあとは、どうするの?』
どうしようか、
『こっちの方でなにか、ないか?』
向こうは、何もないからな。
『そうねぇ。人がいないところなら、こっちに来て。』
何か、あるのだろう。
瑠璃について行く。
しばらく歩くと、
『ここよ、』
そこは、空き地だ。
人はいないけど、他も、何もない。
『この花で、冠を作ろう?』
この花?
そこにはクローバーと、白い、丸っこい花が咲いている。
『これか?』
『そう、シロツメクサだよ。冠の作り方は…』
教えてくれた。
冠なんて、簡単に作れるのだろうか。
実際、ちょっと難しかったけど、
思っていたほど、難しくなかった。
『おぉ、すごいな。』
シロツメクサの花がかわいい、冠ができた。
こんなのを作ったことがない。
もう一つ作ろう。
自分でも作ってみる。
!
できた。
僕も、二人も、二つずつできた。
『これ、二人にあげるね。』
『え、』
僕も、二つあるんだけどな…
まぁ、いいか。
『シロツメクサは、私を思ってという花言葉があって、シロツメクサの冠には、私を忘れないでっていう意味があるんだよ。』
『花言葉?』
『うん、花言葉。例えば、コスモスには乙女の真心、調和、謙虚などの花言葉があるの。色ごとでも違うんだって。』
『く、詳しいんだな。』
よくわからなかった。
『あそこにある黄色の花はタンポポで、幸せ、神託、真心の愛、愛の神託という花言葉があるよ。』
『???』
もはや、頭が追いつかない。
『ふふふ、ごめんね。お母さんが花好きで、よく聞いてたの。』
そうなのか。
お母さんは、優しくしてくれているようだ。
『なら、あれは何?』
向こうにある、大きな花を指差す。
『あの花はひまわりね。花言葉は、憧れ、情熱、あなただけを見つめる。』
『本当に詳しいんだね。』
驚いた。
『ありがとう。だから、私を忘れないでね。』
そうか、シロツメクサの冠は…
『なら、これは二人に。』
『私も二人にあげる!』
皆で、分け合った。
頭の上に、瑠璃の作った冠と、
『はい、甘ちゃん。』
琥珀の作った冠がのせられた。
『あ、あぁ、ありがとう…』
二人も、ニコニコで二つの冠を頭にのせている。
『ふふふっ、』
『えへへっ、』
『あははっ、』
皆、笑った。
でも、楽しかった。
『ははは、面白いな。』
『でしょ?また、作ろうね。』
まだ、他にもこういうものがあるのかな。
それも、作ってみたいな。ー
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