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一つ屋根の下、地雷注意報

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一つ屋根の下、地雷注意報

15 - 第十四話:「知ってる世界、知らない顔」

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2025年05月12日

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夕方。
食材が少なくなってきたから、

俺とるかは一緒にスーパーに行った。


「今日、何食う?」


「別に。……冷凍パスタでいい」


「手抜きすぎだろ」


そんな、どうでもいい会話をしながら、

カゴに適当に物を放り込んでいく。


特に楽しくもないけど、

悪くもない。


そんな時間だった。



店を出たところで、

ふいに、るかがぴたっと立ち止まった。


「……?」


見ると、

向こうから、二人組の男女が歩いてきてた。


若い。たぶん二十歳そこそこ。


そのうちの女の子が、るかを見つけて、

ぱっと顔を明るくした。


「あれっ、るかちゃんじゃん!」


るかは一瞬だけ驚いた顔をしたあと、

めんどくさそうに口角を上げた。


「……あー、ひさ」


「めっちゃ久しぶり!元気してた?!」


ハイテンションな声。

俺は、横でなんとなく立ち尽くしてた。


「まあ、うん。……そっちは?」


「ぼちぼちー!つか、だれ?」


その子が、俺のほうをちらっと見た。


るかは、一瞬だけ黙ったあと、

無表情で言った。


「……同居人」


「へえー?そうなんだー!」


その場はそれで流れたけど、

なんとなく、空気はぎこちなかった。


少しだけ、

るかの顔がこわばっているのがわかった。



知り合いたちは、

「またねー!」って明るく手を振って、すぐにどこかへ行った。


るかはその間、

最後まで笑わなかった。



帰り道。


無言で歩きながら、

俺はなんとなく聞いてみた。


「あれ、友達?」


「元バイト先の。……うるさい女」


「……そっか」


それ以上、聞かなかった。


るかも、それ以上、何も言わなかった。


ただ、

普段よりほんの少しだけ、るかが歩くペースを早めた気がした。


俺はそれに合わせて、

黙って歩いた。


いつもの距離を、少しだけ詰めながら。

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