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時は平安・京………
夜中・おおよそ丑の刻に夜風をついて、紅い髪と紅い眼、そして紅色の翼を生やした少年が1人、自身の背丈を悠に超えている紅色の「大鎌」を手に走っていた。
少年は京を護る安倍晴明の式神・「十二天将」および「四神」の1人、名は「朱雀」。炎と風を自在に操り、本来の姿は鳥型の神獣である。
朱「ちぇっ!ちょっと待ってよぉっ!」
朱雀は家々の屋根を飛び継ぎ、一つ目の大きな鬼の首を追う。霧散した百鬼夜行の1つであり、放っておくと人の魂や肉を喰らいかねない。
?「朱雀!気をつけて!彼処の隙間から百鬼夜行の気配がします!!」
朱雀と並んで走っていた、青色の髪をした朱雀よりも少し背丈の高い少女が、翠色の太刀を片手に高らかに叫んだ。
朱「?!うそ?!うぁっ!!」
家の影からぬらりと現れたソレは「ぬらりひょん」という妖怪であった。朱雀は反射的に後ろに飛び退き、大鎌…【焔月】を構えた。
朱「やぁっ!」
と叫んで、朱雀が焔月を横一文字に振り回すと、ぬらりひょんは嗚咽に近い声を出し、腹あたりから真っ二つにされ、燃えて消えていった。
朱「ありがと!青姉様!」
青「いえ!」
少女は朱雀が無事だったことを確認し、嬉しそうな顔をした。彼女の名は「青龍」。朱雀の姉であり、四神の1人である。そして彼女は手に持つ【翡翠剣】を地面に突き刺した。
直後、地面からツタのようなモノが生え、一つ目の鬼を拘束した。
青「朱雀!」
朱「うんっ!」
青龍は朱雀に合図し、朱雀は翼を羽ばたかせて空高く舞った。
朱「やっ!」
朱雀は十字型に焔月を振るわせ、炎の斬撃が鬼を穿った。
朱「ありがと青姉様!助けてくれて」
青「いいのよ朱雀!………というか」
犬か虎かの叫び声がしたかと思うと、ひときわ大きい三つ目の鬼が姿を現した。
青「まだ、終わってないみたいですしね」
朱「だね…!」
朱雀と青龍が各々の神器を構えた…その時
?「2人とも!頭を下げなさいッ!!」
大きな、女性の声が響き渡る。咄嗟に2人は頭を下げ、その瞬間、岩の欠片のようなものが、斬撃によって飛ばされてきた。その欠片は鬼に刺さり、更には爆発した。
?「2人とも大丈夫?」
朱&青「玄姉様!/姉様!」
2人は、茶髪で背丈が2人よりも高い女性にそう叫んだ。彼女の名は「玄武」。言わずもがな彼女も四神の1人であり、朱雀と青龍の姉である。彼女が扱う神器は【亀甲鉞】という自身と同じ位の大きさの鉞である。
玄「ま、ともかくこれでお開きかしらね」
?「そうみたいだね!」
隣の家の屋根に居た、白髪で背丈が1番高い青年が、【雷轟弩】という弩を片手に言った。彼の名は「白虎」。彼も四神であり、3人の一番上の兄である。
…と、その時
青「ッ待って!まだ気配が…!」
青龍のその言葉と共に、尻尾が3本ある犬が、鋭い牙を玄武の心の臓に立てようと迫ってきた。玄武は亀甲鉞を振る余裕がなかった
玄「ッ!!」
朱「ッ玄姉様ッ!!」
朱雀はそう叫んだが、間に合いそうもない…その時だった
白虎が屋根から飛び移り、玄武を抱えた。そのまま犬は、白虎の腕に噛みついた。
白「ッッ!!」
白虎は嗚咽を噛み殺し、雷轟弩を犬に向け、矢を放つ。矢は犬に刺さり、其処には雷が落ち、気付けば犬は跡形もなく消えていた。
玄「ッ!兄さん…!その傷……!」
白「う…大、丈夫…だよ…僕は」
玄武を離し、傷口を手で押さえて言った。
青「…兄様、傷がかなり深いです。おはやく屋敷に戻り、六合殿に治癒を」
白「…うん、分かっ、てるよ……」
玄「……ごめん兄さん……私の所為で……」
玄武が哀しそうな顔をして、白虎に言った。白虎は苦しそうな顔で笑い
白「大丈夫、玄武の所為じゃ、無いよ」
朱「はやく行こうよ!」
朱雀は3人を急かすように言った。
青「そうね」
青龍は手を上に上げ、直後、青龍の姿が青色の龍の姿に変化した。
青「乗ってください!晴明様のお屋敷まで参りますよ!」
青龍が言うと、3人は龍に乗り、都を後にした。