中学2年の夏休みが終わった。
私はこの夏、ただ考えていた。
花奏と付き合える方法を。
だが、思いついたのは
“これまで以上に 距離を近づける”
これだけだった。
私は頭が悪いのだ。特に恋に関しては。
でも、何もしないよりはした方がいい。
そう考え、新学期から試してみた。
抱きつかれたら、受け入れ抱きしめ返す。
近くにいたら、自分から近づいてみる。
手袋や上着を貸してもらう。
意外にも全てできた。正直驚いた。
こんな感じで距離を縮めていると、
いつの間にか、付き合ってるのでは?
と噂され始めた。とても嬉しかった。
予想以上に上手くいっていた。
このまま噂が広まれば花奏と付き合うことも夢じゃない!
そう思っていた。
だが、現実は甘くなかった。
“同姓カップルってなんなん?”
“可笑しくない?変だよね〜笑笑”
そんな言葉が耳を通り過ぎた。
そして、脳で大きく鳴り響いた。
誰がこんなことを言っているのだ?
そう思い目をやると、そこにいたのは
花奏と菜乃だった。
途端、目の前が真っ暗になった。
どん底に突き落とされた気分だった。
嗚呼、そうか。同姓同士の恋愛は
心に深く突き刺さる。呼吸が浅くなる。
また、あの時と同じだ。あの時と同じ言葉。
決して消えることのない苦い思い出が
頭を、心を、きつく締め付ける。
小学3年の頃、私は女の子に恋をした。
その子とは、1番距離が近く、親友だった。
とても好きだった。
あの子もきっと私を好いているだろう。
そう思っていた。
だが、そんなことは決してなかった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!