20××年 12月15日
父が、他界した。
不慮の事故だったそうだ。
「人の死について考えたことはあるかい?」
「人が死ねば天国か地獄へ行く、土に還る、
海に還る。 」
「でも、そんなことどうだっていいんじゃないか?」
「死んだらもう何も残らないんだろ?」
「人は忘れ去られてく物なんだよ。」
「ボクの父さんは死んだ。だけど別に悲しくはなかったんだ。」
「もうその頃には感情というものが無かったのかもな。」
「何故ボクはこのおかしな話をしているか、
昔の自分に戻りたかっただけさ。」
「人の死は人によって感じ方が違う。それは君もそうだろう?」
「例えば..そうだな…」
「20××年 12月12日、あぁ..12が2つも。」
「珍しいな。」
「その日、36歳の男性が亡くなった。」
「警察からの判断は父の遺産のだそうだ。」
「その父は大企業の社長であり、遺産も多かった。」
「しかしそんな人は【金】という欲望で殺された。」
「可哀想だよな。金で買えないものがあるから、誰でも人生は生きづらいんだ。」
「殺されたことで悲しむ人もいれば、喜ぶ人もいる。」
「悲しむ人が多いだろう。喜ぶ人は殺した人だ。遺産で儲けられたんだからな。」
「それ以外の理由で喜ぶ人はいるか?」
「答えとしては…居るんだな。」
「もっと視点を広げるんだ。家族、親戚、友達、同じ街に住んでいる人、国、世界…」
「世界でもまぁこの喜びと悲しみで別れる。」
「もし世界的アイドルが死んでしまったとしたら、悲しむ人はファンだろ?」
「喜ぶ人はどうだ?考えつくか?」
「その人が嫌いな人だ。いわゆるアンチ。」
【コイツは嫌いだったから死んでラッキーw】
「とか?」
【コイツウザかったんだよな〜】
「よく見ないか?」
「影口なんて沢山ある。人は人の悪いところを風船のよつに膨らませ、その風船を通行人に渡している様なものだ。」
「こんなに視点を広げると話が変わってくるものだな。それだけ人との繋がりは広く、薄い。」
「それでだ、その殺害されてから3日後に発見。操作されて、6日後、容疑者が逮捕された。」
「その容疑者はまだ中学3年生であり、世間を騒がせた。」
「本当の殺害の動機はそんな金だけの問題だったのか、ボクはずっと考えているよ。」
「今日はここまでにしておこう。
おつかれ。」
パタン…