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近野さんにどことなく猜疑心を抱きつつも、何の確信も持てないまま、数日が過ぎたある日……
「永瀬さん、今日はちょっと事務の方を手伝ってもらえないかしら?」
出勤時に、松原女史の方からそう声をかけられた。
「はい…いいですけど、今日は近野さんは?」
「それが、彼女…お休みでね」
と、女史が仕方なさそうに、ため息を吐く。
「近野さんは、普段は仕事もしっかりとやってくれるしいい子なんだけれど……たまに、急に休むことがあって」
「たまに、急に…休む?」
耳にしたその一言に、頭の隅に、また妙な違和感のようなものが、にわかに引っかかったようにも感じた。
「ほら…笹井さんがけっこう休むことが多いもんだから、彼女の方にはあんまり目がいってなかったかもしれないけど、近野さんもね……実は、割りと休んでるのよ…」
仕方なさげに話す松原女史に、
「……近野さんが休む理由って、どんなことなんですか?」
気になって尋ねてみた。
「休む理由? さぁーなんか、あんまりはっきりしないっていうか……外せない用事があるからとか言って」
「外せない用事、ですか?」
「そうなのよ…そんな言い方をされると、あんまり追求もできない感じで……普段は仕事もちゃんとしてくれているもんだから、突っ込んで聞いてしまって、もし辞められたりしたらとも思って……」
女史は言って、ハァーとまたため息をついて、
「……困ったもんよね」
と、浮かない顔つきで呟いた──。