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ガラリと扉が開く。当たり前のように静まり返った図書室。キョロキョロを辺りを見渡して誰も居ないことを確認する。そして俺は静かに図書室に入った。ふぅと息を着く。手に持っていた今日読む本を見やる。『君は僕を許さない』という幼馴染の恋愛漫画。これはきりやんの姉から借りたもので、決して自分が買ったものでは無い。断じて。まぁ題名から見て昼ドラ的展開の物語を想像するが、この物語は至ってシンプル。主人公がヒロインとの大切な約束を忘れて、それに怒っているヒロイン。その部分から『君は僕を許さない』という題名に至ったのだろう。互いに思っているが口に出さない焦らす恋。両片思い、という物らしい。カバーがしてあるため、図書室で読んでも問題は無いだろう。恋愛ものには疎い俺が何故このような漫画を読んでいるのか。それは単純明快で、絶賛幼馴染に恋をしているからである。
おぉ…凄い。こんな風に話が進んでいくのか。ここで彼女が主人公に、
?「だ〜れだ。」
sm「うぇっ…!?」
急に視界が黒に染められる。さっきの少女漫画みたいな…。って、誰!?
?「ほらほら、当てないと手どかさないよ。」
この爽やかで優しい声…。
sm「きん、とき…?」
kn「せいか〜い。」
バッと振り返ると、やはり幼馴染のきんときが居た。…2人、きり?え?と周りを見るも、誰かが居る気配は無い。正真正銘、きんときと俺の2人きりの空間だ。
kn「珍しいね、スマイルが漫画なんて。何読んでんの?」
sm「…恋愛漫画、きりやんから借りた奴。」
kn「ふーん。結末はどうなんの?」
sm「…お前なぁ、本は最初から最後まで読むからこそのだな、」
kn「読む気無いし、いいじゃん。」
分かってねぇな此奴。本の良さも、なんで俺がこの本読んでるかも。鈍感な奴。ムカッとして彼から本に視線を向ける。…あ、もう少しで終わる。きんときも見入っているのか、段々と此方に近づいてくる。流石に近すぎでは?
kn「最後は何て告白すんの?」
sm「そりゃ勿論、君が…」
君が?…なんか恥ずかしいって、セリフを読むなんて柄じゃないし。しかも恋文だぞ?
kn「スマイル。」
sm「…ん?」
kn「君が好き。」
sm「…は、?」
きんときが俺を、好き?違う。そんな…訳。
kn「って言うんでしょ?」
一瞬でも勘違いした俺が馬鹿だった。きっと火照っているであろう顔を下げる。きんときは俺の事なんて、好きじゃない。唯の幼馴染だと思っていると思う。それにきんときには俺より仲良い奴らなんて沢山居る。例をあげれば、なかむとかぶるーくとか。俺から見ても可愛らしい顔立ちをしていると思う。そもそもの話、彼が同性を好きだという話も聞いた事がない。早とちりした、めっちゃ恥ずかしい。頬に冷たい感覚を覚える。俺の顔は彼の手によって、強制的に上げられた。
sm「何、すんだよ…。」
kn「あははっ、スマイル照れてんな〜って。」
kn「何、嬉しかったの?」
sm「…別に。」
そう?ときんときはご機嫌にしながら、俺の鞄を持ち出した。早くと急かしてくる。一緒に帰ってくれるのか。それは嬉しいな。
ペラリ
このシーンは、
『手冷たーいwねぇ知ってる?手が冷たいのって緊張してるからなんだよ?』
sm「はぁっ!?」
kn「なになに…うるさいなぁ。ここ図書室だし、下校時間。行くよ。」
と一足先に出ていってしまった。その耳は心做しか赤く染っている気がした。
いや、まさか…な。でも、冷たいって事は緊張してるって訳で。何に?俺に?
『そりゃ、緊張もするだろ。す、好きな人に触れてんだから。』
sm(まさかな。)
スマイルが本当の __をされるまで後数分。