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#そのじん
笑う門には福来る
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nanana

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ちょっとグロいかもです…> <
【第3話】鎖痕
カチャリ、と無機質な金属音が静まり返った部屋に響く。
「……仁人? 俺だ。急に仕事が流れてさ……」
玄関から聞こえてきたのは、紛れもなく勇斗の声だった。
僕は床に座り込んだまま、指先ひとつ動かせずに凍りつく。首筋には、じゅうが残していったばかりの生々しいキスマークが、ドクドクと熱を主張していた。
(嘘だ……なんで、なんで今帰ってくるの……!?)
「おい、返事はどうした。出迎えもなし――」
靴を脱ぎ、リビングのドアを開けた勇斗の言葉が、途中でぴたりと止まった。
部屋の空気が一瞬で狂気に塗り替えられる。
荒らされた室内。肩を露わにして床に丸まる僕。そして、漂う見知らぬ男の汗と熱の匂い。
勇斗の目が、冷酷な氷から一転して狂暴な火種へと変わる。
「……おい。仁人」
歩み寄ってくる足音が、地鳴りのように腹に響く。
勇斗は僕の髪を掴み上げると、無理やり首元を晒させた。その視線が、自分がつけた噛み痕のすぐ隣――じゅうが刻みつけた鮮やかな赤紫色のキスマークに注がれる。
「……何だ、これ」
「あ、つ……っ、勇斗、違うの……! これはっ――」
「何が違うんだよ!!!」
ドカッ、と鈍い音が響き、僕は床に叩きつけられた。呼吸が詰まる。
勇斗は僕の上に覆いかぶさり、僕の首を絞める勢いで両手で喉元を掴み込んできた。顔を真っ赤にし、目線は血走り、今まで見たこともないほど荒い息を吐いている。
「誰だ……誰に触らせた!? 俺以外の誰が、お前の中に手を入れたんだよ!!」
「ちがっ……じゅう、が……急に来て……っ、僕は嫌だって言ったのに……!」
「誰の名前だそれ!! ふざけんな、ふざけんなよ!!」
理性を失った勇斗の怒りが爆発する。
僕の着ているシャツを破り捨てるように引き裂き、じゅうがつけたキスマークへ容赦なく歯を立てた。
「痛い! 痛いよ勇斗っ! やめて!!」
ガチリ、と皮膚がちぎれるほどの力で噛みつかれる。血の味が二人の中に広がっていく。
勇斗は獣のように僕の首筋を貪り、じゅうの痕を自分の血と歯型でズタズタに破壊し、何度も何度も強く唇を吸い寄せて上書きしていった。
「お前は俺のだ……俺の足元で這い回ってろって言っただろ!! なのに浮気か!? 俺を裏切るのかよ!!」
「違う……っ、僕は勇斗の……勇斗だけのものだからっ……!」
痛みと恐怖で視界が涙で歪む。
けれど、激しく上書きされていく首筋の痛みに、僕はどこかで狂気的な快感を覚えていた。勇斗が、こんなにも僕の「他の男の影」に怒り狂っている。
やがて――一通り暴れ、僕の首元を血と鮮血の痕でグチャグチャに染め上げた勇斗の動きが、ぴたりと止まった。
「ハァ……ハァ……っ」
首を絞める手が緩む。
血の気の引いた顔で僕の顔を見下ろしていた勇斗の瞳から、すっと怒りの光が消えていった。
代わりに湧き出してきたのは――見たこともないような、圧倒的な「恐怖」だった。
「あ……あれ……?」
勇斗の唇がガクガクと震え始める。
僕を支配していた絶対的な暴君の顔が、まるで迷子になった幼い子どものように歪んでいく。
「仁人……? お前……俺を捨てるのか……?」
「勇斗……?」
「嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ!!」
突然、勇斗は僕の胸にすがりつき、大粒の涙をボロボロとこぼし始めた。
ボロボロと落ちる温かい涙が、僕の鎖骨にこぼれ落ちていく。
「ごめん……! ごめんな仁人! 痛くしてごめん! でも、俺から離れないでくれよ!!」
「勇斗……泣かないで……」
「俺、お前がいなくなったら狂っちゃうよ……! 外の女なんてどうでもいいんだ、お前が俺を見てくれないと無理なんだよ! お願いだから、俺を捨てないで……っ、仁人ぉ……っ!」
激しく鼻を鳴らし、ぐちゃぐちゃに顔を濡らして泣きじゃくる勇斗。
あのプライドが高くて、冷酷で、僕を奴隷みたいに扱っていた勇斗が、僕の身体にしがみついて幼子のように泣き叫んでいる。
(ああ……)
僕の心の中に、今まで感じたことのない、背徳的で甘やかな快感が満ちていく。
傷つけられていたのは僕じゃない。
僕なしでは生きていけないように「檻」に入っていたのは、最初から勇斗の方だったのだ。
僕は血と涙で汚れた勇斗の頭を優しく抱きかかえ、その髪を撫でた。
「大丈夫だよ、勇斗。僕はどこにも行かないよ……ずっと、勇斗のそばにいるからね」
「ほんと……? 嘘ついたら許さないからな……っ、ぐすっ……俺だけを見ろよ……!」
泣き崩れる恋人を抱きしめながら、僕は暗闇の中で静かに微笑んだ。
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コメント
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❤︎さんの作品ほんっとに好きで新しいsnjnも最高です!これからも応援してます>_<