この世には、2種の第2性がある。しかし、全員が持っているわけじゃない。第2性は、アイスと、ジュースと、の2種類だ。アイスは、低体温。ジュースと気持ちが通じると3分以内に溶けて消えてしまう。ジュースは、高体温。アイスと気持ちが通じると3分以内に想い人を亡くしてしまう。アイスとジュースはお互いに惹かれやすい。僕の名前は、青葉 透。俗に言うアイスの人間だ。
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僕が、自分の第2性を自覚したのは、小6の時の事だった。給食前の4時間目。保健の授業で、第2性について学習した時の事だ。その時同じクラスだった篠山 渉が、
「せんせー。とおるんとか、めっちゃ手冷たいッスよー!」
と言い放った。僕にしては良い迷惑だった。その時は、僕も、先生も、大して気にしていなかった。次の時間の5時間目。僕は、おかしかった。なにかの思い違いかもしれない。しかし、体が冷えているのだ。体育の授業で、めいいっぱい体を動かした後に、だ。今までも親に、透は体温が低い。とか友達にも、透は夏はひんやりしてて一緒に居て気持ちがいい。なんて言われて、その度に、僕は冷えピタじゃない!なんて、ツッコミをして…それなりに幸せな日々だった。このまま…続くと信じきっていた。好きな人と結ばれて、子供が生まれたりして、親にも恩返しして、なんて小学生ながらに将来のことを考えていた。のに。嫌な予感に、更に体温が下がっていく感じがする。その日の僕は早退して親に相談もせず、病院に行って検査を受けた。結果は、『アイス』だった。
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あれから気づけば、5年が経過していた。僕は、恋なんてすることは無い。と思っていた。家族にも、友人にも、一生アイスである事を打ち明けずに生きていくんだと思っていた。しかし、それはたった今最悪の形で破られた。
「私ね、ジュースなんだ。」
綺麗な黒髪を揺らしながら彼女はそう告げた。僕の生涯1度きりの恋であり、幼なじみであり、友人である白井 蜜柑は今、はっきりと ジュース なんだと言った。
「そっか。」
「えー!?なにその反応!?もうちょっと驚いてくれたって良くない!?幼なじみが今世紀最大の秘密を暴露したのにぃ。」
ぷくっと頬を膨らませた彼女の手は、震えていた。それは、常人の反応だ。この世に生まれて17年。これからも幸せな日々が続くと当たり前に思っていた。2万人に1人の第2性なんて持っているわけないと誰もが信じきっている。そんな、今までの幸せが彼女の事情をも無視して一瞬にして崩れ落ちる。怖くないわけが無い。そんな彼女を前に驚けるわけが無いだろう。僕は泣いていた。
「え、そ、そんなに泣かなくてもいいじゃん!ごめんね。言い過ぎたよ。」
君のせいじゃない。言いかけた言葉は音になることなく、僕の嗚咽に掻き消された。なんで、どうして、君なんだ。もし、神様がいるなら余程僕の存在がお気に召さないようだ。あぁ、どうかどうか、彼女を救ってください。
コメント
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文章のセンスが良すぎません…? 私に語彙力を分けてくださ((((