私達は、双子として産まれた。
だが、二卵性だったので私達は全くと言って似ていなくて、むしろ正反対だった。
私は見た目も性格も地味なタイプ。それに対して妹、ヒマリは凄かった。
成績も優秀、容姿もとても綺麗で、家族も、親戚も、友達も、学校の先生も、当たり前のように妹を好きになった。
みんなは妹のことを「お人気さんみたい」と慕った。
同じ日に生まれた、私のことなんて忘れて
高校2年生の秋頃、私には好きな人がいた
こんな私でも優しく接してくれて、笑顔が素敵な男の子だった。最初こそ疑っていたが、いつしか私は彼に惹かれていった
ある日、目を疑いたくなる光景を見てしまった。
私の好きな人が、妹に告白している所を
信じたくなかった。気づきたくなかった。
私なんかと関わってたのは、妹に近づくためだったんだ。
家に帰り、溜まった洗い物をしていると扉が開く音がして、バタバタと走る音がして、見慣れた顔がこちらを嬉しそうに見た
嫌になってしまうほど、美しい顔。
「ただいま!」
元気よく言う彼女に、小さく「おかえり」と呟く
「お姉ちゃん、どうしたの?」
妹は俯く私の顔を覗き込む
「やめてよ。見ないでよ。」
「どうして?何かあったの?」
わざとらしい演技だ。私があの人のこと好きなのだって知っていたくせに。
「ねぇ、お姉ちゃん……」
「もうやめてよ!!」
気づけば私は妹を突き飛ばしていた
ハッと気が付いた時には、もう既に遅かった
突き飛ばされ、尻餅をついている妹と、妹の周りを囲むように流れるヤカンの湯。
「……あっ!!ご、ごめ…」
謝るのなんて、無駄なのに。
その後、妹の顔には大きな火傷跡が残った
私は家族に酷く責められた。私は酷いことをしてしまったから、そんなの当たり前のことだ。
でも、妹はそんな私を「お姉ちゃんだってわざとじゃないんだよ。私が悪いし。」と言って庇ってくれた。
そんな日々を過ごし、いつしか私は妹に依存していくようになった
猛烈な頭痛と吐き気で目が覚める。時刻は深夜2時。
あのときの感覚がフラッシュバックして、息が苦しくなる
「……お姉ちゃん?大丈夫?」
妹が寝具から起き上がり、私に寄る
「ごめん、ごめんね……ヒマリ……こんなお姉ちゃんでごめんね……」
「そんなこと言わないでよ、私はそんなお姉ちゃんが大好きだよ」
そう言って妹は私を抱きしめる
妹の体温が伝わる。冷たいのに、どこか暖かい。
「ヒマリ……どこにも行かないでね」
「うん。もちろん。」
今の私は、ヒマリが全てだから…。
妹が私を抱きしめる力が強くなる。私は安堵して、眠りに落ちた
私に見えないよう、妹が一つ笑みをこぼしている事にも気付かず。
(あーあ)
(お姉ちゃん。)
(やっと私のこと見てくれた……♡)
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