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マシュ「さあ次はいよいよ弐年生の最終種目、障害物リレーです!!」


実況のマシュマロの声が響く運動場で、葵梨は心配そうに晴明を見ている。

その間に、第壱走者の動物妖怪たちが入場してきている。


葵梨「それにしても……安倍先生、いくら佐野君の怪我が自分のせいだったとしても──」

阿古「あ、いた! おく──葵梨ちゃん!」

葵梨「あ、阿古!」

阿古「折角ですし、人の少ない場所を探して、一緒に競技見ましょうよ〜」


本当は晴明のことを止めようとしたが、やってきた阿古に腕を引っ張られ、運動場の端へと移動する。


葵梨「痛い痛い痛い痛い」


阿古はそこで、何故か晴明に向かってウィンクした。




マシュ「最初の障害物は丸太平均台だ!!!」


代表の動物妖怪たちが、丸太の上を走っていく。


阿古「こんな簡単な障害物でいいのですか? なんというか、ゆるいんですけど」

葵梨「う〜ん多分、本格的な障害物を用意するためのお金が足りなかったんだと思います」


しかし参組の猫又、秋雨は──


秋雨「こ……これは!!」


丸太の上で転がりだす。

どうやら丸太はマタタビでできていたようだ。


阿古「あっしー、参組嫌いなんですかね? 参組だけ明らかに不利……」

葵梨「“あっしー”?」


しかし……


佐野「あっ、アレ、俺が倒された丸太だ!」


佐野がそう言うと、


秋雨「にゃんと!! 貴様が佐野に怪我を負わせたのか!!」


秋雨は自身の爪で丸太を切り刻む。


阿古「おお……! 切れ味よすぎ! あの爪剥いで、使ってみたい!」

葵梨「何いってんのコイツ」


さあ、参組は、遅れを取り戻せるか!?




マシュ「な、なんと参組! 目を閉じて、ねこじゃらし畑を突き進んだー!!!」


マシュ「おっかねぇなぁぁぁ、もう!!」


その後にも、ギャグらしさ全開の展開が続く障害物リレー。

そしてタスキは、アンカーに。


ギダ「あとは任せた!! 晴明先生!!」

マシュ「な……なんと参組のアンカーは、人間教師の安倍先生!?」


参組のアンカーは、本当は佐野の予定だった。

けれども突然の事故で怪我をしてしまった佐野は競技に出られなくなり、代わりに晴明が障害物リレーに出ることになったのだ。

足の速い晴明は、他のクラスの代表に負けず劣らずのスピードで走るが──


マシュ「最初の障害物は1000段の跳び箱だ!!」

晴明「無理だぁー!!」


いくら人間離れしている晴明も、流石に1000段の跳び箱を跳ぶのは無理がある。


葵梨「だ〜から、やめた方がいいって言おうと思ったのに……」

阿古「まあまあ……仕方ないですよ。あの人はきっと、やめろって言っても聞きません」

葵梨「いやいや、貴女が止めたからっ!!」


その間、参組の生徒たちが佐野を中心に何か話し合っていた。

……と思ったら、解散し、何処かへ走っていく。


葵梨「……佐野君、何をするつもりなんでしょう?」

阿古「さっきの一反木綿で爆発を起こして、晴明君をぶっ飛ばすとか!?」

葵梨「……確かにルールで禁止されてはいませんけど……」


そんな話をしている2人のもとへ──


ヌラリ


学園長「葵梨さん、阿古さん、少し力を貸してください」

葵梨「学園長? 一体どうしたの──」


いきなり現れ、葵梨たちに協力を求める学園長。


阿古「はぁ!? 嫌ですよ! 私だけならまだしも、奥様までなんて──」

学園長「うるせぇ! いいから手伝いやがれ阿呆が! 今、緊急事態なんだよ!」

阿古「は、はぁ!? 阿呆って何よ阿呆って!」

葵梨「まあまあ……で、何があったのですか?」

葵梨〔昔っから仲が悪いですね、この人たち〕


“緊急事態”だというのに、喧嘩し始める阿古と学園長を止める。

学園長は葵梨に用件を伝えた。


学園長「実は、晴明君が退魔の力を使う可能性があります」

葵梨「……はぁ……分かりました、警戒しておきます。阿古も一応警戒しておいてください」

阿古「い・や・で・す・よ! 奥様もこの阿呆の言うことは無視して大丈夫です!」


学園長は阿古の返事を無視し、他の先生たちのところへと戻る。


葵梨「……『無視して大丈夫です!』、か。まぁ、私の体、“無視できない仕組み”になっているのですけどね」

阿古「…………」




しかし学園長の心配は杞憂に終わったようで、晴明は退魔の力を使わなかった。

その代わり──


晴明「あ……あきらめないぞ……人間やる気出せばなんだってでき──…」

佐野「じゃあ、出してもらおうか!」


参組の生徒が運動場に戻ってくる。


セーラー服を着て。



参組「晴明ぇぇぇ!!! お前の大好きなセーラー服だぞぉぉぉ!!!」



葵梨「……え?」

阿古「そういえば晴明君って、セーラー服フェチだった……」

葵梨「あぁ……そうでしたね」


先生「……?」

生徒「……プッ」


生徒「ギャハハハハハ!! なんだよアレ!!」

生徒「おい参組っ!! 文化祭の出し物してんじゃねーよ!!」


そんな声が聞こえてくる。


秋雨「連々、俺、心折れそう……」

連々「心を殺せ。雑音に耳を傾けるな……」


参組の生徒による捨て身の応援は、効果抜群だったようで──


晴明「…………」


本気になった晴明は、1000段の跳び箱を軽々と飛び越えたのだ!

そしてその後の障害物もものともせず、


マシュ「参組、生徒たちの捨て身のパフォーマンスにより大逆転の1位~っ!!」


葵梨「マジですか」

阿古「確かに運動神経は抜群でしたけど、ここまでとは……あははっ」


そのまま晴明は参組の生徒のもとへ走り──


マシュ「……からの、写メぇ!!」


先程までは笑っていた阿古。しかし参組のセーラー服姿を連写する晴明に、流石にドン引き。


阿古「気持ち悪っ……晴明君ってあんな子だっけな……」

葵梨「基本的にはいい人なんですけどねぇ」




──後日、


晴明「……結局、ブレザー着る羽目になってしまった……悲しみ」

連々「うるせぇ変態教師」

泥田「あれ以来、参組は学園長が秘密裏に変態ばっか集めたクラス、って噂されてんだぞ」


結局晴明は、ブレザーを着ることになったそうだ。


ちなみに最下位で罰ゲームを受けることになったのは、ねずみ先生だった。






【おまけ】


障害物リレーの直後、佐野に出会った葵梨。


葵梨「あ、佐野君。先程のセーラー服は、貴方の発案ですか?」

佐野「まあ……」

葵梨「……大変でしたねぇ」


葵梨は純粋に佐野を労おうとしたのだが、佐野には煽っているように聞こえたのか。


佐野「本当は葭屋町にもセーラー服を着るよう、頼むつもりだったんだけどな」

葵梨「え」


冗談だろうかとそのときは思ったが、本気だったかもしれないと後で思い。

参組の別の生徒に話を聞くと、


狸塚「本当だよ!」


紅子「そういや佐野、そんな話もしてたな……」


入道「歌川さんが佐野をとめたんだよ」


葵梨はその後、歌川に何度もお礼を言ったそうな。

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