──準備室のドアをノックすると、中から「誰だよ?」と、無愛想な声が聴こえた。
(やっぱり、ここにいるし……)と、軽くため息を吐く。
(『職員室に来い』って言ったのは自分の方なのに、なんでさも当たり前のようにここにいるのよ…)
ぶつぶつと心の中で悪態をつきながら、片手でガラリとドアを引き開けた。
中には、試験管などの実験用具が置かれた長机にドンと両足を投げ出した、教師とは思えないようなかっこうがあった。
そのあまりに横柄そうな姿に、思わず眉をしかめると、
「おぉー夏目か。よくここがわかったな?」
そう口にして、軽い笑いを浮かべて見せた。
「……わかったなじゃないんですけど……先生、職員室にいるからって言われてましたよね?」
まるで小バカにでもしているかのような笑い顔を見ていると、またムカついてもくるようで、私はますます眉間にしわが寄るのを感じた。
「ああ、そうだっけか? 悪いな…こっちで用事思い出したんでな…」
悪びれもせずにしれっと口にするこの教師が、本当に許せないと感じる。
「……教えてほしいところがあるんだったよな? どこだよ……ってか、いつまでもつっ立ってないで、座れや」
ようやく足を机から下ろして、イスに座るよう促す流星先生に、
「いったい誰のせいで、つっ立ってたと思うのよ……」
聞こえないようにと、ごく小さな声で恨みごとを呟いた。
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