テラーノベル
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💜「なべ、これ引いて」
そう言って深澤が差し出したのは抽選箱と書かれた正方形の箱だった。
手作りっぽいのに中が見えないようにわざわざカエシまで付いている。
💙「何の抽選?」
💜「来週の涼子さん歓迎会に参加できるかどうかだけど?」
💙「は?どういうこと?」
💜「予約した店の広さに対して出席者が多すぎるから抽選になった」
店を変えれば済む問題だけど涼子さんの行きたい店を選んだから変更はなし。
だから人数を減らすしかないようだ。
それにしても、こんなもの作るほど秘書って暇なわけ?
💙「……変なモノ入ってないよな?」
💜「変なモノって何?」
💙「……虫のおもちゃ、とか」
💜「ドッキリじゃねぇし、いいから引けよ!まだ人数残ってるんだから!」
プリプリ怒り出す深澤は無視して箱の中に手を入れてみる。
手に触れるのは紙の感触だけで安心した。
これだ、と思った一枚を引いて紙を広げてみると薔薇のスタンプが押されていた。
💙「これ、当たり?」
💜「お!運がいいな!詳細はメールするから!じゃあね、ラッキーボーイ☆」
渾身のキメ顔をした深澤が次の部署へ向かったと思えば入れ替わりで向井がやって来た。
🧡「部長、資料の確認お願いします!」
💙「あぁ。……………ところで向井。涼子さんに俺のこと、鬼部長って言ったそうだな?」
🧡「え!そんなこと言ってへんよ!部長は何も出来ない可愛らしい人って………ヒィ!」
目が笑っていない俺の笑顔を見た向井の顔が真っ青になっていく。
簡単なカマに引っかかりやがって。
やっぱり向井か、このやろう。
💙「……誤字がある。やり直し」
🧡「す、すぐに修正します!!!」
向井は資料を受け取ると急いで自分のデスクに戻り作業に入った。
言っとくけど、パワハラじゃないからな。
本当に誤字が見つかったんだから誤解しないでくれよ!
***
💜「社長、乾杯の音頭お願いします」
💛「涼子さん、いつも清掃ありがとう。
…………乾杯」
「「「「かんぱ〜い!!!」」」」
歓迎会は最近話題になってる、イタリアン居酒屋だった。
前回、涼子さんとの食事でやらかした俺は飲酒しないと心に決めていた。
端の席に座り普段飲むことのないクランベリージュースを味わう。
視線の先には佐久間と阿部に挟まれて楽しそうに会話をしている涼子さんの姿。
今日以降、必要最低限の関わり合いにすると決めてるのに自然と目で追ってしまう自分が恨めしい。
目が合わない内に目線をずらし、タブレットのメニューを見る。
……何、食べようかな。
どれもこれも美味しそうで迷う。
💜「なべ、注文決めた?」
別のテーブル席から深澤が来た。
タブレットは涼子さん達が見てるから、こっちに来たようだ。
まぁ主役からタブレットは取れんよな。
💙「まだ。深澤が決まってるなら先に入力するけど?」
💜「じゃあ、モッツァレラのカプレーゼとアンガス牛のステーキで!」
💙「はいよ。社長の分は?」
💜「半分こにするから大丈夫!あんがと!」
深澤は再び社長の元へ戻っていく。
こんな時ぐらい社長についてなくてもいいと思うけど口下手な社長が心配なんだろう。
そろそろ注文を決めて他に回そう。
俺は気になった料理をタップして隣に渡した。
***
料理が届いて一時間半。
俺は注文した料理を食べながら周りとの会話を楽しんでいた。
俺のテーブル席はあまり絡んだことのない部署の人が多くて自分と違う業務の話を聞くのは興味深くて楽しい。
趣味の話になった時は最近行けてないけど、サウナにハマってると伝えた。
同じくサウナ好きがいて機会があったら行こうという話になったけど一人の方が楽だし行くことはないかな。
気づけば恋バナになってた。
正直、他人の恋路は興味ないし俺はマトモな恋愛経験ないし(黒歴史)。
色々聞かれると面倒だ。
話の矛先が向く前に違う席に行こうかな、と思ってた。
でも、そうはいかなかった。
モ1「涼子さんって綺麗だよな〜」
涼子さんの話題になったから。
モ4「確かに。俺、全然いける」
モ1「だよな!?俺、本気でいいなぁって思ってるからアプローチするわ!」
モ2「やめとけ!お前じゃ無理だ!笑」
モ3「そうそう。相手いるらしいし」
は?
モ4「それ、どこ情報?」
モ3「部署の子だけど」
モ1「嘘だぁ!」
モ3「本人に聞いたって」
うるさい。
モ4「付き合ってるって言ってた?」
やめろ。
モ3「肯定はしてないけど、その子が『抱き合ってましたよね!?』って言ったら顔を紅くさせたみたい」
だまれ…!
モ2「そんなの付き合ってんじゃ~ん!笑」
もう、……むり。
俺はそっと、この場から立ち去った。
***
俺は店を出てテナントビルの非常階段に身を隠していた。
危なかった。
あのまま居続けたら自分を保てずに感情を露わにしてた。
何とか自分でいられたのは涼子さんの歓迎会だったから。
楽しげな雰囲気を壊したくなかった。
歓迎会が終わる前に戻ろう。
そう決めてからどのくらい経ったか。
何もする気にならない。
「部長」
声と共に肩に手を置かれる。
振り返ると少し息の上がった阿部がいた。
非常階段のドアが開いた音が聞こえないくらい呆然としていたみたいだ。
💙「……どうしてここに?」
💚「心配で探してたんですよ」
💙「そっか。ごめんね、阿部ちゃん」
💚「それは全然いいんだけどね、…………もう止めたら?」
意味がわからず首を傾げると阿部は少し困ったように小さく笑った。
💙「何を?」
💚「気付かないふりするの」
💙「何のこと?」
💚「”翔太”がしらばっくれるなら言葉にしちゃうけど、どうする?自分で言う?」
有無を言わさない笑顔。
【ブラック阿部ちゃん】
久しぶりに見る。
でも優しい。
言葉にすると言いつつ待ってくれてる。
💙「……おれは」
もう、
💙「俺は……」
止める。
💙「涼子さんが」
自分の気持ちに、
💙「好きだ」
蓋をするのを止める。
記憶がなくなって俺を忘れてても、昔と見た目が違っても関係ない。
俺は【宮舘涼太】が好き。
それだけだ。
💚「よく言えました♪」
💙「……言わされたんだよ」
💚「いいじゃん。モヤモヤはなくなったでしょ?」
💙「まぁ、そこは…ありがと」
二人で笑い合っていると突然、阿部が視線を逸らしポケットからスマホを取り出す。
佐久間からそろそろ歓迎会が終わると連絡が来た俺達は店に戻ることにした。
***
歓迎会がお開きとなり俺は涼子さん、阿部、佐久間と一緒に駅前にあるカラオケ店に向かっていた。
歓迎会終了直前で佐久間が突発的に提案し殆どの社員が帰宅を選ぶ中、涼子さんが参加を決めたので俺と阿部も便乗することにした。
俺と阿部が先頭を歩いてると後ろから何を歌う、などの楽しげな声がする。
💚「翔太は何歌うか決めた?」
💙「全然。行くの久しぶりだし」
💚「ねぇ、あれ歌ってよ!『地元じゃ負け知らず〜』って!」
💙「……涼子さんが歌えるならな」
そんなことを話しながら、あと数mのとこで目的地に到着する。
そんな時だった。
❤️「わっ!」
🩷「涼子ちゃん!?」
涼子さんの驚く声が聞こえ振り向くと後ろから抱き着かれていた。
慌てて後ろの二人に駆け寄る。
💙「涼子さんを離せ!」
🩷「覚悟しろ!変態野郎!!」
💚「警察呼びますよ!」
俺と佐久間は戦闘態勢に入り阿部はスマホを用意した。
それを見た涼子さんが慌てた様子で何か言ってるが俺達があーだこーだ言ってるせいで届いていない。
「もー、うるさい」
低く耳障りの良い声がした。
「変態野郎なんて酷いよ」
男が顔を上げる。
「さくちゃん」
見覚えのある顔に言葉を失った。
その男は研修でクリスプ商事を離れていた、
🖤「お疲れ様でーす。来週から戻るんでまたよろしくお願いします」
目黒 蓮だった。
🖤登場回でした!
❤️さんとの関係は…?
書き進める度にペースが遅くなってますが頑張ります…!!
次回もお楽しみに!
♡が累計200超え…!
本当にありがとうございます!!
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コメント
5件
全て読んできました♡ 💙と❤️の距離がもどかしくてキュンキュンしながら読みました💕 まさかの🖤くんも登場してますます気になります!! 楽しみにしてますね🥰
🖤との絡み、楽しみ! てか登場して早々❤️に抱きついてるのはどーゆーこと?
ああ、このエピソード……もう胸がぎゅっとなりました。 抽選箱のくだりから始まって、涼子さんの恋愛話を聞いた翔太くんの「うるさい」「やめろ」「だまれ…」の地の文、あれ本当に痛いほど伝わってきました。非常階段で阿部ちゃんに「好きだ」って認めるところ、涙が出そうでした。自分に蓋をするのをやめるって、すごく勇気がいることですよね。 最後の目黒さん登場も衝撃すぎて……! 涼子さんとの関係、どうなってるんでしょう。続きが気になって仕方ないです。zetsu.さんのペースで大丈夫なので、これからもゆっくり紡いでいってくださいね。素敵な物語をありがとうございます。
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