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続編③:「君にしか見せない顔」
日曜日の午後。
ニノの家に初めて行くことになった。
「緊張してんの?大丈夫だよ、俺、人んちに来たらちゃんとお茶出すタイプだから。」
そんなふうに冗談っぽく言うけど、部屋の中はきれいに片付いていて、ふとしたところに“気遣い”が見えた。
「本当に普通の部屋なんだね。」
「うん。君が特別だからって、飾ってもバレるし。」
リビングのソファで並んで座る。
テレビはついているけど、内容なんて頭に入らない。
隣にいるニノが、ときどきこっちをちらっと見てくる。その視線が、やけに熱い。
「ねぇ……今日、来てくれて嬉しかった。」
ぽつりと、彼が言う。
「私も、誘ってくれて嬉しかったよ。」
目が合うと、ニノは少し照れたように笑った。
でもそのあと、ふいに真剣な目つきになる。
「……好きって、伝えていい?」
「……うん。」
その一言で、空気が変わった。
ゆっくりと近づいてきたニノが、あなたの頬にそっと手を添える。
唇が触れ合う、柔らかなキス。
だけど――
それはすぐに、少し深く、熱を帯びていく。
彼の指先が、耳の後ろをなぞり、首筋に触れる。
「ここ、弱い?」
囁くような声に、身体がぴくりと反応する。
その反応を見たニノが、少し笑ったあと――
迷うように一瞬止まり、けれど覚悟を決めたように、首筋にそっと唇を落とす。
一度、二度。
やがて、柔らかな舌先が、肌をかすめる。
「……ごめん、俺、ちょっと、止まんなくなるかも。」
そう言いながら、彼はそっともう一度キスを落とし、
そして――
少し強く、跡を残すように吸いついた。
「これ、俺だけの印。……嫌じゃない?」
「……ううん、むしろ……ちょっと嬉しい。」
あなたがそう答えると、ニノはふっと息を吐き、
額をコツンとくっつけてきた。
「……もう、好きがあふれて止められない。」
甘く、少しだけ切ない声でそう囁いた。
外の世界ではクールで、器用な人。
でも今、目の前で照れながらも独占欲を隠せないこの人は――
“あなたにしか見せない顔”をしていた。