TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
シェアするシェアする
報告する

「ちょっと、いちかちゃん正気かい? タワー《狼煙》って…… 」


この店の部長と名乗る男は、厨房とホールを繋ぐ連絡路に身を隠し、まだ入店《ギルド登録》半年にも満たないキャスト《冒険者》『愛咲 いちか』と協議を重ねる。


タワー《狼煙》とはシャンパングラスを金《魔石》の数だけ積み上げ、そのグラス達を全て満たす様に最上部よりシャンパン《エリクサー》を注ぐ、金持ち達の権力を誇示する為だけのパフォーマンス《軍事パレード》である。


「タワー《狼煙》って何段まで種類あるんでしたっけ? ごめんなさい勉強不足で」

幼く可愛い顔が少し俯き、それでいて瞳は熱く決心が垣間見える。


「そんな事はない。入店して半年未満でタワー《狼煙》をやる子なんて初めてだからね、俺も少し戸惑っちゃったけど、そうだね、タワー《狼煙》は5段~15段あって其々金額が異なり、満たしていくシャンパン《エリクサー》の値段によっても変わって来る」


「5段から?…… 」


「そう、10段を越える物は前日から組み上げなくてはならないから、当日では当然無理になる。従って、いちかちゃんがタワー《狼煙》をするなら、5段~7段辺りが現実的だと思うよ」


「値段は? 」


「5段は2万で5掛けになるから設置料だけで10万。これに別途満たしていくシャンパン《エリクサー》の金額が掛かる。ヴーヴクリコ《中級ポーション》なら1本3万で、3本使うとして計算すると9万。合計19万だね。然しこれはキャバクラ《ダンジョン》における底辺のタワー《狼煙》だから、やる意味がないよ。逆に笑いものにされてしまう」


「そうですか…… 」


「大丈夫かい? 焦って無いかい? いちかちゃんが十分頑張ってるのは分かってるよ? 此処で無理をする必要は無いんじゃないかな」


「焦っている訳では無いんです…… これはその…… 対価なんです」

暫く慮《おもんばか》ると目線を横に流し、唇でその細い指を噛んで見せた……


「何か理由がありそうだね。其れならば7段からが現実的だよ。設置が4万×5で20万。ヴーヴクリコ《中級ポーション》5本で15万だから合計35万。突発的なお祝いなら十分な金額になるし、笑う者も居ないよ」


後はお客さんからオッケーが貰えれば問題無いかな。


―――すると後ろから楓が抱き付いてきた……


「私の可愛い子猫ちゃんが悪だくみしてるぅ」


「そうだね。後はその人に相談してみるといいよ、一応スタンバイ出来るように用意はしておくから」


「おっ、お姉さん酔ってるの? 」


「当たり前だろ!! 男といちゃこらしやがって!! 聞きたい事沢山あるわよ。うふふ、こっちにいらっしゃい子猫ちゃぁん。オラ早くしろ浮気者が!! 」

キャバクラと言う異世界で冒険者を始めたら成り上がり女傑譚になってしまった件

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

44

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚