父)お前はこんなこともできないのか!
母)あの子は美憂と違ってできない子なのよ、
父)あんなやつわが家には必要ない!恥だ!
母)ねぇ、あなた…、もういっそあの子をあそこに預けてしまわない?
父)あそこって…、〇〇はまだ3歳だぞ?
母)仕方ないわよ。あんな頭で生まれてきちゃったんだから…、
〇〇)ハッ!
飛び起きるとそこは見慣れない部屋のベッドだった。全身に冷や汗をぐっしょりかいている。
〇〇)夢か…
嫌なことを思い出してしまった。
私はあの会話をドアの外から聞いていた。まだ3歳だった。
私は幼い時から頭が良く、敏感だった。だけど自由奔放で思ったことをなんでも口にしてしまう性格だった。
お父さんが家に変な女を連れ込んでいるのも知っていたし、お母さんがお父さんのお金を勝手に盗み出して宝石に費やしているのも知っていた。
親はそれが知られたくなかったから私の存在を邪魔だと思った。
だから、消した。
親に買い物に行くと伝えられて連れてこられたのは暗殺者を育てる組織だった。父の繋がりのある会社らしい。
必ず迎えにくるからと言って去っていく母の顔を今でも覚えている。
あぁ、私は捨てられるんだな。
それからはずっと訓練、訓練、訓練。
小さい子はいたけど私が最年少だったから、先輩たちに猛烈に虐められた。男の子も私を捨てられた可哀想な子と言って相手にしなかった。
悔しかったから、ひたすら訓練を頑張ってトップの成績に勝ち登った。もう誰も私をいじめなくなった。
殺さなきゃ。殺さなきゃ。あいつらを見返すように。親を見返せるように。見下されないように。
〇〇)(あの頃の私は本当に狂っていたんだな…、)
自分の手を眺める。日光に照らされ白く輝いていた。
血はついてない。あの生臭い匂いもしない。
ガチャッ
向井)〇〇ちゃーん!おはようやで!
〇〇)あ…、おはようございます…、
向井)なんや、元気ないやん。起こしに来たのが俺やからってそんなテンション低くならなくても…、
〇〇)あぁー!違います、違います!全然、嬉しいです!
向井)そうなん?なら、ええけど…
向井さんの顔がちょっと晴れる。
向井)なんで元気ないん?
〇〇)…ちょっと、怖い夢見ちゃって、
向井)なんやぁー、〇〇そんなことで怖がるなんてかわええなぁ、
〇〇)かわいい⁉︎
急に飛び出した可愛い、というワードに体が反応する。
向井)大丈夫やで?怖かったらいつでも俺の部屋来ていいからな?
向井さんが膝立ちになって私をぎゅうっと抱きしめてくれた。
向井)〇〇は俺が守ったるからな?
向井さんが私の頭をポンポンと優しく撫でてくれる。
私も背中に手を回そうとしたその時ー
ガチャッ
岩本)〇〇まだ寝てるの?舘様呼んでるけー
向井さんと私が抱きしめ合っているのをみて岩本さんの体が固まる。
岩本)向井、お前…?
〇〇)いや、あの、これは違うくて!//
向井)そうやで!冷静に冷静に!な、照兄?
岩本)いや、許すわけねえだろ!
向井)うわっ
向井さんは岩本さんに首根っこを引っ張られ私から引き剥がされた。
向井)ちょ、照兄!痛いって!うわっ、いたたたた、
岩本)お前みっちりお説教してやるからな?
向井)いややて!助けて!〇〇!
ずるずる廊下を引きずられて連れていかれる向井さんを眺めながら私は黙って部屋の扉を閉めた。
〇〇)(そろそろお腹すいたな)
部屋を出たのはいいもののダイニングへの行き方がわからない。
下に降りる階段がわからなくてしばらくうろうろしていると、ちょうど部屋から出てきた渡辺さんに出くわしてしまった。
渡辺さんとはあのことがあってから全然喋ってないし正直気まずい。
〇〇)お、おはようございます…
渡辺)…おはよ
無愛想だなぁ、と思いながらもおそるおそる話しかける。
〇〇)あの…、ダイニングへの行き方がわからないんですけど…、道教えていただけませんか…?
渡辺)…
〇〇)嫌ならいいですけど…、
渡辺)ついてきて。
〇〇)え?
渡辺さんはこっちを振り返らずに黙ってスタスタと歩いて行ってしまう。
〇〇)待ってください!
私は慌てて渡辺さんを追いかけた。
しばらく歩くと急に渡辺さんが振り返りこっちに行ったら行けるからと言ってまたスタスタと歩いて行ってしまう。
〇〇)あ、あの!
私が呼び止めると渡辺さんがうるさそうに振り向いた。
〇〇)ありがとうございました!
私が満面の笑顔でお礼を言うと渡辺さんは僅かに頬を赤らめてたいしたことねーから、とぼそっと呟いて再び歩き出した。
渡辺さんって意外と優しいんだな、
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ダイニングに行くともう私と渡辺さん以外は全員席に着いていて黙々と朝ごはんを食べていた。
向井さんは岩本さんにこっぴどく怒られたらしくシュンと肩を落としていた。
ラウール)あ、〇〇ちゃん!おはよ!
佐久間)あ、おはよー!
みんなと口々に挨拶を交わす。
岩本)〇〇、いくらしょんぼりしてたからって慰められてすぐ心を許すのは良くないと思うよ?
〇〇)はい…、ごめんなさい…
岩本)あ、いや、そんな、謝らなくていいけど…
向井)照兄!〇〇ちゃんを責めすぎやで!
岩本)なんでお前が言うんだよ!
阿部)はい。騒がないの!静かにする!
向井)はーい。分かりましたぁ。せんせぇ、
目黒)笑笑
渡辺さんも降りてきて私の隣に乱暴に腰を下ろして朝ごはんを食べ始めた。
深澤)翔太は相変わらず起きるの遅いなー
渡辺)うるさい。別にいいだろ。眠いんだから。
深澤さんを睨みつけてまたお茶碗に顔を埋める。
やっぱり怖いかも…、
岩本)〇〇今日はどうするの?今日俺ら仕事だけど、
〇〇)部屋の片付けとか家の探索とかやってようかな。
岩本)今日offなの誰?
目黒さんが手を挙げた。
岩本)じゃあ、〇〇の面倒見てあげて。
佐久間)いや、ちょっと待てよ!めめと〇〇を2人きりにするのは問題あるだろ!
佐久間)俺は仕事休む!
向井)さっくんだけずるいて!俺も休む!
ラウール)俺も、俺も!
岩本)ダメです!休みたいならもっと仕事頑張って休みを増やせ!
すの)うえぇぇぇ〜
みんなが席に突っ伏す。
私は黙って卵焼きを口に運んだ。
end.
間取り完成したら出します…
ᵀᴴᴬᴺᴷ ᵞᴼᵁ ◡̈*
コメント
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続き楽しみです