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「,,,,あんたねぇいっつも急なんだってば!」
「だってお前俺の頼み断ったことあるか?」
「ないけどさ!?だからっていつでもウェルカムではないんだわ!」
ある小さな事務所の中、ソファに深く腰掛けるオランダにインドネシアは前かがみになりながら書類を丸めポコポコと机に叩きつけていた。するとオランダの方からある1枚の書類が出てくる。そこには【海洋通行許可書】とあり、その下のその他には【クルーズ船貸付】とあった。
「このご時世でバカンスです?お気楽なもんでね」
「使う手を全部使って何が悪い」
「,,,,ほんとに変わんないですね」
インドネシアは立ち上がりクイクイと指を折ってオランダを外へ誘導する。オランダもタバコを灰皿に押し付け火を消しついて行った。
外に出るといい天気に晴れており美しい海の上にポツンと船が浮かんでいた。
「んじゃ説明するからな」
「おう」
「船員は3名。渡航期間は約3ヶ月半で食料も非常時に備え4ヶ月程常備してる。」
「別、魚をとりゃあいいやろ。ほんなに食料がいるのか」
「お前なぁ,,,,」
呆れながらも歩き船の側へ誘導する。他2名がニコニコとしながら準備をしていた。
「こいつら死なせる気か!?お前は万が一があっても大丈夫だと思うがこいつらは違うんだからな!?」
「あー、はいはい。すまんね」
「ったく,,,,ほらあっち行って挨拶でもしてったら?俺はちょっと事務所にもっかい行ってくるから。まだ出港すんなよ!!」
「分かってるっちゅーに」
念を押しながらインドネシアはもう一度屋内へ入っていった。その間オランダは船員に近づく。
「すまんな急に船出いてくれやなんて言うてもちね」
「やぁやぁお気になさらんと!でもこのご時世、船も良く出るようになったんでこちらも準備はちゃんとできてますよ」
「さすがや」
思わず頬が緩んだことにオランダは自ら驚き少し手を当てて目をぱちくりさせる。その様子を見て船員も微笑ましく見ていた。
「乗りますか?まだ出港はしませんけどね」
「おう頼む」
振動を感じながらフェリーにのる。少し懐かしの感覚を思い出した。
「多分想像してたよりはちっさいと思うんですけどまぁ性能はいいんですよ」
「いんや問題ない。この時期に急に頼んだにしては上出来すぎるな」
「ははっお褒めに預かります。わが祖国もきっと貴方様だからこのフェリーを予約から勝ち取ったんだと思いますよ。普段の祖国は泣きつかれようと追い払ってますから、な?」
「ガッハッハ!その通りだ!だからな安心して楽しもうぜ?蘭国さんよ」
「,,,,感謝する」
そして海を見ていた視線を港に返した時だった。あるものを発見し動けなくなる。そこには
「あっオランダさん」
「,,,,菊?」
「あははっやっと気づいてくれたんですね」
そう言ってこちらに微笑みかけたのは日本国、名前を【本田菊】という化身だった。前かがみになりながらオランダは問いかけた。
「なんねこっちにおるんや。」
「挨拶しに来てたんですよ」
そういって海ではなく陸の方を向いた。ほうか、ほうかと口ずさんでいると次は嬉々として話し始めた。
「ねえ蘭さん!私も船に乗せてくださいよ!」
「え?」
「いいでしょう?1人だけですし!」
「あー、,,,,あぁ聞いてくる」
そういって準備していた船員2人に再び話しかける。2人も「たった1人なら大丈夫ですよ」と了承した。
「祖国を乗せるんですか?多分乗らないと思うんですけど,,,,仕事が山積みだなんて嘆いていたので」
「まぁ聞いただけや。あんがと」
「はい」
次は船から降りて港で菊と会う。
「どうでした?」
「ええんやと」
「やった!私、久しぶりにインドネシアさんちの船に乗りたかったんです。きれいな海をもう一度見たくって!」
「お前らしいな」
「どこに行くんですか?」
「あそこ」
「,,,,ふふっなら喜んでついて行きましょう」
菊の頭をオランダはポンポンと撫でる。
「ちょっと!」
「先乗っとれ」
「,,,,はーい」
カンカンと音を出しながら菊はフェリー内に入っていった。それと入れ替わりになったようにインドネシアが現れる。書類を持っていた。
「はい、ここにもう1度サインしてくれます?そしたら出港していいですからね」
「なんにこんなに紙が多いんや,,,,」
「今のご時世ちゃーんと残しておかなきゃ何かあった時の保険ないからな。,,,,はい、じゃいいよ」
ブスッとしながらインドネシアはオランダのサインが入った書類を受け取り、共に乗る予定のフェリーに向かっていった。
「ちゃんと戻ってこいよ」
「誰に言うとんや」
「ははっそれもそうか」
そうして船は出港した。
「まだまだ先は長いですからね。」
「そうやな。暇になりそうや」
「まぁカードゲームなんかは前の利用者が忘れて帰ってたんで常備してますよ!ご自由に」
「あぁ。でも先にちょっと船頭に行ってくるわ。潮風に当たってくる」
ガチャリとドアを開けると涼しい風が流れ込み潮の匂いがした。まだ朝は始まったばかりだか上へと上り詰めた太陽を見上げている人がいた。菊だ。オランダは話しかけに行く。
「何日間の旅行やと思う」
「えぇ?でもフェリーですし,,,,1ヶ月?」
「残念3ヶ月半」
「そんなにするんですか!?有給は,,,,」
「お前んとこみたいに厳しくないけ、やれるのをこの期間で終わらせた」
「,,,,そんなのあなたしかできないからできるんですよ。そうか、3ヶ月半もかけて,,,,」
「,,,,あん時お前に会いにいくのも、自分の国に帰るのもこの倍はかかっとったんぞ。それに比べたらマシやな」
「長い時間かけてくれてたんですね」
「感謝せえ」「はいはい」
ケラケラと笑っていると少し会話に合間ができた。その合間ができた後に菊は口を開く。
「ねぇ昔話をしませんか?」
「童話のことか?」
「違いますよ私たちの話です」
「,,,,どっから」
「そうですねぇ」
やはりあった時の話から始めましょうよ