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「あ!キィニチだ。」
後ろから声をかけた。キィニチは振り向く事なく、私から逃げた。“逃げない”そう言ったのはキィニチだ。なのに何故見捨てるのか。いつもだったら私はそこで泣き崩れていたが何故か今日は違った。何かの力が私を動かす原動力になった。気づけば私はキィニチを追いかけていた。手を伸ばしても当たり前の様に届く訳が無い。
「~~ッッ!!!」
私は何故かむず痒くて唇を噛み締めた。
「キィニチーッ!!」
名前を呼ぶと、彼との思い出がフラッシュバックした。
キィニチの足は止まり、息を切らしている私の方を向いた。それを私は“怖い”なんて思わなかった。
「“マリポ”のキィニチ。私を初めて仲間だと言ってくれた。初めて手を差し伸べてくれて、私を助けてくれて____」
口から今までの思い出が溢れ出した。目からは涙が溢れている。キィニチは私を抱きしめた。
「ただいま…ッ」
「おかえり…….」